「ぐるんぱのようちえん」現場リポート<1> | Show space

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絵本作家しょうみのりのブログです。

(前提)
私たちは作家として成長するために、皆で集まって絵本の深読み勉強会をしています。
以下は現場の会話を録音して文章に書き起こしたものです。
それでは、どうぞ~

はじめに、持参した絵本「ぐるんぱのようちえん」を、ふじもと のりこさんに読み聞かせして頂きました。

ぐるんぱのようちえんぐるんぱのようちえん
作:西内 ミナミ / 絵:堀内 誠一出版社:福音館書店絵本ナビ

(ふ)「まず、昔々に読んで大好きだった絵本なんですけど、絵本を作る観点から見た時に凄いことが沢山あって。

色んなテクを使ってるんだけど、もの凄く自然にぐるんぱ(象)のほにゃあっとした感じがよく出てるなあっていうのがあるんですが」

(皆)○「うんうん」

(ふ)○「これを紹介するのに、作者を今回は紹介したいと思って持ってきました」

ー資料を広げる

(ふ)○「もの凄い絵柄が一杯あるのよ。全然ちがうでしょう?

これなんかは凄くデザインチックで、画材も書き方も全然違っていて、どういう人なのかな?って思う」

ー絵を担当したのは堀内 誠一さん。NETで検索してみて下さい。
かなり幅のあるお仕事をされています。

参考サイト<伊丹市美術館>


(ふ)○「私達は絵本作家として見てるけど、実はグラフィックデザイナーとしてもの凄く有名な人で、それも戦後のどさくさで13歳で高校生になって、14歳で伊勢丹の宣伝部に入って、プロとして名を馳せているっていう、凄い天才的な人だったみたい(中略)ananのロゴや、色んなタイトルを作った人で、雑誌の中身のアート・ディレクションなんかも全部できて、それこそ自分で編集もデザインも全部できる絵本作家だったみたい」

(し)○「カリスマですね」

(ふ)○「実際にこの人と仕事をした人の話を読んでたら、
今なら編集会議とかをするんだけど、この人の場合はもう『インドね』とか言われるだけなんやて」

(皆)○「苦笑」

(ふ)○「それでファッションデザイナーさんとか、“インドの服!(苦悩)”って取材に行って、そこで写真を撮ってきたりするんやけど、服だったら(紙面)23枚なとこやけど、凄い良いものだったら6枚ぐらいパーンってしてくれるし、アカンかったら『ダメだね』って一言で」

(皆)○「ふあ~(感嘆)」

ー一緒に仕事をする人がドキドキするような人だったようです。「必死にドキドキしたあの瞬間こそ堀内さんに貰った大事なことだ」と仕事仲間が語っています。


(ふ)○「その中で信頼するスタッフを抱えていて、だけど自由で、
仕事をするとなったらガっと集まって、また終わったら解散する。そんな自由な方だったみたい。

最終的にはパリに住むんだけど、
カフェとかメトロとかの記事をエッセイとして書いてるんやけど、
そのエッセイも凄い良いらしいけど、この地図も手で描いてはって」

ーデザイン資料を広げる

(ふ)○「これ段組になってるけど、その段組も完璧やったみたいで、仕事も凄い早い方だったみたい。
それだけ多彩な人やったから、こうやって物語によって全部の絵柄を変えられるみたい」

(ふ)○「福音館の名編集さんが居るんやけど、福音館の『子供のとも』が7年間ぐらい赤字やったときに、その方が“とにかく、いい作家を”っていうことで選び集めた中の一人で。
絵本の編集とかを結局この人(堀内さん)に頼ってたみたいで、だから福音館が求めるレベルっていうのは、こういうことやから、なかなか(お仕事させて頂くのは)難しいという・・・」

(皆)○「苦笑」

(セ)○「福音館って今と昔でちょっと違いますよね」

(ふ)○「そうやね。ちょっと保守的なとこあるかな」

(セ)○「そっから最近また変わりはったみたいで、
今ははっちゃけた絵本がたまにポロポロ出てきたんで、編集者の中にそういう人が居はるんかもしれへん」

(し)○「筒井(編集)さんの影響じゃないですか?」

(セ)○「(苦笑)」

(し)○「あれ(筒井編集の作る、絵本の幅を広げた作品群)が売れてしまったらもう(ただ保守的ではいられないだろう)…」

ー筒井大介さんはイースト・プレスの編集さんでミロコマチコ先生を見い出した方です。


今回はここまで。

<まとめ>

絵本を知る前に作家を知ること。

どういった歴史を歩んできた人なのかを知れば、自然と出来上がった作品もどうしてこうなったのか?が分かってきます。

自分が何をすべきなのかも分かってきそうですね。

イニシャル表記
ふ=ふじもと のりこさん し=しょう みのり セ=セキさん


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