県庁の星 / 桂望実

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根っからの役人気質の主人公が職員人事交流研修という名目で売上の伸びないスーパーへ赴任し、そこで役所と民間の差を知り変わっていく様子をアップテンポに描く、映画化もされた作品。

主人公・野村聡はY県県庁の産業振興課の職員であった。
が、1年間スーパーへ出向になったのだ。
「人事交流研修」はマスコミでもちょっとした話題になった研修で、2万9千人の職員の中から6名が選ばれ、各民間企業へ赴くことになったのだ。
聡の配属になったスーパーは酷かった。
パートの二宮女史が店内を仕切っているに等しく、店長や副店長は何をしているのかよくわからない。
一番最初に配属された寝具売り場の同僚に当たる渡辺は時々エスケープしてしまい、聡はどうしたらいいのか、右も左もわからず過ごす。
スーパーの経営方針、衛生環境に疑問を抱いた聡はお役所仕事的なテキパキさで書類やマニュアルを作成し上層部に配布するものの、反応は皆無であった。
そんな日々が続いた或る日、店長がトラブルに巻き込まれ退職、副店長が店長代理として店を切り盛りすることになる。
めちゃくちゃな人事異動で聡は惣菜売り場へと飛ばされる。
やる気を出し、外人の従業員たちと新しいメニュー作り等をはじめるがなかなか軌道にのらない。
そんなドタババが続く中、抜き打ちで消防署と保健所の検査があり、引っかかる。
聡の役人パワーとみんなとの一致団結でなんとか乗り切れた。
少しずつ店がまとまり、聡の気持ちも店の人間に近くなったとき、研修期間の終わりが見えてきたのだった。

痛快で、爽快なのは主人公の聡ではなく、裏の主人公・二宮女史だ。
彼女の仕事っぷりは惚れ惚れするものがある。
人から疎まれることもあるだろう、煙たがられることもあるだろう。
でもきちんと人を見て判断する力を持つ人間というのは強いのだと改めて感じた。
人を使うのは至難の技である。
それがうまければ、何をやってもうまくいく。
友情も愛情も、相手をちゃんと見て理解する力があればうまくいくものである。
この本を読んで、そういったストーリーとは関係の無い事を色々と考えてしまった。
一気に読める軽い熱血ビジネス小説で、途中若干の色恋沙汰を挟み読みやすくしているのもいいのではないかと思う。
評判程ではないと思ったが、エンターテイメント性はあるし、通勤等にはもってこいの頁数だ。
仕事にやる気を見出せない、何かワクワクする要素が含まれた本を読みたいという方にオススメ。

<小学館 2005年>


桂 望実
県庁の星


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