1968年、フランス・グルノーブルでの冬季オリンピックの記録映画を担当したのは、その2年前に映画『男と女』でカンヌ映画祭パルム・ドール(グランプリ)とアカデミー外国語映画賞を受賞したことで、一躍フランス映画界の旗手となったクロード・ルルーシュ。

そして音楽は、同じく『男と女』の音楽を担当したフランシス・レイ。2年の月日と映画の世界的な成功は、ルルーシュ=レイのコンビをフランスを代表するクリエイターに押し上げたことになります。

 

ボクはこの『白い恋人たち』を再上映館に見に行って感動しました。人々のスポーツにかける、人間の限界を感じさせない努力が、この美メロとともに心を掴んで離してくれませんでした。

 

レイのメロディは、アコーディオン奏者だった持ち味が充分発揮された流麗なメロディ。またルルーシュの撮影の視点も、例えば聖火リレーの場面も本番当日を撮るのではなく、練習の模様を撮影しています。

 

なかには普段着のジャージを着ている高校生たちやブラスバンドの練習をしている年配の楽団員たちのルーズなリハーサルぶりなど、人間味溢れる“普段着の市井の人”を捉えてステキです。


さてこのメロディも♪ダバダバダとならんでフランシス・レイの代表曲です。

まずはサントラの音源から。お馴染みのサウンドです。


映画の最後のクライマックス・シーンでは、女性コーラスによって歌詞ありで歌われます。映画のタイトルは「フランスの13日」とちょっと味気ないのですが、邦題を付けた映画会社の人のセンスが光ります。


これは聴いたことがなかったのですが、ダニエル・リカーリがスキャットで歌っています。この人、「二人の天使」(サン・プルー)の♪ダバダ~、ダバダバダバダーダバダーダでお馴染みの声の持ち主。

 

大胆にも日本語詞をつけてザ・ピーナッツが歌っています。ボサノヴァタッチでお洒落です。


最後にピエール・バルーとニコール・クロワジールのコンビでの歌入り録音ヴァージョンを探したのですが、残念ながら見つかりませんでした。

 

お詫びに映画のダイジェスト版をアップします。

 

どうしても探したかったシーンがあったので、YouTubeをいろいろ検索して探したのですが、これも見つからなかったのが残念です。

 

そのシーンとは、滑降の場面。カメラマンが撮影カメラをもって選手のスタートを待ち、追い抜かれると同時にその選手の本番滑降を追っかけ撮影をする場面です。

 

おそらく時速100キロを越える猛烈なスピードで、カメラを構えて(ストックを持っていないことは、滑降中のそのカメラマンの影で分かります)選手の後ろをほぼ同じスピードで追っかけるのです。しかもそのでは音楽は一切流れません。

 

聞こえるのはカメラマンの滑降時のスキーエッジが雪面を削る音、風切音、それにカメラマン自身の荒々しい息づかいです。


ボクがこの映画で一番好きな(音楽がないのに)シーンです。

 

最近になってDVDも発売されているようです。ボクがずいぶん前に買ったVHSは画像が悪くて、早く買い替えなきゃと思いながらまだ果たせておりません。


これが証拠写真。ジャケットの写真の色もハゲてしまって、これじゃ「色褪せた恋人たち」(笑)ですよ。