近頃、お酒が美味しい季節になりましたね。
そのお酒をもっと美味しく感じさせてくれるアイテムが、器です。
陶器やガラスのお猪口(おちょこ)=酒器はよく見かけると思いますが、
金属製のものはまだまだ珍しいかも知れませんね。
最近、百貨店でもこだわりの品物を並べている棚で、
錫製の器を見かけるようになりました。
ざっくりと説明すると 百貨店でよく見かける製品は、
溶かした金属を型に流し込んで作る鋳金(ちゅうきん)という方法で作ります。
鋳金とは、溶かした金属を鋳型(いがた)に流し込み、
冷却してから鋳型から取り出し表面を研磨するなどして仕上げる技術です。
鋳造ともいわれ、それによってできたものを 鋳物(いもの)といいます。
型の個数だけ、一度に沢山の製品を作る事ができる効率の良い量産の為の製作方法になります。
流した金属が固まると、型から取り出してバリを取って磨いて完成。
(デザイン等によっては、中を旋盤で削る場合もあるみたいです。)
一方、私の作り方は、まずは錫を溶かして円形の錫板を1枚作ります。
その円形の錫板を、当金(あてがね)と呼ばれる、
レールのような鉄の柱のような型(作る形によって、ひとつひとつ形状が違います。)に沿わせて
木槌で叩いて全体を丸く整えていきます。
この製作方法を、鍛金(たんきん)とよびます。
鍛金とは、金属を金床や烏口などにあて金鎚で打つことで形を変えていく 技法。
打ち物、鎚金(ついきん)、鍛冶(かじ)ともいいます。
金属を叩いて圧力を加えて、塑性流動させて成形し、
鍛流線(fiber flow) が連続するために組織が緻密になります。
鋳金に比べて鋳巣(空洞)ができにくいので、強度に優れた粗形材をつくることができます。
この鍛金という技法で作る場合、一度で形が完成する事はありませんので、
何度も叩いては丸く形成していき、また叩いては丸く形成していく
という作業を何度も何度も繰り返し、徐々に小さな丸い器の形にしていきます。
この作業の時、気を付けないといけないのは同じ個所を叩いていく事。
丸く小さくしていくのに広がって大きくなってしまっては駄目です。
前と同じ個所を叩きながら、形を徐々に小さく丸めていくという
ある程度、慣れと感覚が必要な作業を続けていきます。
ごく稀に、曲げる力に耐えられずに金属が割れてしまうという場合があります。
その場合は、最初から溶かす工程からやり直しになります。
目指す器の形になったら、最後に金属製の金鎚で
鎚目と呼ばれる跡を付けて金属を絞めていきます。
絞めるというのは、簡単に言うと固くするという事です。
形が整ったら飲み口を整えて削り、ヘラで滑らかにして布で磨いて完成です。
このような工程を経て、やっと1個が完成します。
私の作り方では1日で作れる数量は限られてしまうので、
百貨店で取り扱いのある大きな会社の錫製品の場合は、このような作り方はせず
一度に沢山作ることができる型を使う方法で作ります。
神戸三宮にある創作串揚げのお店「串はん」さんで、飲食時に地酒を注文されると、
私の作った錫の酒器でお酒をお召し上がりいただく事ができます。
五島産の椿油で揚げたこだわりの美味しい串揚げと、この時期にピッタリなお酒は相性抜群。
お店でお試になってから、お気に召していただければ店頭で錫の酒器の販売もしております。
お店のご予約は、お電話にて承っております。
前日までのご予約のお客様だけに、淡路島産の天然もずく酢の一品サービスもございますので
是非ご予約くださいませ。
串はん
17:30~23:00
(L.O.22:30、ドリンクL.O.22:30)
※材料などの都合により早く終了することがございます。
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