またもや、映画です。

「THEATRE TOKYO」というサイトで見れる、
柿本ケンサク監督の新作「UGLY」を見ました。
(このサイトはこれからもネット上で映画作品を上映するとのことなので、
映画好きは要チェックですよ!)

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柿本さんの作品を見るのは、今回が初めて。
主演は窪塚洋介。
日本人カメラマンが、フランスで「聡」を巡る謎を究明する過程で、
聡の友人達との間に生まれる人間ドラマを描いた作品です。

見た後の率直な感想は:いまいち、でした苦笑
とても単純なプロットで、話の最後が途中から簡単に予測できます。
それはそれで悪くないし、シンプルなプロットの方が表現し易いもの
(登場人物の感情、複雑性、または、映像の芸術性に対する拘りなど)もあります。
実際、柿本さんは、手持ちビデオカメラで撮ったような「パーソナルな撮り方」を用いて、
作品に臨場感を与えようとしているのであろうと思うのですが、
分かり易すぎる筋書きと、定型に沿ったキャラクターの感情表現・行動パターンに、
「フィクション」臭さが全面に出てしまっていました。


しかし、それ以上に気になったのが、
明らかにフェミニストに反感を買うであろう、オチ!
フェミニストではない私ですら、「どうなの?」と思ってしまいました。

女を「情緒不安定で、狂っている」か「母性の象徴」かに分け、
最終的に「女」を「男」の理解範疇外の生物として自己完結的に締めくくり、
「男の友情」を美化して終わるという、
女性としては、そして、一応の名目としてでも「男女平等」を語る現代に生きる身としては、
あまり納得のいかないストーリーでした。

柿本さんがセクシストだと言うつもりはありませんが(そこまで知らないし)、
あれはちょっと頂けなかったなあ。

でも、とりあえず、窪塚君は相変わらずかっこ良かった。
そして、パリに行きたくなりました。
単純で、すみません笑





一ヶ月以上ブログを放置してしまい、すみませんでした。

先日、現代美術製作所にて開催された「アトミックサイト」展に足を運びました。

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今年5月に開催された「アトミックラウンジ」のアーカイヴ展です。

自身を『「ファンタジーとしての原発安全神話」を脱構築する反/脱原子力PR施設』
と称する通り、
原子力発電所にある子供向けPR施設に模し、
小さい模型や等身大のモデル、映像に読み物と、
「子供の科学館」に似た雰囲気を醸し出していました。
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主なメッセージとして:

「フクシマ以後、安全を語ることは野蛮である」
「NO PLACE TO HIDE=もはやかくれる場所はない」
政府をあてにするのやめ、「自分たちでそれを検出しよう(DIY: Detect It Yourself)」

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が掲げられていました。

でも、正直な感想として、この企画にはもう一歩踏み込んで欲しかったなと思います。

「アトミックサイト」展では、「被害者意識」が全面に打ち出されていました。
「一般市民である私たちは被害者だ」という立場から、
「悪者である信用できない政府」を責め立て、「原発反対」を訴えています。

実際、私たちは原発事故により放射能汚染という被害を被りました。
また、事故に対する政府の対応は、既にメディアでも散々バッシングされている通りです。
しかしそれは、被害が起きたから生まれた感情的リアクションであって、
そもそも「なぜ原子力発電所が日本に作られたのか」「それを許したのは誰か」という
前後の状況についてのリフレクションに欠けています。

展示作品の内の一つに、米国の核兵器のシルエットと並んで、
原子炉が描かれているものがありました:

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石川雷太「GEWALT 2011/核兵器バージョン~アメリカの戦略核兵器と戦術核兵器」2011年

原子炉を核兵器と並べることにより、「原子力発電は兵器である」と訴えています。
しかし、もしそうなら、原子炉は原発事故が起こる以前から「兵器」であり、
今回の放射能汚染とは関係無く「悪いもの」です。
そして私たちはその「悪いもの」を、原発事故が起こるまで許してきたということになります。

この展示には、「被害者意識」は十分すぎる程にありましたが、
自分たちがこの原発事故の「責任者」でもあるという意識が欠如していました。
悪いのは政治家うんぬんだけではない。
それを許してきた私たちにも、責任はある。
この事故を自分たちの責任として理解しなければ、それから学ぶ事も出来ないし、
企画展の語る「原発のない未来」に信憑性も生まれません。
結局、反原発デモもただのお祭りとして終わってしまいます。

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そこら辺を突く作品があったらもっと面白かったかな、と思うものの、
勝手な個人的意見なので、悪しからず!

久しぶりに、アートについて。
実はこの展示には結構前に行ったのですが、書いていませんでした:

ギャラリーMOMO両国「高橋涼子 Liberation」

六本木と両国にあるギャラリーMOMOですが、
今回初めて両国の方に行きました。

高橋さんは大阪出身、東京での展示は今回が初めて。
もう七年間「髪」を用いて制作されているのだそうです。

ギャラリー内はインテリアデザインのディスプレイのように、
真ん中にベッド、壁や脇にシャンデリア/ランプや装飾品が飾られています。
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どれも本物の髪の毛を使用していて、
やはり紐とは違い、「体温」を持っています。
光に当たって、エンジェルリングが出来ている…笑

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手前の白いカーテンに区切られているスペースには
毎週土曜日、高橋さんが座り、お客さんは高橋さんの髪の毛を切って、
それを白い画用紙に貼付けるというショーをやっているのだそうです。

髪の毛は、人から分離したとたんに
「綺麗」なものから、「汚」く「不潔」なものになります。
高橋さんは、切られて「死んで」しまった髪の毛を
アートとして蘇らせ、生と死の境を彷徨う物体へと作り替えます。

展示のタイトル"Liberation"は和訳すると「解放」ですが、
高橋さんによると「私は髪の毛によって、解放されているのかもしれない」のだそう。

彼女の作る、たゆたう不確かな世界に、魅了されました。

Ryoko Takahashi "liberation"
Venue: Gallery Momo Ryogoku
Schedule: From 2011-06-25 To 2011-07-23
Address: 1F 1-7-15 Kamezawa, Sumida-ku, Tokyo 130-0014
Phone: 03-3621-6813 Fax: 03-3621-6814