溺死した海

救助隊の人たちが来ましたが遺体で発見

暑い季節になってくると水の事故のニュースをよく耳にするようになりますが、私はその度に辛い記憶を思い出してしまいます。

あれは私が中学生の頃でした。

部活の仲間たちと約束をして、学校近くの海で遊んでいたときの話です。当時その海は遊泳禁止などの決まりはなく、親子連れなどもよく遊びに来ていたような穏やかでキレイなところでした。一緒に遊んでいたメンバーには女の子も沢山おり、私たち男子グループはとてもワクワクしていたのを覚えています。ところがそんな気持ちは、ある事故により一瞬で消え去ることとなります。女子たちにいいところを見せたかったのか、1人の友人が防波堤から海へと飛び込んでいきました。その瞬間私たちは歓声を上げ友人の勇気に大盛り上がりをしたのですが、時間が経っても友人が姿を現さないのです。

焦った私たちはすぐに近くの大人に助けを求め、それから救助隊の人たちが来ました。しかし数時間後、友人は遺体で発見をされました。海に飛び込んだ直後に何があったのかは今も分かりません。なぜあの状況で溺死したのか、できることなら当時に戻ってでも知りたいと思っています。

クラスメイトと共に葬儀へ参加。とてもショックです。

中学生という年齢で体験をした友人の死というのは、その後の私の人生に大きく影響を与えました。友人の死後、クラスメイトと共に葬儀へ参加しました。もしもあの遊ぶ約束をしていなければ、もしもあのとき直前で止めていれば、後悔の念が尽きることはありませんでした。

友人の親族も、突然の別れを受け入れられない様子でした。それまで私が出席したことのあった葬儀の雰囲気とはまるで違ったのです。あの空気感は今も私の身体に染み付いています。事故を受けて、私たちの部活はしばらくの間活動停止となりました。ショックから学校に来られなくなった部員もいて、私も毎日のように泣いていました。

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そして毎年夏になると、より色濃くあの事故のことを思い出すのです。私は今、海でライフセーバーの仕事をしています。海水浴客の安全を守る、つまりは命を守る仕事です。友人の死がなければこうした道を志しはしなかったでしょう。1人でも多くの命を救うため、今年の夏も私は頑張ります。