R71~72シーズン①

 

移転した上にHCも交代し、移転後の人事でジョン・ブロック、トビー・キンボール、ジョンQ.トラップをほぼ見返りなしに放出。

これらが影響したか、序盤のロケッツは上手くいきません。

 

ルディ・トムジャノビッチが昨シーズンとは打って変わって主力として台頭しますが、開幕6連敗を喫し、少し後(11月上旬)にも8連敗。

2勝16敗と最悪のスタートを切りました。

 

テックス・ウィンターはカンザス州立大でトライアングル・オフェンスを用いており、ロケッツでも恐らくそれと同じか、それに準ずるシステムを使用。

具体的にはエルビン・ヘイズにもっとパスをするように要求しました。

 

これは、ヘイズにとって新たな試練。

ウィンターはパサーとしての働きを求めますが、ファンはシュートを打たないヘイズを非難するんですね。

 

ヘイズは開幕5戦目でキャリア初の1桁得点、11月頭のニックス戦では4点&6リバウンドで終わるなど苦戦。

最初の11試合中7試合で20点を下回るという、らしくない出来が続きました。

 

のちに、この期間にウェイコで行われたブルズ戦を、「俺がハイポストでボールを持っていて、チームメイトはみんな逆側にいた。ショットクロックが迫ってきて、シュートを打たなければならなくなったんだけど、打ってはいけないんだ」「シュートは4,5本連続でブロックされたよ。俺はシュートをブロックされたことはなかったのにね。Gがブロックしたんだ」などと振り返っています。

 

ただ、ニックス戦後のヘイズは、得点&リバウンドが例年並みの数字に戻っており、チームも、8連敗後は勝率5割ペースをキープへ(ニックス戦は8連敗の初戦)。

 

ヘイズがシステムへの順応を諦めたのか、ウィンターが何か策を講じたのかはわかりませんが、このチームはヘイズが点を取らないと勝てないということですかね。

オールスターブレイクの時点では16勝30敗でした。

 

●シーズン前半にトレード3件

①11月頭、ドン・アダムス&ラリー・シーグフリードをホークスに放出して、ジム・ディビス&ジョン・バレリーを獲得。

②12月頭、カーティス・ペリー&72年のドラフト1巡目指名権をバックスに出して、グレッグ・スミス&73年のドラフト3巡目指名権を獲得。

③その翌日、ディビスをピストンズに出して、72年のドラフト1巡目指名権を獲得。

 

アダムスは開幕戦でスタートしたんですが、2戦目から欠場。トレードまでに3試合しかプレイしませんでした。

シーグフリードは開幕からスタートしていましたがスタッツ的には奮わず。

ペリーはバックスで開花します(ロケッツでも昨シーズンよりよかったんですが)。

 

ディビスは5年目のF/C(6フィート9インチ)。

デビュー以来ホークス一筋で、3年目には平均13.6点・9.7リバウンドをマークしています。

このシーズンは出番を失っており、ロケッツにも1ヶ月ほどしかいませんでした。

 

バレリーは2年目のSG。昨年のドラフト1巡目第14位指名です。

 

スミスは4年目のF(6フィート5インチ)。

両Fの要素を持っていますが、バックスでは、ハッスルプレイが売りのPFという感じでした。

 

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スミスは主戦力となりますが、一連のトレードによる戦力的な上積みはあまりなく、後半戦も5割ペースをキープ。

最終成績は34勝48敗でした。

 

オールスターブレイク後も5割丁度で乗り切っており、出足の悪さが悔やまれるでしょうか(ただ、この当時のフォーマットだと、このシーズンのロケッツは52勝以上しないとプレイオフに出られませんでしたが)。

 

スタッツの傾向は昨シーズンと似たような感じです。

 

【苦難は続きます】

 

ヘイズは全82試合で平均42.2分(リーグ8位)プレイ。

平均25.2点(リーグ10位)・14.6リバウンド(リーグ7位)は自己ワーストでしたが、平均3.3アシストはキャリアハイでした。

 

ウィンターとも上手くいきませんでしたが、得点が減って(もちろんFG試投数も)、アシストが増えたのは新システムの影響っぽいですよね。

12月頭のキャブス戦では、11点&11リバウンド&11アシストとキャリア初のトリプルダブルも記録しています。

 

のちにヘイズは、ウィンターについて「彼はいい人だった。でも、選手たちを、奨学金をもらっている学生のように扱っていた」とコメント。

ウィンターも「(上手くいかなかったのは)彼と同じくらい私にも責任がある。カレッジと同じようにコーチできると思っていた。でもエルビンとは上手くいかなかった」と回顧しています。

 

ウィンターの組んだスタメンの中には、Cのディック・カニングハムがヘイズと一緒にスタートするパターンもあり、ウィンターも色々模索していたのかなと。

 

因みに、オールスターには出場しましたが、この年はルー・アルシンダーに加えてウィルト・チェンバレンもいたため、11分しかプレイしていません。