君を見かけた。 君に似た人。 多分ね。 判らない。
ぼくはだけど、君を愛してなかったと知った。
君の美しい笑顔がぼくの苦い唾液となって
横から聞こえる笑い声は錆びきったノコギリのよう。
ぼくに似てない大きな男。 君の髪に伸びる優しい手。
君の幸せを喜べない小さなぼくがそこにいた。
ぼくはだけど恋してた。 もの凄く恋してた。
だってぼくは幸せだった。 君といると幸せだった。
君の幸せを望めない下らないぼくがここにいる。
ねぇ、お願い、せめて、愛し過ぎたと言わせてくれないか。
ねぇ、せめて。 ねぇ、せめて、今だけでも。