こんばんは。
今日も郵政民営化見直しについて考えてみたいと思います。
民主党政権になり、これまで数年間かけて取り組まれていた郵政民営化について
すべての時計の針が逆戻りしはじめました。
今、なぜ時計の針を戻さなければならないのか。
民営化の動きを止めることが、どういう意味を持つのか。
今一度考えてみましょう。
最近まことしやかに言われているのは、
「ユニバーサルサービスを維持するために、民営化を見直しする」
という理由です。
ただ、これは、明らかに議論のすり替えです。
なぜなら、民営化すると合理化されてユニバーサルサービスが維持できない、、という
そんな単純な話ではないからです。
まず、郵便についてみると、
日本の場合、郵恐らくどの国と比較しても、正確に、迅速に
日本津々浦々どこにでも郵便が届けられる高品質の「ユニバーサルサービス」が実現されています。
日本の郵便事業はすでに自由化され、
民間の業者も「郵便事業」を営むことが可能になっています。
認可の条件は、今の郵便局と同様に「ユニバーサルサービスができること」。
つまり、民間であろうが国営だろうが、「ユニバーサルサービス」を提供しなければ
郵便事業ができない訳です。
さらにいえば、郵便事業は「ネットワーク」で勝負しているビジネスです。
つまり
「儲かるところも儲からないところも含めて、全国津々浦々にネットワークがあるからこそ、付加価値がある」ビジネス。
「儲からないから、そこだけしっぽ切りをしよう」
といったとたんに、全体のビジネスの付加価値がそがれてしまう。
つまり、儲からない部分も、実は全体のビジネスの価値=収益力を支えている、、、という考え方ですね。
これを、ビジネス用語で、「ネットワーク効果」と言います。
例えば、セブンイレブンのATMは、全店舗一斉導入、、という風に切り替えたら
全体の利用率が格段に増えました。
「儲かりそうなところ、お客がATMを使いそうなところ」だけ導入していては、駄目だったのです。
「どこのセブンイレブンにいっても、ATMがある」
という「顧客のイメージ」が利用を促進する訳ですね。
だからこそ、収益力を維持し、強化していきたいなら、民営化されたとしても、戦略的に、全体のネットワークを維持をしながら、全体の収益力を上げる戦略を考えるはずです。
プロの経営者であれば、そういう検討をしていくと思います。
つまり、民営化されたら儲からない郵便局はすぐに閉鎖される、、というのは、
あまりに単純な議論ということになります。
折しも、日本の財政は厳しい状況にあります。
日本の年間国家予算(国の支出予定)は80兆円ですが、
そのうち半分の40兆円は、税収(自分の収入)ではなく、
「借金=国債」で調達している
自転車操業。
当然、いつかこの借金は返さなければならないので、
ツケは、10年後、20年後の「将来の私たち」に回って来ます。
つまり、私たちが、いまよりももっと沢山税金を払わなければ、当たり前ですが
この借金は返せないわけです。
加えて、少子化と高齢化が進み、労働者人口は年々、減っていくかもしれないので、
いまより、もっともっともっと税金を払わなければならないことは、
残念ながらほぼ確実です。。
過疎地の不採算の郵便局の運営赤字など、
全部合わせたとしても、それほど大きいわけではありません。
普通の経営をしていれば、通常の経営の中で吸収できるレベルの問題です。
(そもそも、不採算の郵便局は今でもありますが、現時点では郵政は4会社とも黒字です)
郵政を民営化して上場したら、株式の上場売却益で、恐らく数兆から10数兆円という規模で、政府の歳入が入ってくるでしょう。
これだけでも「子育て給付金」予算の数倍の規模の歳入ですから、財政健全化の一助にはなるでしょう。
結局私たちは、
政府は、
何を守ろうとしているのでしょうか。
もっと本質的な問題に、
しっかり向き合っていきたいものです。
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こんにちは。
他のブログの立ち上げで暫くお休みしてしまいましたが、
これからは、毎週日曜日に記事をアップしていきたいと思います。
さて、この数週間で、郵政については大きな変化がありました。
そのおさらいをしていきたいと思います。
まず、経営陣が大きく刷新されました。
ー日本郵政グループの社長は、元三井住友銀行G頭取の西川社長から、
大蔵OBの斉藤社長に交代しました。
- これに伴って、郵政グループの取締役のメンバーも大きく変わるのだと思います。
これまでは、「民間から役員を登用していく」ということで、様々な業界から役員が来ていました。
ただ今のところ、今後役員がどうなっていくのかは詳しく対外発表されていません。
たしか、小説家の方が新しく役員になられるみたいですね。
組織がどのように変わっていくのかは、経営陣がどういう布陣になるのかで
極めて大きくかわります。
役員人事は、日本国民に対する、そして世界に対する対外的な「メッセージ」にもなるし、郵政の職員の皆様への「メッセージ」にもなります。
政府の閣僚人事などが、日本だけでなく世界中から注目されるのは、政治を主導していく人々がだれになるのか、それそのものが、極めて大きな「メッセージ性」をもつからです。
さらに、新しい経営陣が、最初の一歩でどのような「象徴的」なヘンカクを行うかで、
その後の機運や評価も大きく変わって来ます。
郵政についてみると、少なくとも、今の段階では、
「緊迫した日本の赤字財政を支えるために、また国営に戻るのか???」(だって、これから発行する赤字国債だって、郵政マネーが支えてくれないと、立ちゆかないし。。。。)
というメッセージが聞こえてくるような人事になっているような気がします。
結局郵政は、どこにいきたいのか、
何をしたいのか。
もっと明確な方針を、いろんな形で具体化し、メッセージにしていかなければ
また数年後に、「やっぱり方針転換!」なんていう
大きな揺り戻しがおきる可能性が高いように思います。
これから1ー2ヶ月で「新体制」の郵政がどのような具体的方針を発表するのか、
国会ではどのような議論がなされるのか。
注目していきたいと思います。
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これからは、毎週日曜日に記事をアップしていきたいと思います。
さて、この数週間で、郵政については大きな変化がありました。
そのおさらいをしていきたいと思います。
まず、経営陣が大きく刷新されました。
ー日本郵政グループの社長は、元三井住友銀行G頭取の西川社長から、
大蔵OBの斉藤社長に交代しました。
- これに伴って、郵政グループの取締役のメンバーも大きく変わるのだと思います。
これまでは、「民間から役員を登用していく」ということで、様々な業界から役員が来ていました。
ただ今のところ、今後役員がどうなっていくのかは詳しく対外発表されていません。
たしか、小説家の方が新しく役員になられるみたいですね。
組織がどのように変わっていくのかは、経営陣がどういう布陣になるのかで
極めて大きくかわります。
役員人事は、日本国民に対する、そして世界に対する対外的な「メッセージ」にもなるし、郵政の職員の皆様への「メッセージ」にもなります。
政府の閣僚人事などが、日本だけでなく世界中から注目されるのは、政治を主導していく人々がだれになるのか、それそのものが、極めて大きな「メッセージ性」をもつからです。
さらに、新しい経営陣が、最初の一歩でどのような「象徴的」なヘンカクを行うかで、
その後の機運や評価も大きく変わって来ます。
郵政についてみると、少なくとも、今の段階では、
「緊迫した日本の赤字財政を支えるために、また国営に戻るのか???」(だって、これから発行する赤字国債だって、郵政マネーが支えてくれないと、立ちゆかないし。。。。)
というメッセージが聞こえてくるような人事になっているような気がします。
結局郵政は、どこにいきたいのか、
何をしたいのか。
もっと明確な方針を、いろんな形で具体化し、メッセージにしていかなければ
また数年後に、「やっぱり方針転換!」なんていう
大きな揺り戻しがおきる可能性が高いように思います。
これから1ー2ヶ月で「新体制」の郵政がどのような具体的方針を発表するのか、
国会ではどのような議論がなされるのか。
注目していきたいと思います。
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世界一やさしい経営とヘンカクのお話
おはようございます。
今日も郵政民営化について考えていきたいと思います。
折しも昨日は、西川社長辞任会見が行われました。
「政府の見解と、これまでやってきたこと、これからやろうとしていたことの乖離が大きくなったため」
これで、郵政民営化も大きな方向転換をすることになります。
「郵便、保険、郵貯一体のユニバーサルサービスを」
という政府の方針。
これまで、4社化するために2年以上体制を準備してきた日本郵政グループの組織は、
ここへきて、時計を巻き戻す作業をすることになります。
ちなみに、世界的な郵政の「ユニバーサルサービス」の定義は、あくまで「郵便」に限った話です。
これはヨーロッパも北米も同じこと。
「郵便だけじゃなくて、保険、郵貯も全部一体でユニバーサルサービスを法律上の義務とする!!」などと宣言した郵政事業体は、おそらく日本の郵政が史上初めてだと思います。
さらに、先日もお話したとおり、
民間の金融機関は、銀行法等で「兼業」が認められていません。
「銀行も保険も郵便も一体で経営します!!」
なんてことは、今の法律上は認められていないのです。
郵政を完全に民営化し、民間と同じ土俵でフェアに競争する、という方向でいくのなら、
4分社化が必須だったわけですね。
でもここでは、その方向性は破棄して、3事業一体、というわけですから、
完全に日本郵政を国有に戻すか、
そうでなければ、「特例」として日本郵政だけは、郵便と保険と銀行を「兼業」することを認める法律を作る、ということになるでしょう。
民営化はするけど、特例で兼業を認め、すべての事業に対して法律でサービス提供のレベルを縛る
というのは、かなりいびつな感じを受けます。
そこまでやるなら、
「そもそも民営化なんて最初からしなければよかったのに(郵政民営化選挙はなんだったんだ!?)」
という気がしないでもありません。
さらに、全世界のトヨタグループをひっくるめたくらいの規模と人数の従業員を抱えた組織を
僅か2年あまりの間に「4つに分けたりもう一度戻したりする」という「行ったり来たり」を強いるということは、郵政の従業員の方々には、大変な負担だと思います。
加えて、これだけ政治家が経営に介入してくる、ということになると、
普通の神経の経営者は「ぜったいに郵政社長なんかやりたくない、、」と思ってしまうでしょう。
社長後任人事がなかなか進みにくいことは、容易に想像できます。
折しも50兆円の赤字国債発行などで、日本の財務はどんどん痛んでいく可能性が高いですが、
郵政民営化の見直しは、私たちにとって何をもたらしてくれるのでしょうか。
民主党政権の厳しい舵取りが始まるような気がします。
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折しも昨日は、西川社長辞任会見が行われました。
「政府の見解と、これまでやってきたこと、これからやろうとしていたことの乖離が大きくなったため」
これで、郵政民営化も大きな方向転換をすることになります。
「郵便、保険、郵貯一体のユニバーサルサービスを」
という政府の方針。
これまで、4社化するために2年以上体制を準備してきた日本郵政グループの組織は、
ここへきて、時計を巻き戻す作業をすることになります。
ちなみに、世界的な郵政の「ユニバーサルサービス」の定義は、あくまで「郵便」に限った話です。
これはヨーロッパも北米も同じこと。
「郵便だけじゃなくて、保険、郵貯も全部一体でユニバーサルサービスを法律上の義務とする!!」などと宣言した郵政事業体は、おそらく日本の郵政が史上初めてだと思います。
さらに、先日もお話したとおり、
民間の金融機関は、銀行法等で「兼業」が認められていません。
「銀行も保険も郵便も一体で経営します!!」
なんてことは、今の法律上は認められていないのです。
郵政を完全に民営化し、民間と同じ土俵でフェアに競争する、という方向でいくのなら、
4分社化が必須だったわけですね。
でもここでは、その方向性は破棄して、3事業一体、というわけですから、
完全に日本郵政を国有に戻すか、
そうでなければ、「特例」として日本郵政だけは、郵便と保険と銀行を「兼業」することを認める法律を作る、ということになるでしょう。
民営化はするけど、特例で兼業を認め、すべての事業に対して法律でサービス提供のレベルを縛る
というのは、かなりいびつな感じを受けます。
そこまでやるなら、
「そもそも民営化なんて最初からしなければよかったのに(郵政民営化選挙はなんだったんだ!?)」
という気がしないでもありません。
さらに、全世界のトヨタグループをひっくるめたくらいの規模と人数の従業員を抱えた組織を
僅か2年あまりの間に「4つに分けたりもう一度戻したりする」という「行ったり来たり」を強いるということは、郵政の従業員の方々には、大変な負担だと思います。
加えて、これだけ政治家が経営に介入してくる、ということになると、
普通の神経の経営者は「ぜったいに郵政社長なんかやりたくない、、」と思ってしまうでしょう。
社長後任人事がなかなか進みにくいことは、容易に想像できます。
折しも50兆円の赤字国債発行などで、日本の財務はどんどん痛んでいく可能性が高いですが、
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