フジテレビの人気ドラマ
「世にも奇妙な物語」
今年で35周年らしく、
タモリさんが印象に残っている作品5選を
再放送するという企画です。
一応内容は知っているものばかりだが
レビューしてなかった作品なので
この機会に改めてレビューしてみようと思います。
「こんばんは。またお会いしましたね」
いつものタモリさん登場。
『世にも奇妙な物語』は今年で35年
のべ577本も作られたそう。
今回のSPはタモリさんが選んだ
珠玉の5作品をお届けする。

■BLACK ROOM(2001年)
主演:木村拓哉、樹木希林、志賀廣太郎
<あらすじ>
アメリカに留学中のナオキ(木村拓哉)は、両親を驚かせようと、3年ぶりにこっそりと日本に帰ってきた。タクシーで家の前にたどり着いたナオキだったが、家があったはずの場所は、何故か真っ暗な空間に様変わりしていた。手探りで扉らしきものを探し、潜水艦のハッチのような円形の分厚い床ドアを空けてキョロキョロとあたりを見回すナオキ。そこには暗い空間に浮かぶキッチンテーブル、そして両親(志賀廣太郎・樹木希林)の姿があった。
我が家のあまりの変わり様に驚き、両親に説明を求めるナオキだったが、両親の様子もなんだかおかしい。かみ合わない会話にいら立ち続けるナオキだったが、そこに突然事件が起こった――。
<感想>
奇妙で不気味な始まり方から
先読み不可能なエンディングへ到達する、
ある意味「世にも」を象徴するような作品。
画面比率が4:3で
画質も良いとは言えないが
そこがまた不気味さを増大させている。
俺はこの話は初見でした。
冒頭になぜか南極の映像が入るが
舞台は東京。
湯ノ本ナオキ(木村拓哉)は両親に内緒で
アメリカ留学から3年ぶりに帰ってきたのだが、
実家のあった場所が真っ暗で何もなくなっていた。
地下のトンネルや階段を通って
ようやくハッチを開けて出た場所に
両親がいたのだが、
どうも会話が噛み合わない。
関係ない世間話をしたり
急に立ち上がって驚かせたり
彼女がブスかどうかとか、
ナオキが聞きたいことに対して
のらりくらりと意味の無いことを答えて
なぜこんな状況になったのかは
頑なに答えてくれない。
真っ暗な部屋でテーブル越しに
シュールなコントのような
会話を繰り広げる3人。
まるで舞台劇を見ているみたいな感覚。
木村拓哉の芝居がまた上手い。
しゃべりのテンポや
間の取り方が自然で良かった。
母・樹木希林さんと
父・志賀廣太郎さんもすごく良い演技。
また南極の映像と
誰かが監視している様子が映る。
この辺りで両親が話をはぐらかしているのは
なにか特別な理由がありそうだとわかる。
――が、
うるせえと言われて突然父がブチ切れたり
ナオキのおならの音をブーッと出したり
マサコという妹がいるという初耳の話をして
しかも10歳とか言われたら
どういうことなのかナオキも視聴者も
ますます混乱してくる。
知らない家族写真に動揺するナオキ。
なんか主人公の記憶が誰かによって操作や
植え付けられてる系の話かな~と予想。
両親にこの部屋のことは
聞かないでくれと言われたが
お茶を取りに行くのに走って数分かかったり、
ビールを冷蔵庫に取りにいくだけで
バイクに乗って行ったり、
どうもこの暗闇は広大に広がってるっぽい。
「広いじゃん!」
思わずツッコんでしまうナオキ。
ナオキは両親がアル中で
頭がおかしくなってしまったんだと考察。
その時、
突然警報が鳴り出してテーブルから
緊急電話が現れ父が電話を取る。
南極にガッソンという敵が出現!?
直ちに出撃の要請とは??
急なSF展開に唖然……。
父が出撃の準備に入り
母がコンピューターでナビゲートする。
国際特務機関YUNOMOTOとは?
そして戦闘員マサコが登場。
これが妹?というか男だし
我修院達也じゃん。
「どう見たって男だろ」
「なにがもちろんなの?」
「え、これ誰?」
ナオキのツッコミも止まらない。
そうこうしている間に
父カズオと妹マサコが戦闘機で出撃。
「すげえ……」
驚きながらもかっこよさに感動するナオキ。
「時期がくればあなたも忙しくなるわよ」
母の一言でナオキの決意が固まった――。
う~ん……シュールすぎる。
なんだこりゃというオチだが、
このオチを読むのはまず無理だと思う。
湯ノ本家は国際特務機関の秘密基地で
両親が立ち上げた組織だったわけですね。
そういえば序盤で
父が予想以上に退職金をたくさんもらった
という話をしていたっけ。
あれ伏線だったんか。
オチのぶっ飛び方はピカイチで
名作と言われているのも納得できる。
でもわざわざ噛み合わない会話を
息子にする必要性はあったのかなぁ。
監視されて秘密をしゃべれないとか
理由があったのかもしれないが
そこだけよくわからなかった。
話の完成度 ★★★☆☆
奇妙な話度 ★★★★★
コメディ度 ★★★★★
ガチ恐怖度 ★☆☆☆☆
感動の涙度 ☆☆☆☆☆
■夜汽車の男(2002年)
主演:大杉漣
<あらすじ>
夜行列車の車内で、一人で落ち着ける座席を探す男(大杉漣)。ビールを飲む女、イチャつくカップル、新聞を読むサラリーマン風の中年が目に入り、なんとなく居心地が悪い。なるべく彼らから離れた席に座ろうと男が思った時、背中に衝撃があった。思わず手にしていたビニール袋を床に落とし、振りかえると、おもちゃの救急車を抱えた男の子が自分を睨みつけていた。しばらく男の子の方を見つめていると、その子は母親のことを呼びながら席へと去って行った。
その後、ようやく男は適当な席に座ることができた。安堵して、ビニール袋から取り出したのは駅弁だった。丁寧に包み紙を取り、フタを開けると思わず顔がほころび――。
<感想>
ただ弁当を食べるだけの話なのに
印象に残ったという人が多い作品。
俺もなんか印象に残ってます。
やっぱり大杉漣さんの名演が光る。
夜行列車に乗った男(大杉漣)は
カップルに睨まれたり、
子供にぶつかられたりしながら
少し離れた席に着く。
車掌が乗車券を確認しに来て
邪魔が入らないことを確信した彼は
駅弁の包みを広げた。
だし巻き卵、かまぼこ、
しいたけと人参とかぼちゃの煮物、
きんぴらごぼう、ブロッコリーの天ぷら、
しば漬、鶯豆、梅干し、
そして白いご飯。
メインの揚げものは2つ。
1つはカツか白身魚だが
タルタルソースが無いのでカツだと推測。
もう1つはイカのリング揚げ。
食事の仕方には
サブ食材を1つずつ完食する「西洋式」と
サブ食材とメイン食材をほどよく食す
「東洋式」があると言うが、
男はサブ食材だけほどよく食べ
メインを最後に残す戦法。
イカのリング揚げの時に
花畑が映るのはなにかの伏線っぽい。
食材1つ1つに感想を言ったり
食事へのこだわりがすごい。
「孤独のグルメ」っぽいなと思ったら
原作者の泉昌之は共同ペンネームで
その1人が久住昌之だった。
サブ食材を片付けた男は
いよいよメインのカツに醤油をかけた時、
「なぜソースじゃないんだ?」と気づく。
カツなら普通はソースでは?
と思ったらレタスの裏にソースが隠れていた。
そこで少年とぶつかって弁当を落とした時に
ソースがレタスが移動してしまったと推理する。
そこでさらに考察。
マヨネーズはキャベツにかけたが
量が多いのはタルタルソースの代わりでは?
とするとこれは白身魚なのか?
それともやっぱりカツなのか?
フライの中身がカツか白身魚かで
男は頭を悩ませる。
どっちでもいいから
「はやく食え」と言いたくなる。
(結局カツだったらしい)
最後に残したイカリング。
男が小学生の時に白飯しかなくて
女の子がおかずにくれたのがイカリング。
昔を思い出して思わず涙が溢れる。
……が、
オニオンリング(タマネギ)だったというオチ。
これは奇妙というか
当時は目のつけどころが斬新だった。
CGで解説するという見せ方も面白い。
しかし他人の咀嚼音が苦手な人はきついかも。
俺は漬物のカリカリ音は好き。
2つのフライものを見た主人公は
その形を見て片方で頭を悩ませたが
実はもう片方が間違っていた――。
オチでやりたかったことはわかるのだが
少年時代の背景がまったくわからないので
視聴者は感情移入しにくい。
弁当1つからよくぞここまで
話を広げたなとは思うが結局はその程度。
名作かと言われたらちょっと微妙だと思う。
この後こってりした話が続くので
箸休めにはちょうど良いかも。
話の完成度 ★★★☆☆
奇妙な話度 ★☆☆☆☆
コメディ度 ★☆☆☆☆
ガチ恐怖度 ☆☆☆☆☆
感動の涙度 ★☆☆☆☆
■ロッカー(1990年)
主演:織田裕二、段田安則
<あらすじ>
産業スパイの悟(織田裕二)は、あるバイオ生体化学研究所に忍びこんだ。しかし、機密書類をコピーしているところを、研究員の佐口邦夫(段田安則)に見つかってしまう。逃げようと必死に闘っているうちに、悟は佐口を殺してしまった。異常を察したガードマンの足音が迫ってくる。悟は逃げ場を失い、ロッカーの中に飛び込むのだが――。
<感想>
初期のトラウマ回として名高い、
ロッカーに閉じ込められてしまった男の
悲劇を描いたシチュエーションスリラー。
この翌年に『東京ラブストーリー』で
人気に火がついた織田裕二さんが主演。
研究所に忍び込んで
機密書類をコピーしている悟(織田裕二)が
見回りに来た
研究員の佐口邦夫(段田安則)に発見され、
揉み合っているうちに
灰皿で殴って佐口を殺害してしまう。
開始1分で展開が早い。
物音に気づいたガードマンがやって来たので
仕方なく近くのロッカーに隠れた悟。
死体を見たガードマンはあわてて出て行った。
その隙に逃げようとしたが
ロッカーの扉が開かない!?
そのまま警察が到着して実況見分が始まり
ロッカーから出られなくなった。
扉の内側に貼ってある佐口の名前と写真。
「あいつのロッカーだったのか」
悟が逃げ込んだのは佐口のロッカーだった。
翌朝になって
廃棄処分のロッカーを受け取りに
ゴミ回収業者がやって来て
悟が入ったままのロッカーを
外に運び出してしまう。
これはラッキーだと喜んだのも束の間、
プレス機を目の当たりにして血の気が引く。
助けて!という声も届かず、
悟が入ったロッカーはそのままプレス。
――という夢を見た悟。
その直後、
さっき見た夢と同じ結末へ。
夢だったと思わせて
やっぱり夢じゃなかったの2段オチ。
最後に悟がかぶっていた帽子が
スクラップの塊から覗いているのが
最高にホラー。
(しかし血や肉片や骨は見当たらず)
リアルに考えたら
被害者のロッカーだから
警察は絶対に調べないといけないし
遺族に遺品を渡すために中身は出す。
廃棄処分が前から決まっていたとしても
これですかと確認したり
その場に居た研究員2人が
それは佐口のロッカーだからと
指摘しないのもおかしい。
そもそも重さで変だとわかるから
壊してでも開けて中身を出すはず。
しかしこれは主人公が
佐口を殺したところから
「世にも時空」に入ってしまった
と言えば説明がつく。
写真の表情がだんだん変わっていったり
普通そうはならんやろなことが起きても
誰も気にしなくなっていた。
いや~「世にも時空」って
便利な言葉。
個人的には怖さとグロさはあったが
うなるほどの面白さは無かった。
やっぱり理不尽系なオチは嫌いです。
夢と現実で2回殺されるって
そこまでひどい仕打ち受けるほど
主人公が悪い奴に見えなくて
むしろ佐口が悪役だろと思ってしまった。
話の完成度 ★★☆☆☆
奇妙な話度 ★★★★☆
コメディ度 ☆☆☆☆☆
ガチ恐怖度 ★★★★★
感動の涙度 ☆☆☆☆☆
■美女缶(2005年)
主演:妻夫木聡、臼田あさ美、唯野未歩子

<あらすじ>
フリーターの雄太(妻夫木聡)は、同棲中の彼女・春子(唯野未歩子)が急に出張に行くことになり、しばしの一人暮らしを始める。が、隣に引っ越してきた怪しいオジサンが気になって仕方がない。その風貌に似合わず、いつも美女が部屋に出入りしていて、しかも、その人数が半端ではないのだ。ふとした出来心で、隣の部屋に侵入する雄太。そこで、彼は「美女缶」なるものを発見し……。
<感想>
世にも版「電影少女」こと「美女缶」
不思議な缶を開けたら
美女が出てきて……という話。
実は「美女缶」は
監督が先に制作した短編映画があり、
ドラマ用にセルフリメイクした作品。
アパートの隣に越してきたおじさん宛てに
「艶モノ注意」と書かれた
なにやら不思議な郵便物が届くのを目撃した
フリーターの内尾雄太(妻夫木聡)。
雄太と同棲している恋人の春子は
隣のおじさんがやけに若い女の子と
一緒に居るのを見たそうで
どういう関係なのか気になる様子。
そんな春子が仕事の都合で
明日から急に出張になって
ものすごく落ち込んでいる。
週末まで会えないことが
泣くほどのことかと励ます雄太。
翌日、
隣のおじさん「フジオ」の部屋から
綺麗な女性が大勢出てきて
しかもどういうことかモテモテだった。
(部屋のキャパオーバーしてるだろ)
ゴミとして大量に捨ててあった
「美女缶」という缶が気になる雄太は、
フジオの留守中に
ついつい隣の部屋に忍び込んで
1つだけ残っていた美女缶と
取り扱い説明書入りDVDを盗んでしまう。
その缶は「藤川サキ(20歳)」と書いてある。
取り扱い説明のDVDに従って
缶の中の赤いゼリーを40℃のお湯に溶かし、
蓋をして30分待つことに。
「フジオさん、バスタオルとってくれる?」
「マジかよ……」
本当に人間の美女が誕生。
しかし安易に性の対象にしないでと
DVDで注意があったのに
さっそく抱きつこうとして拒否られ、
家出したサキを迎えに行って仲直りする。
サキ役の臼田あさ美が可愛すぎ。


妻夫木くんもイケメンで
お似合いのカップルやな。
サキには設定があるらしく
DVDで生い立ちが語られる。
海が好きだとか
両親の喫茶店を手伝っていたこと、
美容師の専門学校に入学し、
友人とルームシェアしているetc。
雄太はサキを海に連れ出し
浜辺で戯れたり、
髪を切ってもらったり……。
ここ、すっげえ青春映画。
でも彼女いるのに
お前何やってんだって罪悪感もある。

途中止めになっていた学習ビデオを
最後まで見た雄太は
「品質保持期限2005年4月15日」
という数字を目の当たりにして、
美女缶には期限があることに
ショックを受ける。
寝ているサキの腰にバーコードと
「2005/04/15」という
数字が刻まれているのを見て確信した。
もう残り一週間も無い。
雄太がサキの欲しがっていた
ハートのペンダントを買いに外出中、
サキは雄太が戸棚の奥に隠していた
「藤川サキ」のDVDを発見してしまう。
家に戻った雄太がテーブルの上にあったDVDで
サキが自分の秘密を知ってしまったことを悟る。
あわてて外に捜しに行こうとするが
そこに出張から戻った春子と遭遇。
春子は雄太の様子がおかしいと思いながら
ふと着替え中の雄太の腰に視線を向ける。
シャツを脱いだ雄太の腰に
サキと同じような
「2005/04/12」の数字が!
そう……雄太も缶から生まれた、
いわば「美男子缶」だったのだ。
このさらっと見せるどんでん返しがいい。
雨に濡れたことで
自然に着替えのシーンに持って行くのも上手い。
春子の諦めたような表情は
今日が最後の日(12日)だから。
雄太はそれも知らないまま
雨の中をサキを捜しに走り出す。
ラスト、
海の見える木のベンチに座る
サキを見つけたところで
終わるのオシャレ。
時計の音だけが響くのも
残された時間の少なさを
表現していて余韻が残る。
この木のベンチ、
デートで寄り添っていた
2人の思い出の場所なんよなぁ。

気になったのは
サキの作ったスパゲッティに
大量の粉チーズをかけた雄太の味覚の方が
実はおかしかった可能性。
サキは喫茶店の手伝いをして
スパゲッティ食べてる写真もあったから
料理の腕はあったのかもしれないし、
雄太は期限間近で味覚が
少しおかしくなってきたのかもしれない。
真相はわからんが。
春子が雄太の履歴書を見るシーンは辛い。
明後日行くと言っていたバイトの面接。
結局は行かなかったんだけど
受かってもすぐにいなくなるし、
どんな気持ちで見守っていたんだろう。
多分バイトの面接前とか
設定でそう決まっていたんだろうか。
バリバリに仕事ができる
キャリアウーマンな春子でも
本当は1人が寂しくて
缶詰を買った心境を思うと
ちょっと泣けるんだよな……。
「実は主人公も○○だった系」は
世にもには類似作品が多いので、
昔観た時はそれほどと感じなかったんだけど
実は今回見返して1番評価が上がった作品。
「美女缶」についてのそもそもの説明や
赤いゼリーが人になる原理など
ツッコミどころは多数あれど、
最初から「世にも時空」の話だから
そういうものと納得するとして……、
完成度としてはかなり高いと思う。
結局は缶詰同士の恋だったと考えてみれば
切ないけど仕方ないことだと割り切れる。
最後に――、
この作品が最初に放送された日が
2005年4月12日という
絶妙のオチだったことも付け加えておこう。
話の完成度 ★★★★★
奇妙な話度 ★★★★☆
コメディ度 ★★☆☆☆
ガチ恐怖度 ☆☆☆☆☆
感動の涙度 ★★★☆☆
■恋の記憶、止まらないで(2019年)
主演:斉藤由貴、利重剛

<あらすじ>
シンガーソングライターの村瀬志保(斉藤由貴)は、昔のように曲を作る事が出来ず焦りを感じていた。ライブレストランで歌っても、誰も耳を傾けることはなく、SNSには辛らつなコメントが並んでいた。さらに夫の中居賢治(利重剛)は、そんな志保を応援しながらも、少しあきれた様子だ。ある日、志保は曲作りをしながらうたた寝をしてしまい、不思議な夢を見る。その夢の中に流れていたメロディーが気になり、記憶をたどりながら新曲を作る。早速その曲をライブレストランで披露したところ、急に客たちが食事の手を止め、歌に聞き惚れ、志保に注目し始めたのだ。さらに、配信ランキング4位にランクインし、SNSにも好意的なコメントが並び始めた。そんなある夜、自宅で曲作りをしていた志保は、夢の中で聞いたメロディが、かつて幼少期に自分が出演していたテレビ番組のCMソングだった事を知り、盗作をしてしまった事に気づいてしまう…。
<感想>
ラストは近年でも1番怖くて秀逸だった
「恋の記憶、止まらないで」
今でもこのメロディーと歌詞を
覚えている人も多いはず。
俺もついつい口ずさんでしまう。
♪「こぉ~いのぉ~、きおくぅ~、
とまらぁ~、ないでぇえ~」
これは
♪「ニンニィ~ク、ニンニィ~ク」と並ぶ名曲です。
シンガーソングライターの
村瀬志保(斉藤由貴)は
新曲作りに行き詰まりを感じ、
ライブレストランで歌っても
誰にも響かないことに苦悩していた。
そんな時に不思議な夢を見る。
森の中を走る3人の白い服の少女。
それを追いかける私がいて、
「♪恋の~記憶~」という
メロディーがやけに印象に残った。
すぐに夢で聞いたメロディーを思い出して
新曲「恋の記憶」を書き上げた志保は
「これなら、この歌なら」と自信を取り戻す。
この新曲をライブで歌うと大好評。
その評判がたちまちSNSで広がり、
インディーズのランキング4位に上昇。
村瀬志保は見事に再ブレイクを果たした。
そんなある日、
自分が出演した「のど自慢大会」を
昔録画してあったビデオテープが
なぜかカタッと倒れる。
ここからがヤバイ。
つい懐かしさでそのビデオを再生すると
のど自慢大会の地方CMが流れて、
夢で見たのとまったく同じ
森の中を走る3人の白い服の少女と
「♪恋の~記憶~」という
新曲に使ったあのメロディーと歌詞を
宮島素子という女性歌手が
先に歌っているではないか。

「うそ……この歌って……」
「どうしよう……」
言葉を失う志保。
パクるつもりなかったのに
結果的にパクって盗作してしまったという
ここだけは「ほんとにあった怖い話」
ネットで「 琴條」のCMを検索すると
青森で1度だけ放送されたCMとして
都市伝説になっていた。
なんでも出演した歌手の急死で
CMが放送中止になったとか。
映像も音源も残っていないらしい。
盗作の罪悪感からか志保は
幻聴や幻覚に悩まされるようになる。
宮島素子の死因を探ると
何度も謝りながら亡くなったという。
念願の歌番組の出演が決まり
もう引き返せないと考えた志保は
「恋の記憶はもう……私の曲。私の曲」
唯一残っていた証拠の
のど自慢大会のビデオテープを引き裂いて
前に進むことを決意。
しかし歌番組のスタジオで
不可解な出来事が次々と起こり、
パニック状態になってしまう。
「ごめんなさい」と謝罪する志保の前に
テレビモニターの中の宮島素子が笑いかける。
やがて歌詞が途切れ途切れに聞こえ、
「こ・の・きょ・く・と・ら・な・い・で」
そう聞こえるようになって
やっと宮島素子の死の真相がわかった。
宮島素子も曲を盗んだ側の人間で
曲を作った誰かに謝っていたのだ。
その誰かとは――。
ふいに背後から耳元で女がささやく。
「この曲とらないで、わたしの曲よ」
青い顔の不気味な女性はそう言って笑った。
がっくりと力の抜ける志保。
志保も笑いだしてしまう。
そして、テレビモニターは消えた。
この青い顔の女性役は
「トリハダ」で有名な
笹野鈴々音さん。
めっちゃ怖かったっす。
これ今回のSPでは
この後の結末語られなかったけど
初回放送では幕間でタモリさんが
主人公はこの後に
亡くなったと言ってました。
まったく後味の悪い結末です。
この話は個人的にかなり印象深くて
今回の中では1番だと思っていたんですが
総合力で「美女缶」に抜かれた感じ。
序盤の盗作判明の衝撃から
それが世間にバレたらどうしようという
中盤のハラハラ感や葛藤が
後半のポルターガイストや
安いホラー演出で台無し。
怖さに振り切ったのは良いことではあるが
宮島素子の死因とか
誰からどうやってパクったか
オリジナルを歌った青い顔の女に関する情報を
もっと出してほしかった。
「恋の記憶、止まらないで」が
「この曲、盗らないで」に変化する言葉遊びは
アハ体験みたいで面白かった。
話の完成度 ★★★★☆
奇妙な話度 ★★★★☆
コメディ度 ☆☆☆☆☆
ガチ恐怖度 ★★★★★
感動の涙度 ☆☆☆☆☆
第1位:「美女缶」 ラストの見せ方◎。臼田あさ美が可愛すぎ。
第2位:「恋の記憶、止まらないで」 ガチホラー。メロディーが残りまくる。
第3位:「BLACK ROOM」 後半の怒濤の展開に笑いとツッコミが止まらない。
第4位:「ロッカー」 理不尽だが「これぞ世にも」な話。
第5位:「夜汽車の男」 実は「孤独のグルメ」読んでないので……。
最後にタモリさんが
「近々またお連れしましょう」
と言っていたので
もしかして新作かとざわついたが
そんなこともなく終わった。
ついでに俺のベスト5選を選ぶなら
今のところ順不同で――、
●「三人死ぬ(1991年)」露口茂
ひょんなことから4年前にタイムスリップしてしまい、過去の銀行強盗殺人事件に巻き込まれた弁護士が、三人死ねば自分は助かると信じてとった緊急避難の行動が波紋を呼ぶ話。物語のプロットがよくできている。
●「思い出を売る男(1994年)」小堺一機
借金で妻と子供にも愛想を尽かされて出ていかれた男が、自分の思い出を高く買い取ってくれる不思議な店に出会う話。木梨憲武でリメイクもされた名作。ラストは号泣確実で、過去1番泣いた。
●「昨日公園(2006年)」堂本光一
キャッチボールをした公園で別れた友人がその夜に事故で亡くなった。翌日その公園のベンチに座るとなぜか昨日に時間が巻き戻るという「バタフライエフェクト」な話。これは有村架純でリメイクされた。ラストなんとも言えない気持ちになる。
●「AIRドクター(2013年)」小栗旬
飛行機内で乗客が急病で倒れ、医者として名乗り出た男。実は医者になりそこねた医大生だった。看護師や麻酔医まで出てきてしまい、3人で緊急手術する話。ギャグ漫画のような展開から最後に謎の感動が待っている。
●「デジャヴ(2021年)」上白石萌歌
誕生日に謎の覆面男に襲われる夢。父親が脳科学者でその被験者となった娘が、覆面男の正体を暴くために何度もデスループして手掛かりを探る話。ミステリの完成度が高く、鳥肌ものの伏線回収がすごい。
ちなみに「世にも奇妙な物語」の略称が
正式に「世にも」に決まったことは
みなさんご存じでしたか?
最初から「世にも」と呼んでいた俺、
こーれは勝ち組ですわ。