水中カメラマンのデスクワークな日々 -459ページ目

山梨の桃

  山梨の方へ桃を採りに、いや、撮りに行ってきました。桃は色が鮮やかでいいですよ。
桃

桃

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フルスペックハイビジョン

 前回 に引き続き、ちょっとマニアックなハイビジョンネタです。
 最近、ハイビジョンテレビの宣伝に「フルスペックハイビジョン」という宣伝文句をよく聞くようなりました。でも、個人的には「フルスペックハイビジョン」の「フルスペック」という表現にかなり違和感を感じるのです。

 そもそも「フルスペックハイビジョン」の「フルスペック」という用語は、専門用語でもなんでもなく、メーカーが商品を売る為の宣伝文句でしかないわけですが、どうやら、ハイビジョン(正確にはHD)の1080/60i の解像度の 1920 x 1080 ピクセルの有効解像度をもつ仕様の商品を言っているようです。
 逆に言えば、「ハイビジョン」」なのに「フルスペックでは無いハイビジョン」が存在するわけです。例えば、ハイビジョン番組が見れるハイビジョンTVでも、1920 x 1080 ピクセルの解像度を持っていない(1024 x 768ピクセル等)TVの方が実際は圧倒的に多いわけです。

 しかし、肝心のハイビジョン映像を撮影するハイビジョンビデオカメラも、実際のところフルスペックの1920 x 1080 ピクセルの有効解像度で撮影&記録できるハイビジョンビデオカメラは、ごく一部の”特別な”機種を除いてほとんどありません。放送用の高価なビデオカメラ(HDCAMやDVCPRO HD等)も1440 x 1080 ピクセルや1280 x 1080 ピクセルで記録しているのです。結局、「フルスペックハイビジョンテレビ」で見ているハイビジョン映像も撮影されたビデオカメラは、フルスペックでは無いというのが実態なんですね。

 ただ、私が「フルスペック」という表現にかなり違和感を感じるのは、こういう事ではないのです。つまり、先日のブログに書いたように 、「また、解像度だけかよぉ~」という解像度至上主義に対してなのです。

 ご存知のようにテレビのハイビジョン放送は、MPEG2という方式で圧縮されています。通常の視聴においては十分綺麗なのは間違いないのですが、画面に目を近づけて”粗探し”をすればいくらでも粗が見つかる位、本当の所はそれほど高画質では無いわけです。ハイビジョンテレビがフルスペックかどうかなんて関係ない次元の問題なんですよね。

 もし、ハイビジョン放送以外のハイビジョンの映像を見る事ができれば、画面に目を近づけてみた映像の品質は劇的に良くなります。
 しかし、その状態が最高の映像品質かと言うとそうでも無いのです。

 先ほどの放送用の高価なビデオカメラ(HDCAMやDVCPRO HD等)のオリジナル映像も、MPEG2ほでは無いにしても、圧縮されているのです。もちろん、MPEG2よりは劇的に綺麗ですよ。

 では、圧縮されていなければ、最高なのでしょうか?
 高価なビデオカメラ(HDCAMやDVCPRO HD等)では、圧縮されていない非圧縮の映像も特殊な方法で収録は可能です。
 でも一言で非圧縮といっても、 輝度差・色差信号が 4:2:2とか 4:4:4とか、(後者の方が高画質)、量子化bitも、8bit、10bit、12bit (数字が大きいほど高画質)とか、いろいろあって、高画質を求めれば、上はキリが無いという状態です。

 また、8bit  4:2:2 の非圧縮 と、16bit 4:4:4 の最新のWavelet圧縮では当然後者の方が高画質でしょう。

 実際の映像の品質がどうかは別としても数字上のスペックアップは、技術的にはどんどん進化していくわけでして、今ちまたで言われている「フルスペックハイビジョン」程度のスペックで、「フルスペック」という最上級の形容詞を使ってしまうと、次世代の商品ではいったい何て形容詞を使うのだろう? と、ちょっと心配になってしまうのこの頃です。

ハイビジョンビデオカメラの画質


 デジカルカメラ(写真)の画質を論じる時、「画素数=解像度」至上主義が相変わらずだな、と感じているのは私だけでは無いはずです。
 解像度は画質を決めるひとつの要素ではありますが、それが全てでは無い事はデジカルカメラを使い込んでいるユーザーであれば誰でもわかっている事ですね。

 この話は、デジカルカメラ(写真)だけの話ではなく、ハイビジョンビデオカメラの画質の話でも同様ですね。「解像度が高い」=「高画質」という論調があちらこちらで聞こえてきます。

 そもそも「高画質」って何なんでしょう? 「画の質感」の「質感」が高いって事ですが、「質感」って解像度だけでは無いですよね?
 「色が綺麗」っていうのも重要な要素だという事は誰もが感じている事ですが、「色が綺麗」=「色が鮮やか」という事では決してありません。また、「色が綺麗」=「オリジナルの色に忠実」という事でも決してありません。「色の再現」の話は非常に奥が深いので、ここではあまり突っ込みませんが、「高画質」である「色の再現」の条件は、「色の階調表現が豊かである」という事だと私は思っています。

 たとえば、真っ赤な花の被写体を撮影したとします。真っ赤な花とはいえ、肉眼で近づいて花の色を良く見ると光線の具合や花びらの質感で均一的な赤色には決して見えないわけですが、これをビデオカメラで撮ると、「高画質では無いカメラ」だと均一的な赤色に映りますが、「高画質なカメラ」だと赤色でもそれなりのグラデーションを再現できます。もしかしたら、前者の方が鮮やかな赤色で綺麗な映像に見えるかもしれません。もしかしたら、後者は鮮やかさが物足りなくて綺麗に見えないかもしれません。それでも、後者の方が間違いなく高画質なのです。

 色の話は「ダイナミックレンジ」にも通じる話です。「ダイナミックレンジ」というのは、明るい被写体と暗い被写体を同時に映した時、明るい被写体も暗い被写体も、それなりにちゃんと認識できるように映っている事を。「ダイナミックレンジが広い」と言います。
 一般的に「高画質では無いカメラ」だと、明るい被写体は白トビし、暗い被写体は黒ツブレしてしまいます。見ようによってはコントラストが高くメリハリの効いた映像に見えます。
 一方、「高画質なカメラ」だと「ダイナミックレンジが広い」わけですが、見ようによってはコントラストが低く、ネムイ映像に見えることがあります。それでも、後者の方が間違いなく高画質なのです。

 よくCMで「すっきり鮮やか」を宣伝文句にしているTVのCMを見ますが、「これって、色の階調表現が乏しくて、ダイナミックレンジが狭いってこと?」なんて、ひねくれた見方をしてしまいます。(本当の所は知りません。)

 一般的にデジカルカメラやハイビジョンビデオカメラのCCD(CMOS)では、解像度(画素数)とそれ以外の画質の要素(色、階調、ダイナミックレンジ、感度、ノイズ等)は、相反する要素です。技術的には解像度(画素数)を上げれようとすれば、それ以外の画質の要素が悪くなるトレードオフ(Trade off)の関係です。(レンズの光学系の要素もありますが)

 なので、ユーザーがあまり「解像度、解像度」と騒ぐと、結果的に他の画質が犠牲になった商品をメーカーが作ってしまう恐れがあるわけでして、「解像度」至上主義はなんとかならないものか?と思うわけですが。。。

 ほどほどの解像度があれば、多少ネムクても、シャープネス処理で見た目上の解像感を上げる事は比較的簡単です。(恐らく殆どのカメラは、デフォルトではシャープネス処理で解像感を上げてる気がします。しかも、ちょっと過度に。)

 でも、収録時に失われた階調情報は、どんな画像処理を施してもどうにもならないのです。そして、階調表現が酷い映像は、どんなに元が高解像度でも決して高画質には見えません。
 最近、いろんなハイビジョンビデオカメラで撮って編集する機会が増えたので、ますますこのような事を強く感じるこの頃です。

今週の桜

 この際ですから、とことん桜です。場所は東京近辺いろいろ。。
桜


桜


桜


桜


桜


桜

水中映像関係のイベント案内

久しぶりに水中映像ネタです。
今週末、いくつか水中映像関係のイベントが開催されますので紹介します。

●第23回 水中映像祭
    [日時・場所]
    2006年4月8日(土) 14:00~17:30
    ティアラこうとう(江東公会堂) 小ホール《入場無料》
    [テーマ]
    あいたい海

    ◎ 映像祭終了後(18:00~21:00)、近くに会場を移し、製作者の方やゲスト来場者、スタッフとの交流会を実施します。こちらでも楽しい世界の海の話などで盛り上がりましょう。どなたでも参加ください。
    http://www.uwic-jp.org/contents_top/index_uwic03.html
    ※私もビデオ作品を出展します。


●中村征夫・卓哉親子水中写真展
※我が社の新人スタッフ、中村卓哉の写真展です。
    期間:2006年4月6日(木)~4月12日(水)
    午前10:00~午後6:00 (最終日 午後3:00まで)
    日曜・祝日休館
    http://www.olympus.co.jp/jp/gallery/opg/2006/opg060406.cfm

    [オリンパスギャラリー内にてトークショー]
    4月8日(土)
    第一回 11:00~12:00
    第二回 14:00~15:00
    電話にて先着30名様申し込み受付(参加費無料)
    申し込み先:オリンパスギャラリー
    TEL:03-3292-1934


マリンダイビングフェア、海と島の旅フェア
    会期/2006年4月7日(金)~9日(日)の3日間
    開催時間/10:00~17:00(予定)
    会場/池袋サンシャインシティ コンベンションセンターTOKYO
    文化会館C,Dホール
    入場料/無料(写真展のみ有料)
    ※ミクロネシアコーナーの「ジープ島」ブースに、私の写真とビデオが展示される予定。