私が韓国で所属していた教会にも、韓国人のご主人の仕事が安定していなくて、生活が大変な日本人女性が何人かいました。
そのなかには、ご主人が病気で亡くなった人もいます。
韓国人の男性と結婚し、そのご主人が亡くなった場合、その後どうして暮らしていくか、ということは、韓国で暮らしたことのないひとには具体策は浮かばないと思います。
一番考えやすいことは、日本に戻ることでしょう。
しかし、子どもがいる場合は、これは現実的な方法ではありません。
子どもが韓国の学校に通っている場合、簡単にはいきません。
↑で書いた、ご主人が病気で亡くなった女性も、当時小学生の子どもがいました。
それまで住んでいたアパートはチョンセ(伝貰)で、チョンセ(伝貰)は韓国独特の賃貸住宅制度、借りるときに預けた保証金がそのまま戻ってきます。
その保証金は亡くなったご主人のお金だったのかまでは知りませんが、ご主人が亡くなったあとは、別のアパートに彼女と子どもで住むことになりました。
そのアパートもチョンセ(伝貰)ですが、それは亡くなったご主人のお姉さん夫婦が出してくれたそうです。
お姉さんにすれば、亡くなった自分の弟の日本人の奥さんは、不甲斐ない弟によく連れ添ってくれた。
それに、ご主人が亡くなる前にはご主人のお母さんとも同居していました。
お姉さんにとっては、自分の母親です。
そういうのもあって、寡婦となった日本人の義妹にアパートを借りてあげ、毎月の管理費だけを負担すればいいようにしてくれたそうです。
韓国のこういうところは日本と違う文化と言えます。
韓国はまだまだ後進国といえる部分があって、それは良くない部分もありますが、良いところは、家族は助け合って生きるというのがあることです。
兄弟姉妹との情関係、甥や姪との情関係も日本よりは近いと思います。
それでお姉さん夫婦は、寡婦となった日本人女性のためにチョンセでアパートに住めるようにしてあげました。
2LDKのアパートなので、母と子で暮らすには十分な広さでした。
もし日本に帰るとなれば、彼女の実家には高齢のお母さんしかいませんでした。
お母さんの家に帰ることはいろんな面で難しいことでした。
お母さんと暮らさず、日本で家を借りるとなると、毎月の家賃の問題を解決するのが一番最初にしないといけないことです。しかしそれは簡単なことではないでしょう。
もちろん彼女のように、亡くなったご主人の家族が助けてくれる場合だけとは限りませんが、こういうケースもあるということです。