空海の墓は、一般の人間が入れないように囲まれていた。墓の上は、補修工事中でもあり、そばによって、使命をきっちり果たすことができる状態ではなかった。ただ、「投げて」届かない距離でもない。
私は、線香を買い、火をつけ、お墓に添えた。マントラには色がある。そこで、正しい色を順番に思い描きながら、マントラを唱え始めた。すると、驚愕するような下品な行為をする人間が現れた。すでに添えらていた線香を除けて、いそぎ自分の率いる団体に線香を買わせ、ど真ん中に添えさせようとしているのだ。聖なる場所における「荒らし」の行為は、本当にいただけない。こういうヤカラは、いずれ高野山への出入りを禁じてやりたいと、心に誓った。
これも、私の意識を散漫にさせるためのカルの妨害の一つだろう。やっとサル以下のガイドに連れられた団体が立ち去った。私が第三の目に集中すると、墓の中に棲む不気味な毛むくじゃらの獣が姿を表した。僧侶の祈りのエネルギーを食べて暮らす存在。偉大な弘法大師様、不動明王様への冒涜だ。
獣の心臓目がけて炎の聖刀をつくと、耳をつんざくような雄叫びが聞こえた。黒蜘蛛が四方八方へと散り去り、生き地獄に囚われていた人間の魂が解放されたのが見えた。
