管理栄養士国家試験<肝臓、肝臓病で私が覚えたこと>
肝臓で覚えたことはこんな感じです。若干小腸あたりも入ってしまっております。糖尿病、肝臓病に比べ、他の臨床は範囲が狭い気がしますので、このあたりが一番大変なのだと思いますこれまで↓を10回読んでくださいと言ってきましたが、肝臓に関しては9回しか読んでいない部分も結構ありました。みなさんも10回にこだわらず~【送料無料】 いちばんやさしい管理栄養士国家試験合格講座最新出題基準対応 / 渡辺睦行 【単行本】2,376円楽天【送料無料】 管理栄養士国家試験過去問解説集 2017 5年分徹底解説 / 管理栄養士国試対策...3,240円楽天肝臓肝臓の働き① 水溶性栄養素が最初に入る水溶性栄養素(グルコースやアミノ酸、水溶性ビタミン、ミネラルなど)は、小腸(多くは空腸)から吸収される。吸収されたこれらの栄養素は門脈を経由して肝臓に入った後、全身に運ばれる。脂溶性栄養素は、小腸から吸収され、リンパ管を経由して鎖骨下静脈に入った後、全身に運ばれる。② 糖新生が進行するアミノ酸や乳酸からグルコースが作られることを糖新生という。腎臓でも少し進行する。グルコース-アラニン回路は、筋タンパク質の分解で生じたアラニンが血流にのって肝臓に運ばれてグルコースに変換される回路。アミノ酸からグルコースの生成は、空腹時に増加する。空腹時は糖新生のために骨格筋でアラニンが放出される。コリ回路は、筋肉で生じた乳酸が血流にのって肝臓に運ばれてグルコースに変換される回路。コリ回路で生成したグルコースは糖新生や筋肉で利用される。肝臓へのグルコースの取り込みにはインスリンは関与しない。肝臓のグルコーストランスポーター(糖輸送体)であるGLUT2は、インスリン非依存性である。筋肉と脂肪組織のグルコーストランスポーターであるGLUT4は、インスリン依存性である。筋肉グリコーゲンの合成はインスリンによって促進され、アドレナリンによって抑制される。赤血球ではグルコースから乳酸が生成する。肝臓グリコーゲンの分解は、門脈中のグルコース濃度の上昇により抑制され、血中グルコース濃度の低下により促進される。③ グリコーゲンを蓄える肝臓ではグリコーゲンを合成し、貯蔵する。運動や空腹、絶食で糖が不足すると、グリコーゲンをグルコースまで分解し血糖値を上昇させる。これは肝臓だけ。筋肉のグリコーゲンはグルコース-6-リン酸をグルコースにするグルコース-6-ホスファターゼがないので、血中にグルコースを放出できないため、血糖値の維持に関与していない。グリコーゲンの濃度は肝臓の方が筋肉より高い。量は筋肉の方が多く体重の2.5~4%。肝臓は体重の1.1~1.3%。肝臓は絶食時などグルコース供給が不十分な場合にケトン体を合成するが、処理する酵素を持っていないため、肝外組織(脳や筋肉など)に運ばれてエネルギー源として利用される。グルカゴンは、肝臓のグリコーゲンの分解を促進して血糖値を上昇させる。グルカゴンは膵臓のランゲルハンス島A(α)細胞で合成、分泌されるホルモン。最も生理的な分泌刺激は血糖値の低下である。肝細胞のグルカゴン受容体刺激は、グリコーゲン分解を促進する。グリコーゲン合成は、肝細胞のインスリン受容体刺激によって促進される。食後、肝臓のグルコースの利用は増大する。④ 尿素回路(オルニチン回路)が進行するおもに肝臓、一部腎臓で進行。アミノ酸の代謝で生じたアンモニアを解毒する回路。具体的にはアンモニアから尿素を作る。尿素は尿として排泄される。⑤ 脂質(トリグリセリドやコレステロール)を合成する肝臓で合成された脂質はVLDLによって全身に運ばれる。食事由来のトリアシルグリセロールは、脂肪組織に蓄積される。吸収されたトリアシルグリセロールや肝臓で合成された脂肪は、脂肪組織に蓄積される。空腹時肝臓では脂肪酸のβ酸化が促進エネルギー産生のために脂肪組織から脂肪酸が放出肝臓でのVLDL分泌は食後に促進される。合成されたトリアシルグリセロールを脂肪組織に運搬する働きがある。空腹時の小腸では、カイロミクロン(キロミクロン)分泌が低下している。食後吸収されたトリアシルグリセロールはリポタンパク質(カイロミクロン)となり肝臓に運ばれる。骨格筋では空腹時に脂肪酸のβ酸化が亢進⑥ アルブミンを合成する臓器アルブミンは遊離脂肪酸を運ぶ。貯蔵脂肪中のトリグリセリドがホルモン感受性リパーゼで分解されると脂肪酸が切り離され、それを遊離脂肪酸と呼ぶ。遊離脂肪酸を運ぶのがアルブミン。アルブミンはリポタンパク質としても活躍する。アルブミンは、血症膠質浸透圧を維持する。血液の浸透圧が保たれていないと、血液中の水分が血管外に出てしまい、浮腫が生じる。⑦ ビリルビンのグルクロン酸抱合を行う臓器肝臓はグルクロン酸抱合したビリルビンを胆汁へとくみ出す。ビリルビンは赤血球色素が代謝されたもので黄色い。血中の総ビリルビン(間接ビリルビン+直接ビリルビン)濃度2.0mg/dl以上で黄疸をきたす。赤血球は120日が寿命で、脾臓で壊される。その際、赤血球から赤血球色素が出てくる。赤血球色素が代謝されたものが間接ビリルビン(脂溶性)。間接ビリルビンは、肝臓でグルクロン酸抱合され水溶性の直接ビリルビンになる。身体は水溶性の方が体外へ排出する時に便利なので、間接→直接ビリルビンに変える必要がある。直接ビリルビンは胆汁中へとくみ出され、便として排出。便が少し黄色いのは直接ビリルビンの色。溶血性黄疸では血清間接ビリルビンが上昇。ウロン酸回路(グルクロン酸経路)は、グルコースからのグルクロン酸の合成を行う。ヒト、サル、モルモット以外の動物では、グルクロン酸からVC(アスコルビン酸)を合成できる。⑧ ビタミンDを活性化する臓器摂取したVDは肝臓と腎臓で活性化され、機能を発揮するようになる。肝臓と腎臓、両方で活性化される必要がある。VDは小腸からのカルシウムの吸収を促進する。⑨ アンギオテンシノーゲンやフィブリノーゲンを合成する臓器血圧の上昇に関わるアンギオテンシノーゲンは肝臓で合成されるペプチド。体内で代謝されて最終的にはアンギオテンシンⅡ(強力な血圧を上昇させる物質)になる。フィブリノーゲンは血液凝固に関するタンパク質。フィブリンは肝臓で合成される血液凝固に関わるタンパク質である。プロトロンビンが血液凝固因子第V因子によって活性化されトロンビンとなり、トロンビンがいフィブリノーゲンをフィブリンに変化させる。出血後の止血機構1、傷ついた血管に血小板が粘着、血小板同士で血栓を作る。出血を防ぐ(1次止血)2、血しょうタンパク質のフィブリノーゲンが重合して不溶性のフィブリンとなる。血球を取り囲み、二次血栓が作られる(2次止血)3、血管が修復されると、血栓は血しょう中のプラスミンによって溶かされ、消失する。フィブリン溶解現象(線溶)という。糖質の代謝肝臓へのグルコースの取り込みはインスリンに依存しない。細胞内へのグルコースの取り込みはグルコース輸送体(GLUT)によって行われる。肝臓にはGLUT2とGLUT3が見出されている。 肝臓では、アミノ酸からグルコースの産生が抑制される。筋肉では血液中のアミノ酸の放出が低下する。筋肉中にグルコースが取り込まれ、筋タンパク質の分解は抑制される。脂肪組織では、血液中から脂肪酸の取り込みが増大する。グルコースから脂肪酸の合成が促進して脂肪組織に脂肪酸が取り込まれる。脂肪組織ではグルコースの取り込みが促進される。肝臓の病気・脂肪肝では、適正なエネルギー摂取(標準体重×25~30kcal)をして、脂肪は控えめにする。脂肪肝は、肝細胞中に中性脂肪が過剰蓄積した状態。肝臓脂質代謝異常があることによってリン脂質が蓄積した状態は脂肪肝と呼ばない。脂肪肝はクワシオルコル型栄養失調で認められる。脂肪肝はクワシオルコル型の栄養障害では、タンパク質不足により肝臓でリポタンパク質を合成できず、肝臓に中性脂肪が蓄積する。アルコールの多飲は。肝臓でのVLDLの合成を高め、中性脂肪を上昇させる。・肝硬変の原因は、B、C型肝炎、アルコール、非アルコール性脂肪肝(NASH)などが挙げられるが、もっとも多いのはC型肝炎(ウィルス性)。肝硬変、C型肝炎、非アルコール性脂肪肝(NASH)などでは鉄毒性が示唆されているため、鉄の過剰摂取に注意する。アルコール多量飲酒の継続によっても肝硬変を発症する。非アルコール性脂肪肝(NASH)インスリン抵抗性がみられる。炎症や線維化を伴う予後不良の脂肪性肝炎であり、肝硬変に移行する。過食や運動不足による肝臓への強度の脂肪沈着に、活性酸素や異常なサイトカイン等による炎症が加わることにより起きる進行性の病変。C型肝炎ウィルスは関与しない。肝臓組織の鉄量増加や血清フェリチン値、トランスフェリン飽和度が上昇していることが多い。肝炎発症に過剰な鉄による酸化ストレスの関与が示唆されている。肝硬変の代償期は症状があまりみられない期間肝硬変の非代償期非代償期肝硬変患者と臨床検査成績・プロトロンビン時間(PT)延長・血小板低下・血清γグロブリンは高値となる。 血清総ビリルビンは高値となる。 血清乳酸脱水素酵素(LDまたはLDH)は高値となる。肝臓本来の働きがほとんどできない。肝実質細胞の壊死、線維化により肝血流が低下する。すると門脈圧が亢進して血液がうっ滞し、血液中の水分が血管外へと浸みだし、腹水が生じる。うっ滞した血液が前に進もうとし、食道近くの血管を通る迂回路が形成される(食道静脈瘤の原因)。 糖新生ができなくなり、グリコーゲンを蓄積できなくなるため、低血糖のリスクが高まる。夜間食(LES食)として200kcalほどの糖質の補給を行う。 尿素回路が働かず、アミノ酸の解毒ができなくなる。血中アンモニアが上昇し、肝性脳症の原因の1つになる。そのためアンモニア濃度を低く保つため、エネルギー摂取量は変えず、タンパク質摂取を減らす(低タンパク質高エネルギー食)。便秘になると腸内細菌がアンモニアを作るため、便秘予防にラクツロース(オリゴ糖)を投与することもある。 フィッシャー比(BCAA/AAA)〈分岐鎖アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)/芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン)〉の低下も肝性脳症の原因。トリプトファンも芳香族アミノ酸であるがフィッシャー比の計算には用いない。肝臓は分岐鎖アミノ酸は代謝できないが、芳香族アミノ酸は代謝できる。肝硬変になると血液中の芳香族アミノ酸が増え、フィッシャー比は低下する。分岐鎖アミノ酸を投与し、フィッシャー比を上げる。肝不全、硬変患者の経腸栄養剤は芳香族アミノ酸を少なくし、分岐鎖アミノ酸が強化されている。 トリグリセリドやコレステロールの合成が出来なくなるので、低トリグリセリド血症や低コレステロール血症のリスクが高まる。 アルブミンの合成が出来なくなる。血中アルブミン濃度は低下する。低アルブミン血症の症状を示す。アルブミンは血液の浸透圧を保つために重要な働きをしているので、結果的に浮腫が生じる。血中γ―グロブリンは高くなる。 ビリルビン(脂溶性)をグルクロン酸抱合して水溶性にした後、胆汁へとくみ出す。肝硬変ではこのくみ出しがダメになる。直接ビリルビンが溜まり、血液中に出てきてしまい、黄疸をきたす。VDの活性化ができず、カルシウムの吸収が低下する。骨からカルシウムが溶けだし、骨粗しょう症のリスクが高まる。 カルシウムの吸収が低下してもそう簡単には低カルシウム血症にはならない。血中のカルシウム濃度は骨に出し入れすることでコントロールされているため。アンギオテンシノーゲンが合成できず、血圧が低下する。フィブリノーゲンが合成できず、血液が固まりにくくなる。コリンエステラーゼ活性は低下する。そのほか、脾臓腫大、くも状血管腫、手掌紅斑、男性の女性化乳房、消化管出血などの症状。そのほか溶血性貧血血中間接ビリルビンが上昇して黄疸をきたす。たくさんの赤血球が壊れてしまうため、間接ビリルビンが上昇する。肝臓の機能は正常なので、グルクロン酸抱合はできるが、間接ビリルビンが多すぎて抱合が追い付かず、血中間接ビリルビンが上昇して黄疸をきたす。新生児黄疸新生児は肝臓での間接ビリルビンの抱合が上手ではないので黄疸になることがある。胆管は肝臓から十二指腸に伸びている細い管。胆管が詰まると、肝臓でグルクロン酸抱合された直接ビリルビンが含まれている胆汁がうっ滞してしまったということ。うっ滞した胆汁中の直接ビリルビンが血液中に漏れ出して、黄疸をきたす。胆管が詰まる病気は、胆管がん、ファーター乳頭(胆管と十二指腸がつながっている部分)の腫瘍、胆石など。すい臓がんなどですい臓が腫れて胆管が押しつぶされた時も、胆管は詰まります。肝がんのリスク因子―B、C型肝炎ウィルス、アフラトキシン、飲酒A型肝炎ウィルスは、肝がん発症と密接な関係はない。生体肝移植は、末期肝不全や切除不可能な肝がんに行う。C型肝炎―感染症法(5類感染症)、感染対策基準法、肝炎対策の推進に関する基本的な指針に基づいて対策がとられている。予防接種任意:A、B型肝炎脂質の代謝 肝細胞内で生成したクエン酸は、脂肪酸の合成材料となる。肝臓で生合成後、グルタミン酸残基γ位をカルボキシル化させる補酵素(2,7,9,10因子)としてVKが機能している。1,5,8,11因子はVKに依存しない。食後の脂質代謝血中のカイロミクロン(キロミクロン)が増加する。食後、食事由来の脂肪はカイロミクロンとなり、血中のリポタンパク質リパーゼ活性が促進され、細胞内に取り込まれる。肝臓における脂肪酸合成が亢進し、VLDLの分泌が増加する。コレステロールと胆汁酸の代謝分泌された胆汁酸は腸内細菌によって二次胆汁酸へ代謝される。コレステロールが細胞内に蓄積されると、血中コレステロールが上昇し、肝臓でのコレステロール合成が抑制される。肝臓で合成されたコレステロールは、VLDLに取り込まれて血中に分泌される。コレステロールから胆汁酸への合成は、肝臓で行われ、胆のうに放出される。胆のうから分泌された胆汁酸は、回腸で90%が能動輸送され再吸収される。リポタンパク質の代謝LDLはVLDLから生成される。キロミクロンは食事由来の脂質を含むため、食事由来のコレステロールを含む。多く含むのは、トリアシルグリセロールである。LDLはVLDLよりトリアシルグリセロール含有率が低い。コレステロールを多く含む。LDLは肝臓で合成されたコレステロールを肝臓に運搬する。胆のう炎胆のうの急激な収縮を防ぐため、脂肪分を制限(1日15g以下)し、胆石の原因となるコレステロール食品を制限する。また血清コレステロール濃度低下作用を持つ食物繊維の摂取をすすめ、刺激物は避ける。栄養ケアのモニタリングと再評価肝臓病予備能は、腹水の有無、血清ビリルビン値、血清アルブミン値、ICG検査、プロトロンビン活性値、脳症の有無などを組み合わせて評価する。血清のα-フェトプロテイン(AFP)値は、肝臓がんなどの指標である。アロプリノールは、肝臓での尿酸合成を抑制。高尿酸血症を改善する。赤血球合成を促す薬としては、エリスロポエチン製剤などがある。腎性貧血の治療に用いられる。肝臓に酸素を運搬するのは、固有冠動脈である。胆汁は消化酵素を含まず、脂肪をミセル化して吸収を助ける働きを持つ。リパーゼは膵液や胃液に含まれる。コレシストキニンは胆のうを収縮させ、胆汁の放出を促進するほか、脳に作用して満腹感を起こす作用もある。正味たんぱく質利用率は体内保留窒素量を摂取窒素量で割って求める。空腹時に副腎皮質から分泌されるグルココルチコイド(糖質コルチコイド)は体たんぱく質の分解を促進する。生成した遊離アミノ酸は主に肝臓で糖新生の材料として利用される。トリアシルグリセロールの含有率が最も高いリポたんぱく質はキロミクロン。ホルモン感受性リパーゼは、脂肪組織中のトリアシルグリセロールを分解する酵素である。飢餓状態になるとホルモン感受性リパーゼが脂肪組織中のトリアシルグリセロールを分解してエネルギー源として利用する。ホルモン感受性リパーゼは、グルカゴンやアドレナリンにより活性化され、インスリンにより抑制される。