マモルは従妹の直子に語った。
 
「ビートルズの『ノルウェイの森』は、ナンパに失敗した歌なんだ」
 
「へぇー そうなんだ」
 
「有名な話しだけど、
 この歌の英語タイトルは『Norwegian Wood』で
 本当はノルウェーの家具
 誤訳なのか洒落で訳したかわからないが、
 家具を森と訳したようで 」
 
「わざとじゃないの?」
 
「よくビートルズが、やるな」
 
「たとえば?」
 
「そうだな。
 ジョージハリスンとエリッククラプトンがタイトルで悩んでいた。 
歌詞に、
ジョージが『ブリッジ』って、書いていたんだが、
クラプトンが『バッジ』と、読み間違えたんだ。
すると、隣にいたリンゴが『バッチってなんだ?』
それを2人は聞いて、タイトルを 『バッヂ』にしたとか」
 
「へえ~ そうなんだ。 『ブリッジ』って何?」
 
「一般的な曲の構成 A、B、C で、
Cがサビなんだ。
サビは、Cメロと言ったりする。
A、BはAメロ Bメロでもいいが。
まぁ一般的にはAをVerseヴァース、
BはBridgeブリッジと呼ぶんだ」
 
「さすがね。 それで、
『ノルウェイの森』、ジョンがナンパに失敗するのね? 
どんな歌詞なの?」
 
「ジョンが、ナンパした女性に拒絶されたうえ、
 彼女の家に置いてけぼりにされたので、
 腹いせに暖炉に火をくべて、
 彼女のお気に入りのノルウェー製家具を燃やしてしまうのさ」
 
直子は5秒ほど沈黙したあとに、マモルに訴えるように言った。
 
「 ・・・・
 それは・・・・
 私が置いてきぼりに されたのよ。
 ねえ そうじゃない?」
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幻冬舎から4作目の筆者の  「SAKIMORI」