無情 [強化予算の縮減]
競泳の北京五輪男子200メートルバタフライ銅メダリストの松田丈志選手(25歳)の所属先企業が来期は契約を結ばないことを明かしました。
なかなか回復しない不景気の中で、企業もまた、生き残りに必死です。
松田選手を始めとしたロンドン五輪で上位入賞を目指す選手達にとって、日本オリンピック委員会などから支給される強化費と自己負担だけでは限界がありますので、どうしても支援企業の存在が欠かせません。
先の11月25日に実施された政府の行政刷新会議による事業仕分け。
ここで、スポーツ予算に対して下されたのが、縮減が妥当と判定でした。
2008年に開催された北京オリンピックにおいて、主要各国が計上した強化予算は、ドイツの約274億円を筆頭に、アメリカが約165億円、イギリスと中国が約120億円でした。
対して、日本の強化予算は、約27億円だったといいます。
それは、メダルの獲得数に如実に反映されています。
アメリカ110個、中国100個、ドイツとイギリスが41個だったのに対して、日本は、26個でした。
メダル1個の強化予算価値で見た場合、アメリカは1個1.5億円、中国1.2億円、ドイツ6.7億円、イギリス2.9億円に対して、日本は、1億円です。もっとも低予算で、メダルを獲得しているのです。
それに対して、下された予算の縮減です。
少ない予算の中で、やりくりしている現場の涙ぐましい努力を評価するどころか、さらに厳しい条件を突き付けていることになります。
スポーツの祭典であるオリンピック。
そこでの日本人選手の活躍は、日本国民に夢や希望を与えてくれることだと確信します。
モスクワオリンピックを日本は、ボイコットしました。
これは、つまり、スポーツを政治利用した証なのだと思います。
自分達の都合で政治利用しておきながら、今度は、無情にも予算の縮減を迫る・・・
政権交代したのだからとも言えるのかもしれませんが、配慮しても良い部分にも思えます。
各競技では、既に、2012年のロンドンオリンピックに向けて、本格的な取り組みがスタートしています。
日本オリンピック協会は、1日に各協議の主要選手による抗議の記者会見を開きましたが、その現場の悲痛な声は政府に届くのか、無情な判定をした事業仕分けを受けて、今後の予算編成を見守りたいと思います。