3週間を1クールとして 抗がん剤治療を最低6クール〜8クール行う。

治療はDA-EPOCH-R療法。

 

 

DA:Dose Adjustedの略。

   抗がん剤量を調整できる意味で、この療法の特徴の1つらしい。

E:エトポシド

P:プレドニゾロン

O:オンコビン

C:シクロホスファミド(エンドキサン)

H:ヒトロキシダクノマイシン(?)(アドリアシン)

R:リツキサン

 

 

DAY1〜DAY4までは

3種の抗がん剤(E+H+O)+ステロイド(P)を96時間持続静注。

DAY5はエンドキサン(C)+ステロイド。

DAY6以降は血球を上げる薬、グランの投与を行いながら

血球が上がったときに 最後のリツキサン(R)。

 

 

 

3週間のうち、1週間〜10日くらいが抗がん剤投与期間

残りの2週間くらいを回復期間に当てる。

1クール目の血球の下がり具合の程度によって

次のクールの抗がん剤の投与量を調整していくとの事。

 

 

また、早い段階の途中のクールから髄腔内注射を何回か行う。

この病気は中枢神経に高い確率で浸潤しやすいらしく

髄液にがん細胞がないかをチェックして、注射回数を決めるらしい。

がん細胞が確認出来なかったとしても、

予防のために髄注で抗がん剤投与は絶対に行うことが決まっている。

 

 

 

副作用は、大きく分けて4つ。

1つ目は、脱毛は避けられないけど、吐気・口内炎・下痢/便秘に関して。

 

これらは本当に人それぞれだけど、

特に吐気に関しては、抗がん剤投与前に必ず吐気止めを投与するので

最近はゲーゲー吐く人はいないらしい。

それでも吐気がするなら吐気止めの薬を変えるから、と。

口内炎は酷くなって食事も無理になる人もいるらしくて

本当に食事がダメになったら鎖骨らへんに栄養剤の点滴になるとの事。

 

 

2つ目はインフュージョンリアクション。

抗がん剤に身体が拒否反応みたいなのを起こして

かゆみ・発熱・動悸・血圧低下・呼吸困難などが出る場合があるそう。

リツキサンのときは要注意で慎重に行います、と。

 

 

3つ目は感染症と出血。

治療で血球が底まで落ちるので、

その時に感染症を起こすとかなり危ない状況になるから注意が必要。

あと、血小板が今低い&治療で低くなる可能性もあり血が止まりにくいから要注意。

どちらも輸血や薬で予防は行うけど、もし症状が少しでも出たら

すぐに対処が必要になるからすぐに言って下さいと言われた。

 

 

4つ目は、私達夫婦が一番気にかけていた副作用。

腫瘍崩壊症候群による腸壁剥離と敗血症です。

 

抗がん剤で腫瘍を大量に崩壊していく治療をしていくのだけど、

もん太の腫瘍は腸にほぼ集中しているので

腸壁に癒着している腫瘍もポンっと急に破壊された場合

稀に腸が少し破れる場合があり、そこから細菌などが悪さをして

最悪の場合 敗血症になる可能性がある怖い副作用。

 

 

普通は10%以下の確率なんだけど、もん太の場合は腸付近の腫瘍が大きいので

それ以上の確率がある、と説明を受けたのです。

 

 

もし敗血症になったら生存がかなり厳しくなるらしいし

大きい腸壁剥離が確認できたら即手術らしいし

ていうか敗血症ってもう別の病気になっちゃうし。

 

 

副作用聞くと、怖い事ばかりですね。

でも 治療はやるしかないのだから

絶対そうならない様に、お腹の違和感には敏感に意識しながら

体調やお腹の様子に少しでも不安があったらすぐに申告!という事に。

 

 

 

バーキットリンパ腫は珍しい病気だけど抗がん剤の効きが凄く良くて

この療法は最初の1クールを乗り切れば再発もほとんどない病気なので

とにかく1クール目、頑張りましょう!!!と

先生に励まされ、いよいよ私達夫婦の闘病生活がスタートしたのでした。

 

 

 

10月31日。

義理母さん、私、もん太で確定診断を聞いた。

 

 

診断書には

病名:バーキットリンパ腫 とはっきり書いてあった。

 

 

確定診断が出るまでの間に、覚悟はできていたつもりなのに。

どんな病気だって、もう治すしかないんだから

どんな結果であろうと もん太を支えようって決めたのに。

余命宣告さえ受けなければ、大丈夫!って思ってこの日病院に来たのに。

 

 

やっぱりショックは隠せない。

・・・弱い妻ですね。

 

 

本人のもん太の方は、静かに話を聞き

酸素マスクもして点滴に繋がれ、歩けないから車イスで聞いていたのに

先生に質問もいくつもしてた。

 

 

内容はほとんど覚えてないけど

『この病気は 息子に遺伝する可能性はありますか?』

ていう質問だけ覚えている。

 

 

自分が大変な状況なのに、そこ心配するんだ。

やっぱり、父親だね。

 

 

遺伝性ではないので大丈夫かと思います、と

先生がすぐに返答してくれて 安堵。

 

 

 

 

説明が終わって 治療がスタートするちょっと前に病室で手を繋いだ。

 

 

絶対 大丈夫。

一緒に 頑張ろう。

 

 

 

そして 抗がん剤治療がスタートする。

 

 

10月28日

朝9時ちょうどに S病院からT病院へ救急車で搬送、転院。

診察データを持ってK先生も一緒に乗車してくれて

T病院の先生へ直接報告してくれた。

その対応にとても感謝したのを覚えています。

 

 

転院後、早速 考えるだけで痛そうな検査の連続。

骨髄穿刺(マルク)に胸水穿刺、

翌日には手術によるリンパ節採取。

 

多くの場合は首のリンパが肥大化しやすいらしいけど

もん太の場合は腸付近のリンパが肥大化していて生検については慎重。

なぜならば、血小板数の減少で血が止まりにくくなっているため

できれば開腹手術は避けたかったのです。

幸い、足の付け根のリンパ節が少し確認できるとの事で

翌日そこから生検採取が成功。

 

 

もん太は呼吸も苦しそうで痛みの伴う検査続きでさらにぐったり。

あいかわらず汗がすごいので、私はウチワで仰いであげる事しか出来ない。

 

 

そして  その日はあいにくの金曜日。

確定診断は月曜、つまり3日待たないと出ないらしく

本格的な治療はそれからになると説明を受けた。

 

 

これらの検査は数十あるリンパ腫のタイプを確実に見定めるもので

タイプによって治療法が微妙に異なるらしい。

 

でも  もん太は進行が早いから

それまで放っておく事はできないとの事で

抗がん剤治療の前準備として

ステロイド点滴はスタートとなった。

 

 

 

ああ、やっぱり悪性リンパ腫でしかないんだ。

いや、でももしかしたら違う病気かも。 

そんな怖い病気に もん太が罹るわけがない。

 

 

もん太の前では

大丈夫、絶対大丈夫   私が居るから!

なんて言っておきながら

心の中では混乱がずっと続いていた。

 

つづく。