今日はちょっと余談。
わしとこは弱小試験対策書籍編集屋、
キレイに言えば、相互に協力し合い、
現実的には力を貸しあわざるを得ない、
カツカツの人員でやっとる困窮会社。
おかげでいろんな試験と相まみえ、
差し違えることも多々あるのだけど、
こないだキレかかった管理栄養士が
わしら福祉系に質問してきました。
こちらも殺気立つ真夏のお客様から、
お問い合わせがあったんですって。
"この問題、誤りが2つあります!!"
おおっと?これは穏やかじゃないな~
どれどれ~ワタシらに見せてごらん~
管理栄養士ってどういう資格かは、
「栄養指導・献立作成のプロ」で、
管理栄養士は名称独占の国家資格。
常勤の管理栄養士が配置されれば、
介護報酬や診療報酬で加算される。
うちらと無関係じゃないんですよ。
つうことで、
お客様をキレさせた問題はコチラ。
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2016年3月20日実施
第30回 管理栄養士国家試験問題
27 治療の種類とその例の組合せである。誤っているのはどれか。1つ選べ。
(1)原因療法-C型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法
(2)対症療法-市中肺炎に対する抗菌薬投与
(3)放射線療法-食道がんに対する放射線照射
(4)理学療法-脳梗塞後の麻痺に対するリハビリテーション
(5)緩和療法-がん性疼痛に対するモルヒネ投与
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こんなのうちの【人体】でも出そう…
しかも、誤っているものを選ぶの。
ていうことは、4つ正しい、1つが×。
5つの選択肢を順にみていくと、
原因療法は原因から根絶やしにする、
肝炎の原因はウイルスでしたよね。
と、食道がんに対する放射線療法、
脳梗塞に理学療法=リハビリときて、
パッパとわかる者を除外していくと、
2択、(2)と(5)が残ります。
まずは、
(2)市中肺炎ってなんだよって件。
ただの肺炎と違うんかいっていうと、
これが違うんだってって話である。
肺炎は、
発生した環境によって分類されていて、
院内・施設内・市中の3種類がある。
入院中の病院で発生する…院内肺炎、
介護施設などで発生する…施設内肺炎、
街中で発生するのが市中肺炎。
院内・施設内肺炎は、黄色ブドウ球菌、
グラム陰性菌の肺炎桿菌、緑膿菌など、
場合によってはレジオネラ菌、
耐性黄色ブドウ球菌などが引き起こす、
ことがある。
市中肺炎は、街中に飛んでいる菌、
ウイルスが主、そういう意味でいえば、
院内・施設内よりは原因は雑多で、
肺炎球菌、インフルエンザ菌、真菌。
マイコプラズマも有名どころでした。
これら原因と考えられる微生物に応じ、
抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬で、
原因を元から断つ治療方法がとられる。
「市中肺炎に対する抗菌薬投与」は
原因にダイレクトに関わる方法だから、
対症療法じゃないと言いたいところで、
実際の正解も(2)が誤りでした。
じゃあ、っていうことで、
「(5)緩和療法
=がん性疼痛に対するモルヒネ投与」、
これが正しいってことなんですか??
は?
いいのかこれで?ってなるよね普通。
厚生労働省「緩和ケア」の定義とは、
ハイそこの賢明な受験生諸君!
【福祉行財政】で問われるかんね。
これと関係あるのは
「がん対策推進基本計画(平成24年6月閣議決定)」。
この中で、
今までは、
治療しても快方に向かわない状態と、
わかった段階で始めるもので(旧)、
緩和ケアが始まる=もう死期が近い、
みたいな誤解も多くみられていた。
だから、ものすごい副作用だとか、
苦痛を伴う辛い治療でも、とにかく、
頑張れるだけ頑張らなきゃいけない、
または頑張ってもらわなきゃいけない、
といった雰囲気になってしまって、
患者は、疾病と治療の二重の苦痛に
さいなまれるようなことにもなった。
だから、この考え方を改めて、
緩和ケアは、がんになったときから、
必要に応じて行う(新)が主流に。
緩和ケアとは、身体の疼痛だけじゃない、
心と身体の痛みを和らげること。
なんのため?→QOLを守るためです。
緩和ケアに関わる職種は多種多様で、
医師、看護師、ケアマネ、心理士、
リハビリテーション、社会福祉士、
そして、管理栄養士が深く関わる。
がん患者の望みはささやかなもの。
お母さんのカレーが食べたいとか、
お寿司が食べたいといったりする。
晩酌がしたい、ビールが飲みたい、
これも枚挙に暇がないほど聞く。
そういうとき、献立のプロとして、
管理栄養士は欠かせない資格職だ。
全員が一丸となって緩和する痛みは、
それまでの人生から引きはがされる、
その人が感じる「痛み」のすべてだ。
モルヒネ投与はその緩和ケアの一部。
なくてはならないが、全部ではない。
だから、
わしらがこの選択肢から受けたのは、
「モルヒネ打っときゃ緩和ケア」
っていうクソ浅っさい理解で出題した、
頭が悪くて無責任な作問者の図で、
お客様がキレ、管理栄養士担当がキレ、
わしらもキレかかるという阿鼻叫喚。
つうかわし知らなかったんですけど、
一般に緩和ケア、緩和医療とは言うが、
(学会は「日本緩和医療学会」)
「緩和療法」って巷間にある用語??
とまあ、
こんなところでイチャモンつけても、
正解がかわることはないんだけど、
もう少しさあ、なんつうかさあ、
生命にかかわる専門職なんだから、
出題は正確に敏感にお願いしますよ。
そして、ここがお上と下僕の間柄。
公表された正解が間違いであっても、
正解であることの根拠を探し出して、
なんとか解説しなきゃいかんのよ。
「モルヒネ投与を含む」で押しまくり、
なんとかご納得いただいたようです。
バカな作問者はどこも同じ(以下自粛
真剣に考えている栄養のプロの卵に、
試験問題の○×だけで片づけず、
ほんとだったらもっと説明したいよー
食べることは生きることと同義だ。
生きていた記憶の証にもなるんだと。
緩和ケア。
社会福祉士ももちろん欠かせない。
できるだけ取り巻く人々とともに、
過ごす場と時間を確保すること、
環境とともにある生を尊重すること。
どっか閉鎖的な場所で、
医師が黙って注射してるつうイメージ、
試験で広めてどうすんだと言いたい。
医師とか、専門職に限定しなくたって、
すぐそこの死に向かっている人に対して、
自分は何ができるかって考えたら、
誰だってやるべきことが見つかるよ。
緩和ケアってそういうもんだよ。
わし経験者が語るんだから間違いない!
「がんが発見されたときから」って、
試験に出る出ないっていうのをこえて、
もっと広く知られてもいいなと思う。
つうことで、今週もよろしくー
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社会福祉士、他課の問題に関わるw
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