肺のはなし その6
まだまだ寒い日が続いていますが、みなさま体調はいかがでしょうか。
前回は、動物と植物との間の完全リサイクル システムについての説明ました。
動物は呼吸で取り込んだ酸素と糖を利用してエネルギーを得て、二酸化炭素を排出し、、植物の光合成で二酸化炭素と水を利用して酸素と糖を合成するというものでした。
そしてこれらの一連の反応のおおもとは太陽の光であることもお解りいただけたと思います。
このような理由から1970年代までは光がなければ生命は存在しないと考えられていました。ところが太陽の光が届かない深海でも生命が存在することが1977年に判明したのです。場所はガラパゴス海嶺でした。
これらの生物(単細胞生物だけではなく、多細胞生物)は、熱水噴出孔から噴出する硫化水素などをエネルギー源として生活していて、太陽の光はまったく必要としていなかったのです。
硫化水素は硫黄と水素の化合物ですが、硫黄 (S)は元素の周期表を見ると酸素と同じ族で、酸素のすぐ下にある元素です。つまり元素の性質が似ているところがあるのです。
われわれは酸素を使ってエネルギーを得ているのですが、これらの生物は硫黄を使ってエネルギーを得ているのです。
現在の地球の大気は酸素を20.9%含みますが、太陽系の地球と兄弟である地球型惑星の金星や火星の大気には酸素はほとんど存在しません。それは、これらの惑星には植物がないからです。逆に言うと、誕生直後の地球の大気には酸素は存在せず、今地球にある酸素は全部植物が二酸化炭素から作ってくれたのです。
そうすると、地球で初めての発生した生物も当然まだ植物がない時代に発生したので酸素を利用しない生物で、おそらく海の中の熱水噴出口から供給される硫化水素を利用していたものと考えられています。
太陽の光や酸素がなくても生命は発生する可能性がある、といったわけで生命はこの太陽系の地球以外の所でも存在する可能性が考えられています。
その話は次回に。
笹本 修一