ユルヤカナシ

結＞2014(w)365[ユルヤカナシ]

オトコは独りIFUから離れ湖に向かう
この世界はオトコのいた場所とは何もかもが違う
時間は潤沢にあり、テクノロジーは想像を超えている、
しかしそこに生命としての無理はなく、人々は生き物のままとして自然体で生きている。

オトコはこの世界に来れた幸運に喜ぶ。
どのようにして来たのかは未だ分からぬままだが
あの世界に嫌気が差し逃げ出したいと渇望していたことは覚えている。
IFUはあの世界とは180度ちがう。まさに理想郷。

湖でオトコは石を投げる。遠くで水にはねる音がする。
キラキラと透き通った石。湖畔は宝石の原石で埋め尽くされ輝いている。
フと、オトコは『これを持って帰ればオレは、、』と考えそうになりバカな計画に頭を振る。
いくら金持ちになろうともココより良い暮らしはあるはずもない、、

石を投げた先にワニが見える。ワニと言ってもオトコが図鑑で知っていたそれとは明らかに違う形状と色をしたワニ。魚が跳ねる。波が寄せる。何処かで鳥の鳴く声がする。

オトコは思う、なぜワニと分かるのだろうか？

オトコは気づく。同じだと。

これほどに違う世界の中で、ワニは水辺に生き、魚は虫を食べる。
鳥は歌声でコミュニケーションを図る。オトコのいた世界と同じ習性で生きる。手にした透明の石を見る。固くツルツルした触感、イメージと同じ重み。

オトコは子どもだった時を思い出す。今とは違う日常と価値観、
泣く事は無くなったが、それでもあの時と同じように悩み感動して笑う事ができている。きっと泣く事もいつか出来るだろ。

子どもの記憶に起因してオトコは歴史の授業を思い出す。
どの時代にも同じだけの人々の生と死があった事を、そして歴史は緩やかに変化し続けた事を。

オトコはまた気づく、世界がグラデーションでできている事を。
子どもから大人になった緩やかな変化を、
過去と未来を繋ぐ緩やかな変化を、
そして、自分が少女だった時から今までの事を、
緩やかに死にむかって生きている事を。

風が吹く、オトコの目の前で全ての世界は緩やかなグラデーションをもって美しく輝いていた。



＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
2014(w)365コレクションルック解禁です！
http://rbtxco.com/rbt2014_w/rbt2014_w_photo.html

IFU

I F U

起＞2013(s)365[ミチトノソウグウ]
～オトコが気づくと見知らぬ世界にいた、そこは何もかもが想像を超えるテクノロジーで出来た世界。オトコはそこで「進化祭り」という祭りを見る。半裸のオトコ達が「緩動物～死(無)～水生動物～獣～思考動物～鳥」へと進化していくモノガタリを踊り祀る。自分の既成概念が一気に崩壊する瞬間
http://rbtxco.com/rbt2013_s/rbt2013_s_photo.html

承＞2013(w)365[ユルノシジマニ]
～IFUでは大人達は夜になると子どもを家に残し森の中に出かけていく。日中は様々な色のある森が夜になると青一色に塗りつぶされる。そんな森の中に大人達は青い正装をし楽しそうに出かけていく。子ども達はそんな大人を見送りながらまだ見ぬ未来の予感を抱いて眠りにつく
http://rbtxco.com/rbt2013_w/rbt2013_w_photo.html

転＞2014(s)365[ユメノシジマニ]
～オトコが目覚めると完璧な朝がある。ベットの中で無垢な自分を包む柔らかい光。眠りと覚醒の隙間でオトコは過去に思いを馳せる。二度と体験したく無いと思った様なトラウマが融解していく程の完璧なGood Morning
http://rbtxco.com/rbt2014_s/rbt2014_s_photo.html

RBT2014W365＞IFU LAST chapter

RBTでは2013(s)365のコレクション[ミチトノソウグウ]から
I F U シリーズとして縦軸をひとつのモノガタリで繋いできました。

IFUというのには２つの意味があり

ひとつはif(もし、もしも…)という意味。
これはボクが中学の時にいちばん印象的だった単語で、
日本語では「もしも」なんて言葉は習わない。
改めて習う事でもしもって考えてみたらビックリ！
なんて創造的な言葉でしょう！？

想像は頭の中で生まれるもので、
その空想って、言葉やカタチにする必要のないもの。
それを誰かに伝える、支離滅裂にぶちまけるのであれば簡単
思いのままにヒトの反応なんて気にせず言いたいこと
やりたい事を全部すればOK
でも、ちゃんと分かって欲しいと思った時には
ifが必要、もし空飛ぶ車があったとしてね、、、
もしも君の目で見る世界とボクの目で見る世界が
同じじゃないとしてもそれって証明できないよね、、

if～がある事で始まる創造があるなぁ～って。

もうひとつは畏怖(いふ)
本来、八百万(やおよろず)の神を信仰してきた日本人には
比較的なじみある概念だと思うけど、、
3年前にあった地震で痛感したひとも多いと思います。

ヒトは自然の一部であり、科学や社会がどんなに成熟しても
大地を離れては生きられないし、
地球がなくなってもなお生きれる程、
ヒトはまだ不自然ではないと思うのです。

もっと生身の生き物としてキラキラした生き方や
テクノロジーがあっても良いと思う。
もし許されるのならファッションだって。。。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
(きっと注釈が必要ですね)
RBTは非常に見た目がケミカルでド派手なブランドなので
ECOからの自然を連想するヒトにはRBTが説く自然的には
違和感を持たれる方もいると思います。
ボクが子どもの頃いちばん夢中になった動物は一角でした。
擬態する昆虫やケバケバしい南国の鳥達、
ハレーションをおこした珊瑚の世界。それらも自然。
RBTがめざす自然にはそういったものが中心に描かれています。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

縦軸で４シーズン(２年)続けて来た I F U シリーズも
起承転結。今回がラストチャプターとなります。