YokoさんからのL♡Lに応えて「漢字は楽しく楽に」
Yokoさんとは夏休みにLineでつながりました。会ったことはないけれど、ふとしたきっかけでメールが来て、教材データを送りました。2年生の担任だというので、2年生の1年間の学級通信『らぶれたあ』全スキャンデータ。ここに様々な実践も綴っているので参考にしてもらおうと思いました。2学期、学校が始まって2週間余り、Lineメールが来ました。 おはようございます。 いつも、『らぶれたあ』を楽しく拝見しております。 うちのクラスでも、2学期からできる範囲で漢字の「へんとつくり」(偏と旁)ごとにまとめて、成り立ちと共に学習することにしました。 そうすると、子どもが新出漢字をみると自分から「何か前の◯という字の⬜と似ている!」と言い始め、漢字の一部分に注視したり、似たものを探したり、とそれまでの漢字との向き合い方が変化しました。 私自身も漢字の学習中に「きへん」「さんずい」「くさかんむり」などの言葉を多用するようになり、その結果子ども達も「1学期にならった△の字も”さんずい”だねえ。」と意識するようになりました。 覚え方も「寺」は「土へドスン」と喋っているうちに「寸」は「すん」と読むよ…など学年を超えた字の話になることも。子どもも「おもしろい。じゃあ、これは?」なんて呟くと、私も待ってました!とばかりに……語りだします😅 予定では1日に学習する漢字を2字にしていても、「もっとやろう!」と声が出たり、宿題を2字にしておいても、「習った分は宿題じゃないけど進めとくね。」という子もいたり、子どもたちが意欲的になったと思います。 もしかしたら一部の子には、この意欲は迷惑だったりするのかもしれませんが…😖漢字の新しい取り組みを始めたというメールです。よかった。お役に立てて。Yokoさんのよろこびにもつながっていて。Yokoさんの進め方に敬意を持ちます。「この方がいい」と思っても、なかなか進め方は変えられないことが多いのです。でも、子どもたちと2学期からそれを変えます。そこでの、子どもの声を受け止めて、自分のよろこびとしています。これなら、もっと丁寧なデータを送っておけばよかった。2年生の漢字学習の実践データをつくっているからです。全53ページ。これは1年間の漢字学習を想定しています。(実際にぼくが教室での実践数年分をまとめたものです。)漢字の学びのそもそもの問題は、そこに現場教師の授業づくりの自主性がない(極めて狭い)という致命的なところにあります。次のようなことがほとんど問われません。学年配当漢字に妥当性はあるのか(このことは、学習指導要領の拘束性が強い公立小での実践としては難しいのですが)、教科書順に学ぶことの不合理はないのか、方法としてドリル依存の訓練主義ではないのか、その結果、子どもの意欲を育てていないという事はないのか。(これらは、漢字学習に限らない問題点でしょうが。)ぼくは、このシリーズで紹介する事実を、現場の人が、今の枠の中でも少しでも活かしてほしいと思っています。そのための問題提起の実践データをつくりました。<ポイント>考え方 ”楽しく楽に”1.基本漢字からはじめたい基本漢字とは、これ以上分解できないという基になる漢字。象形や指示文字に多い。2.「六書」によって、2年生配当漢字を分類する (*六書(りくしょ) 漢字の成立と用法についての六種の区別、すなわち、承継・指事・魁夷・京成・展中・仮借をいう。六義。 [補注]字形を解釈し、漢字の本来の意味を導き出すために用いられた六種の原則で、後漢の許慎の「説文解字」にはじまる。)3.1年生配当漢字と2年生配当漢字を比べる 1年→2年象形 44字⇒46字指事 14字⇒ 0字会意 11字⇒31字形声 11字⇒83字 1年から2年へ学年が上がると、会意文字と形声文字が飛躍的に増えます。 これは当然です。古代中国の人々が、漢字を作るときに行ったのは、すでにある文字を音や意味、形の組み合わせによったからです。「漢字は積み木だ」と考えれば、すでに知るパーツから新しい漢字が獲得できるのです。 だからこそ、基本に当たる漢字を学ぶことが優先されなければなりません。4.漢字カードをつくるぼくの実践では、市販のドリルを使わなかったので、子どもたちが自作の漢字カードを作りました。「下村式漢字の本」の口唱法(口で唱えて書く)。5.部首、意味などを関連させて6.教師が楽しい そのために自分が学ぼう子どもたちが「漢字学習が楽しい」というのは、教師にとっても楽しいからです。楽しい学びの第一の前提は、教師が漢字について問題意識をもつこと。白川静さんの様々な本、揃えましょう。まずは『常用字解』(平凡社)から。白川静さんが中・高生に向けて書いた入門字典『常用字解』(2003年刊)の増補版。2010年11月に「常用漢字表」に追加された196字を含む常用漢字全2136字を平易に解説しています。他にも漢字データでは紹介しています。7.ことばを漢字にとじこめないことばの学びとして位置づけます。習熟、練習は相対的に軽いものにしています。漢字をあそびます。ここでは、読める、書けるということではなく、漢字であそぶことを面白がります。阪田さんの「お経」などもこの中に入ります。様々な漢字クイズなども。漢字の学びを、「漢字を書くこと」だけにとじこめません。ここでも「ことばを文字(漢字)にとじこめない」です。教師自体が「教えられたとおりに教えてしまう」ーーここに漢字の学びの大きな問題があります。ぼくはそれを「負の連鎖」と呼びますが、子どもの側から漢字の学びを考えたら別の漢字の学びの面白さが見えてきます。そのために、①合理的であること(学習順)、②表意文字であるから成り立ちにふれること(文化性への尊重)、③生活の中で漢字を使う(あそぶ)ことが必要です。「みんな同じに」「ドリルに従って」「練習第一」という頑迷な”縛り”を少しでも破ることは、担任ならできるはずです。子供の前に、自分自身が楽しんでください。8.漢字は積み木だ合理的に学ぶ根拠は、漢字そのものの特徴にあります。成り立ち=表意性が基本にあるのだから、意味を関連付けて学ぶことは合理的です。さらに、漢字を増やすときに「積み木」としてつくった背景もあります。部分(偏や旁)に目をつければ、成り立ち(意味)も形もつかめます。実践データより≪笑い≫9.「考える」は「スイミー」と、「頭」は思い出として「スイミー」では「考」をはずせません。「頭」はぼくには忘れられない思い出があります。エピソード、物語に結び付けて学びたい。10.練習も工夫して 教室の日々とつなげて機械的な練習ではなく、自分の日々とつなげた漢字練習を。子どもたちが、生き生きと学べるように。11.評価・テストに目を向けるより、子どもの意欲を大事に100点取っても「漢字はキライだ」ということになってはいませんか。子どもの意欲を生みだす学びをつくりたい。「トメ」「ハネ」「ハライ」などに異様にこだわることなく(文化庁からの指針もありますよ)、子ども第一のオモシロい学びをつくりたい。<Yokoさんには、漢字の学びデータや教材「お手紙」「ミリーのすてきなぼうし」「ことばあそび10選シリーズ」などのデータも送りました。>