米原万里という人は、ロシア語を専門とする同時通訳、エッセイスト、ノンフィクション作家、小説家などとカテゴライズされています。

セピアは、小説としては、「オリガ・モリソヴナの反語法」をベストに挙げますが、最近、「愛の法則」(集英社新書 、2007年8月、講演の記録をまとめたもの)なる本を手に取りました。

既に病に侵されたなかでの活動ですが、この講演のなかにこそ、彼女のエッセンスが凝縮されていたのですね。

「男はサンプルだ」
あらゆる天変地異に備えて多種多様な種を揃えている。。。

「グローバリゼーション」とは、アメリカが自国のやり方を強いて、残りの国々がアメリカ式に合わせようとすることだ。。。

など、ことの本質を捉えるところに、彼女の真骨頂があります。

通訳者になるには、母国語と外国語の両方の言葉で、小説をよみこなすくらいでなければならない、など、外国語を生業としようと考えている者にとって、大変に参考となる内容も多く含まれます。

本書のあとがきに、池澤夏樹氏をもって、「稀有の魂をもった方が亡くなられた」とありますが、セピアもまったく同感です。