赤く染まる夕日を浴びて
私はオレンジ
瑞々しく何事にも負けないものになる


酸っぱさは少しのご愛嬌
たまには許して そのまま通り過ぎて

気を良くした君のそんな笑顔がたまらない
私は酔いしれてすぐに迷路に気付かない

赤く染まる夕日は私を置き去りにして
青く そして闇のような深い森へ誘う
どこか妖しく どこか魅力的で
甘い味の毒を垂らして
静かに私を待ってる


何事にも負けないと思っていた事を
覆すのは容易く素早い
黒く深い森の闇は容赦なく
私を包み隠そうとする


赤い夕日に似たオレンジ
もう暗闇に消えた


誰も探しに来ない
誰にも届かない声が森の中を木霊するだけ


やっと気づいた 私は1人なのだと
それは苦しくて重くて抱えきれない
何か悪いものへと変化させる
冷たい夜は寂しさをもたらす
私は1人 私は1人 私は1人
孤独はすぐに形を変えて襲いかかる
どこかミステリアスで どこか悲しげな
笑みを浮かべて近づくのだ



長くて重い 気だるさを残して
また新しい朝を迎える
だけど深い森は容易く私を逃がさない

足を取られる程の沼に引きずり降ろして
私に光を見せてくれたりなんかしない
そしてまたすぐに暗闇に戻されるのだ

声は届かず 耳を澄ましても
誰にも見えないし 誰も見ようとしない

自分のことだけで忙しい
誰が振り向いたりする?
誰かがすぐ助けにくるなんて
お伽話の幻想にすぎない
この世に白馬の王子様なんかいない
目を覚ませ 目を覚ませ


それでも新しい朝はくる
容赦ない罪と罰を残して
長い道はやがて茨の園に変わる
手足は傷つき 赤い夕日は真紅の血液も染めていく

私は白い人形
すぐに真紅に染まる
そして漆黒の闇に姿を変える

言葉にならない
どこかの隣人達には見えない
自分自身も何もかも飲み込まれてしまう

目覚めても以前のキラキラしたオレンジ
どこにもいなくなった
酸味は苦みに変わり
体は痩せ細って 形は歪み すぐに醜く
真っ白だった白雪姫は小汚く惨めな
奴隷と化す


王子様のキスで目覚めるなんてのは
お伽話の中の幻想にすぎない
現実はそう甘くない
簡単に抜け出せる場所なんてない
それならどうするかって?
立ち上がるしかない
立ち向かうしかない
でもどうやって?
誰も助けてくれない
手を貸す者もいない
孤独で惨めな血に染まった姿で
明るみになど出られない
それならどうするかって?
こんな暗い森でも何処か
オアシスはあるはずだ

こんな生い茂った木々達を育てた
綺麗な水場が何処かにあるはず
そこに行けば洗い流せる
その綺麗な水に浸かれば
元の私に戻れるはず
元の私を取り戻せるはずだから


塞ぎ込んだ気持ちはすぐに
甘いお伽話を連れてくる
そして私はその誘いを断れない
私はその誘いを断れない
私はその誘いを断れない

甘い蜜は私を溶かし飲み込んでいく
嵌まったら最後 容易く抜け出せない
すぐに押し寄せる暗闇は私を隠し
何もなかったかのように人々に知らしめる
どんなに叫んでも
どんなに走っても
どんなに手を振っても
届かないし見えない


真紅の唇は脆くひび割れ
誰がキスなんかするの?
真っ白だった躰は腐敗を速めていくのに
助けは来ない

Somebody help
Somebody I need help
I need you help
I need you help


立ち上がって立ち止まらず走り出す
私は何をしていたのか
何に怯えていたのか
そんなことも忘れるほど必死に走り出す
走りつづけて見つけた明るい光に導かれて
そのまま落ちた場所は
探し続けたオアシス 海のように青く
湖のような場所


水の中に落ちた私はオレンジ
躰の色を取り戻すことが出来た
心の悪魔も消え去り
瑞々しく飛び回る
弾ける水の音に私は舞い続ける


そして真紅の唇は求める新しい
私の色へと変わる




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