「ねぇ、僕のことが可愛くないっていうの」
うるうると上目使いでこちらを見てくる俺の恋人(男だけど)
別にその顔が可愛くないと思ってるわけでもない、演技なのは分かってるけど。
花がさっきからスキンシップを図ろうとくっついたりしてきてはいたのを無視していた
というか気づかなかったのは悪かったかなとは思ってたけど
いつもどおりのことだったし、その後も怒った様子無かったから・・・。
「何で怒ってるんだ」
「怒ってなんかありませんよーだっ!」
べぇーっとあっかんべぇをされた、怒ってるとまではいかなくても拗ねているようだ。
だけど理由が分からない、この完璧な霜月竜さまに分からないことなんて悔しすぎるが
人の心を完璧に理解するのはいくら俺でもできないことなのかもしれない。
「なぁ、何をそんなに」
拗ねているんだと言葉を繋げようとしたところで口をふさがれた。
押し倒されてフローリングの感触が伝わってくる、クッションがないとやっぱり痛い。
びっくりしつつも冷静に考えてる自分がいる辺りに慣れてきたのかなとか思ってしまう。
そして、自由になったとたんに
「なんで、そんな冷静なの!!」
と大声で批判された。
「いや、さっきも不意打ちだったし・・・慣れてきたのかもな」
慣れてくれて嬉しいんだか悲しんだかだよとかブツブツいいながらしょげている姿がなんか可愛い。
思わず微笑む。
「・・・、あぁっぁあぁーーー駄目駄目駄目!竜はかっこいいけど可愛さとの比率が6対4くらいじゃないと!」
そんな笑顔反則とか言う花に俺はかっこよくて当たり前だろとか言いたいことはあったが
「一応聞くがどっちが6だ?」
「可愛さ」
そ、即答で答えやがった。
「お、おま、俺はかっこいい男だ!それはもちろん将来、監督のどんな要望にも応えられるように可愛さだとかも作れるようにしてるけどな基本はかっこいいんだよ!!将来のイケメン俳優捕まえといて何言ってるんだこの馬鹿っ!可愛いのはお前だろぉお!!」
さすがに息継ぎなしで言い切るのは辛かった、酸素が足りないので深呼吸する。
どうだ文句あるかと花を睨みつけてやったら、花は頬を紅潮させ
「やっぱり、竜ちゃん可愛すぎっ!」
とハートを散らせて抱きついてきた。
あれだけ言ってもまだ可愛いを連呼するので叱ってやろうかと思ったが花の笑顔を見ていたら
なんだかどうでもいいような気がしたので可愛い俺というのを認めることにした。
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甘々10のお題