現在、離婚協議書と遺言書の作成のお手伝いをしています。
そのうち遺言書は、公証役場で公正証書にすることになりました。
公正証書とは、法律のエキスパート(元裁判官、検察官、法務局長など)である公証人が作成し、その内容に“ お墨付き ”を与えてくれますので、黄門様の印籠とはちょっと違いますが、かなり強力な証拠力・証明力があります。
たとえば離婚協議書に「養育費を毎月○万円支払う」となっていた場合、その支払が滞ったときに、私製の協議書では、支払を求めて裁判するところから始めることになります。
もし、公正証書で離婚協議書を作って、その中に「支払が滞ったときは、強制執行されても構わない」と入れておけば、裁判をすることなく強制執行の手続ができてしまいます。
では、冒頭に書いた離婚協議書はなぜ公正証書にしないのでしょうか?
それは、ご依頼者側が離婚時に一括で金銭を払う内容なので、強制執行手続になるような場面が出てこないからなんです。
話を遺言に戻しましょう。
遺言には公正証書だけではなく、すべて自分で手書きする「自筆証書遺言」やワープロ(古い!)などで作成しても大丈夫な「秘密証書遺言」があります。(他にも差し迫った場合の方式あり)
公正証書で遺言を作るメリットは、公証人がご本人(遺言者)を前にして遺言内容を読み聞かせるので、ご本人の意思でご本人が遺言したことを証明してくれます。
また、原本を公証役場で保管してくれますので、生前ご自宅に保管しておいたはずの自筆証書遺言が、無くなったり、破棄されたり(遺言書が出てこない方が都合のいい人がいるかも知れませんする)することがあるようですが、そういった心配もありません。
一方デメリットはと言うと、費用(公証人手数料は法律で決まってます)がかかることと、基本は公証役場へ出向かなければならない(体が不自由で外出が無利な方などは、出張してもらうこともできます)ことでしょうか。
でも、遺言は実現するから意味があるのです。
かかる費用は、ある意味保険料(一生に払う保険料は一体いくらぐらいなんだろう?それに比べれば)だと思えばいいのではないでしょうか。
今日もご依頼いただいた公正証書遺言の件で、公証役場でご依頼者に代わって公証人と打合せして来ましたが、私がいる間中、お客様がひっきりなしで、2件の遺言の読み聞かせまで行っていました。
都内の大きな公証役場で常時複数の公証人がいるところでも、てんてこ舞い状態です。
普通の公証役場は大概常時1名(曜日により交代勤務していることが多い)の公証人で営業?していますので、いつもそんな感じです。(すべての公証役場がそういう感じかどうかは分かりませんが)
公証人はそんな具合で、結構多忙です。
もし、「自分の遺言書は、じっくり何度も、納得のいくまで相談してから公正証書にしたい」とお考えであれば、まずはお近くの専門家に相談して、内容が固まってから公証役場に行かれたほうが宜しいかも知れません。
公正証書遺言を作成する際に必要な証明書(戸籍・評価証明・登記事項証明など)の取得を依頼することもできますし。
最後になりますが、遺言のポイントはと言うと、「取り合えずでもいいので、作っておく」ことです。
遺言は何度でも書き直せます。
遺言の決まりごとを間違えていなければ、要するに日付が後の遺言が優先されることになるのです。
実際、以前に公正証書遺言の作成依頼があった際、ご依頼人様の意向をお伺いしてから公証人と打合せをして、作成日の予約を入れた後に、残念なことにご依頼人様が亡くなられたことがありました。
後日ご相続人様より、遺言があれば不要な遺産分割協議書の作成の依頼を受けることになってしまいました。
「お父さん、遺言書を書くっていつも言ってたけど、結局書いてくれなっかたので、こんなに揉めてしまって・・・」
「いつ書くの?」
「今でしょ!」
“事業と暮らしの法務サポーター ”
行政書士 高村 龍介
http://www.takamura-office.com/category/1372077.html