数え切れない程 流した涙は

月の雫と共に泡となって消えた

君が思っているほど私は強くない


手に入れたかったものは宝物なんかじゃない

星に手が届かないくらい遠い産物でもない

君が言ったようなことは簡単なものじゃない


ここに来てほしいときに 掴めない
そんな愛なんていらない
君をどんなに近くで見たくても
私の届く場所にいない
心の中なんて読めない
そんな力があれば
泣いたりしない


ありふれた言葉がどんなに嬉しいのか
今ははっきり思える
私が避けてきた道は
決して無くなったりしない

川のように押し寄せてくる
君が言ったように 私は強くない

心の中で叫ぶ声は 届くはずもなく
自分の胸に突き刺さる
割れたガラスのように先を尖らせて
スピードを上げて私を潰そうとする


君をどんなに欲しいと思っても
私の手はあなたには届かない
幾つものドアにぶつかっても
私の欲しい言葉は返ってはこない


ありふれた言葉などいらない
ただ私を愛してほしいだけ
薬のような早い効き目など求めない
あったかい温もりを思い出して
もう泣いたりしない
寄せては返す波のように新たな水を求めて
さまようだけ


君の思う私はここにいない
もう都合よくは動かない
君の思い通りにはならない
私は私
我が道は崩れたりしない
どんな困難に見舞われようと
私はもう泣いて君に縋ったりしない
そんな惨めな姿は見せない

強くなったわけじゃなく
だからと言って弱いわけじゃなく
私は私 そう感じただけ
君の思い通りの私はもういない
TVに映るアクションスターのように
へこたれる姿のない心も体も
もう負けたりしない

思い通りになんてならない
思い通りになんてならない


「いつもの君は?」なんて言われたって
「いつもの君」なんていない
そんなの最初から存在してない
君が造り上げた産物であって
私が持ち合わせてた訳じゃない


心はもう違うオアシスを求め走りだした
迷ってた私はもういない
寄せては返す波に乗って
遠くの沖まで流れたく思う
たくさん泣いた分の涙の海は
私を遥か遠い世界へ導く


またいつか傷ついて立ち止まったとしても
すぐに立ち上がって泣いて縋ったりしない


強くなったとか弱かった訳じゃなく
私は我が道を信じようとしてるだけ
君が思う私じゃなく
私が思う私に変わるだけ




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