などの表示だが、ニセ表示を警戒する農水省の基準はとても厳しい。
あくまでも認定された、「有機JAS」の表示しか認めない姿勢だ。
認定基準は、
・種まき又は植え付けする2年以上前からほ場(畑)の土に禁止された農薬や化学肥料を使用していないこと
・栽培中も禁止された農薬や化学肥料を使用していないこと
・使用する肥料や農薬は天然物質又は化学的処理を行っていない天然物質に由来するもののみ
・ほ場や施設、用具などに農薬や化学肥料の飛散・混入がないこと
・遺伝子組換えの種を使わないこと
・病害虫を防除するのに農薬に頼らないこと
手塩にかけて農薬を使わずに育てた野菜でも、お隣の畑の持ち主が害虫退治のためにちょっとでも農薬を使っていればアウト。施肥しようと思った肥料に化学物質が混入されていればアウト。書類審査と現地視察ののちに審査待ち。もし認定されても毎年申請して審査を受ける必要がある。
農薬と化学物質をシャットアウトするのは当然なのでかなり納得できるものの、申請手順や申請者自身のチェック作業がこんなに厳しいのでは、有機農法は日本に普及しないのではないか?さらに、お隣の畑の責任は本人の責任ではない。そのへんも明確にしてもらわなければ、時間をかけて有機肥料を作り続けている農家は救われない。
兼業農家が多い現在、有機JAS認定システムは、農業をプロとして行い、それだけで食べている人にとっては、高く売るためのアドバンテージとなる。しかしほかの仕事もしなければならない兼業農家が、過去に遡った化学肥料の混入状況を克明にチェックするのは、大変というよりも、ほぼ不可能ではないか。
むしろ、台所ゴミを畑や田圃に撒いて土壌を黴菌だらけにしているシロウト有機肥料信者や、肥料を作ることのできない偽コンポスト製造機を販売している家電メーカーなどへの対策のほうが大事ではないだろうか。家電メーカーのコンポスト生成器を通した台所ゴミを畑に撒いたら、少なくとも3年間はその土地を使えなくなるのではないだろうか。なにせ原料は化学添加物が山のように入った食品だからだ。
有機JASを取得すれば高く売れるのだろうが、申請をしない農家でも合格点の有機野菜をきちんと作っている人は山のようにいる。誰だって科学物質が入った農作物を出荷したくはないのだ。頑張っているんだ。
審査をなくせと言っているのではない。農家の時間を奪うなと言っているのだ。審査団体や農業指導員が申請書や農家自身のチェックを代行してくれるような仕組みを予算化しない限り、日本の有機農業はダメになると思う。
この問題を総合的に調査した良い報告があるので、農家のみなさんは、ぜひ参考にしていただきたい。あ、農水省のみなさんも。
●有機JAS以外の有機農業の実態調査結果 西尾道徳
http://lib.ruralnet.or.jp/nisio/?p=1469