ある日、マスターハンドが呼び出したのはリンク、ゼルダ、ガノンドロフを除く2回目の大会に参戦したメンバーたち。
「で、話っていうのは?」
「実は、スマブラ大会をある場所で開催しようと思っていてな・・・それで、先ほどその場所がある世界に行ってその世界に住んでいるある人物に招待状を渡したんだが、その人物はどうやらお前たちのことを知っているらしい」
そう言ってマスターハンドはその人物の名前を告げる。
「兄さん・・・」
「・・・こりゃ、リュウが来た時よりすごいことになりそうだな」
「いつから来るでチュか?」
「1か月後だ」
「楽しみだね!」
-新たな参加者が来る1週間前-
「来週に新しい参加者が来るって言ってたけど、誰なんだろうね」
「さあ。でも、マリオたちは知ってるみたいだったな・・・」
「じゃあマリオさんに聞いてみようよ」
リンクとシュルクは新たな参加者について話を聞くべくマリオの部屋に向かおうとしたところ、トレーニングを終えて自分の部屋に戻ろうとしていたマックに会った。
「どこに行くんだ?」
「来週来る新しい参加者についてマリオさんに聞きに行こうと思って」
「そう言えばカービィが「大きな剣を持ってる人」とか言ってたな」
「大きな剣って・・・アイクが持ってる剣みたいな感じか?」
「そこまでは聞いてないけど多分そうなんじゃないか?」
「なるほど・・・」
そう言ってシュルクはメモを取る。
「マリオやカービィが知ってるってことは、最初の大会に参加してた人は知ってるかもしれないな」
その後最初の大会に参加していたメンバーから話を聞いたところ、新たな参加者は
「大きな剣を持っている」
「金色の髪をしている」
「バイクに乗りながら剣を使って攻撃ができる」
「ルフレと同じように魔法が使える」
ということが分かった。
「なんだかものすごく強そうだね」
「そうだな」
「大きな剣を持ってて魔法が使える・・・どういう戦い方をするのか想像がつかないなあ」
そんな話をしていたところにマルスとロイがやってきた。
「こんなところでなにをしてるんだい?」
「来週来る参加者についてマリオたちに話を聞いてたんだ」
「ああ、それなら僕たちも知ってるよ」
「ええっ?!」
「本当ですか?」
「うん。確か2回目の大会まで参加してた「リンク」に技を教えてくれた人だよ」
「俺の先祖に技を教えた・・・」
「その技を1度だけ見せてもらったけど、すごかったな」
「もしかしたらスマブラでその技を使うかもしれないね」
「・・・僕、その人に勝てるかな。魔法が使えるってことは飛び道具を持ってるってことだろうし」
「大丈夫ですよ・・・飛び道具を持ってないのは僕やマルスも同じだし」
-新たな参加者が来る当日-
昼食の時間の2時間前、マスターハンドが食堂にメンバーを集めた。
「今日から新たな参加者が来ることになった」
そう言ってマスターハンドは新たな参加者を呼ぶ。
つんつんとした金色の髪に青い瞳、その背中にはアイクの持つ剣よりも大きな剣。
「紹介しよう。クラウドだ」
「よろしく」
「慣れない世界で不安もあるだろうから、仲良くやってくれ」
そう言うとマスターハンドは食堂を後にした。
「久しぶりだな、クラウド」
「マリオも元気そうだな・・・って、お前、リンクに似てるような気がするけど・・・」
「クラウドが前に技を教えた「リンク」の子孫にあたる人だよ。同じ「リンク」って名前だからややこしいと思うけど」
「お前もリンクっていうのか」
「はい」
「それと、あっちにいるのはトゥーンリンク。本当の名前は「リンク」だけど、ここではトゥーンリンクって呼ばれてる」
「こどもリンクとは違うんだな?」
「リンクとトゥーンは同一人物じゃないからな」
「なんだかややこしいな・・・まずは名前を覚えるところから始めるか」
クラウドが共同寮にやってきてから2週間。
ようやくスマブラメンバー全員の名前を覚えた。
寮を出たクラウドの視線の先にあったのはワリオが乗っているバイク。
「かっこいいな、これ」
クラウドはバイクに乗ってみたいと思ったが、ワリオに黙って乗るわけにはいかない。
それに対戦中でも乗っているぐらいだから相当愛着もあるだろう。
「・・・そうだ」
なにかを思いついたクラウドは共同寮に戻った。
「バイクを出してほしい?」
共同寮に戻ったクラウドが向かったのはマスターハンドがいる部屋。
「スタジアムまで荷物を運んだり、買い物の荷物を載せて帰ったりするのに便利だと思うんだ」
「確かに、街まで近いとはいえ歩いて食料を持って帰るのは大変だからな・・・いいだろう。で、クラウドが乗っているバイクを出せばいいんだな?」
「ああ」
「ねえ、こんなバイクこの世界にあったっけ」
庭に遊びに行こうとしていたネス、トゥーンリンク、リュカは見慣れないバイクが置いてあるのを見つけた。
「ワリオのバイクとは違うよね?」
「じゃあ、誰のだろう?」
と、そこにクラウドがやってきた。
「あ、クラウド」
「どうしたんだ?」
「このバイク、見たことないから誰のかなって思って」
「俺のだよ。元の世界で乗ってるのと同じものをマスターハンドに頼んで出してもらったんだ」
「ねえ、僕も乗ってみたい!」
「僕も乗りたい!」
「じゃあ、1人ずつ後ろに乗ってみるか?」
「うん!」
その後クラウドは食料などの買い出しを引き受け、街までバイクに乗って出かけることにした。
まずクラウドとともにバイクに乗ったのはネス。
「そう言えば、バイクに乗るのって初めてだ」
「ネスやトゥーンくらいの年だとバイクに乗ったことがあるやつの方が少ないだろうな」
「それにトゥーンがワリオのバイクを初めて見た時びっくりしてた」
「リンクやトゥーンの世界だとバイクみたいな乗り物はないんだろうな」
「でもリンクは馬に乗れるよ」
「馬か・・・チョコボみたいなものかな」
「チョコボ?」
「俺の世界にいる鳥なんだけど、飛べない代わりに足が速いんだ」
「へぇー、どれくらい速いの?」
「そうだな・・・スピードが出ればソニックが走るのと同じくらい・・・いや、それ以上かもしれないな」
少しして、街に着いた2人はまず食料の買い物を済ませ、バイクに荷物を載せて再び共同寮へ向かう。
そして次は共同寮内の補修に使う道具などを買うため、今度はトゥーンリンクとともにバイクに乗って再び街へ出かけた。
「クラウドの世界にはこんな乗り物があるんだね」
「さっきネスがリンクは馬に乗れるって言ってたけど、トゥーンも乗れるのか?」
「ううん」
「そうか・・・ごめん」
「気にしてないよ。たまにリンクの馬に一緒に乗せてもらうし、後ヨッシーが乗せてくれるから。ねえ、クラウドはリンクみたいに馬に乗れたりするの?」
「馬はいないけど、チョコボっていう飛べない鳥に乗ったことはあるよ」
「鳥に乗れるの?すごいね!僕も乗ってみたい!」
「今度マスターハンドに頼んで出してもらうか・・・」
「楽しみにしてるね」
しばらくして2人は街に着き、道具を買って共同寮に戻った。
「後はリュカだな」
「でも、買い物はもう終わってるし・・・用事がないのに乗せてもらっても大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。それに、スタジアムをちゃんと見ておきたいし」
その後、リュカがスタジアムの案内をするということでクラウドはリュカとともに街までバイクに乗って出かけた。
「リュカは確かトゥーンと同じで前回の大会から出てるんだっけ」
「そうです」
「そう言えば、マックは前回アシストフィギュアとしてここに来てたんだってな」
「はい、僕も何度か助けてもらいました」
「マスターハンドはどういう基準でファイターを選んでるんだ・・・?」
「うーん・・・分かんないです」
クラウドがこの世界に来ることになったのはマスターハンドから自分の住む世界(ミッドガル)でスマブラの大会をしたいと言われ、その世界の代表として選ばれたからである。
そのことを元の世界にいる仲間たちに話した際、ものすごく驚かれたことは今でも覚えている。
「でも、僕はこの世界に来てよかったと思います。友達もできたし」
「友達・・・か」
「クラウドさんは友達、できました?」
「友達って言っていいのかどうかは分からないけど・・・リンクやシュルクとはよく話をするな」
「じゃあ、リンクとシュルクさんはクラウドさんの友達ですね」
「・・・そうだな」
しばらくして、2人はスタジアムに着いた。
「ファイターが使う入口はここです。後、共同寮にあるワープゾーンから直接ここに来ることもできます」
「共同寮から直接ここに来れるなら、この入口は必要ないんじゃないか?」
「直前まで練習をしてからワープゾーンを使って来る人もいるし、ここまで歩いて来る人もいます。それに、トレ子さんやトレ男さんは「Wii Fitスタジオ」からここに来ることもあります」
「・・・そういうことか」
2人はファイターが使う入口から中に入り、その後リュカがスタジアム内を案内する。
「案内する場所はこれくらいですね」
「ありがとう」
その後2人は共同寮に戻り、夕食の時間まで小さい子たちと遊ぶということで庭のところでリュカと別れた。
「夕食までまだ時間があるな・・・」
なにをしようか考えながら部屋に戻ろうとしたクラウドはロボットとロックマンに会った。
「クラウドサン、サッキハアリガトウゴザイマシタ」
「ん?俺、なにかしたか?」
「この部品が今すぐ必要だったので助かりました」
そこでクラウドは先ほどトゥーンリンクとともに共同寮内の補修に必要なものを買ってきたことを思い出した。
「補修、大変じゃないのか?」
「ワタシハ前ノ大会ノ時カラヤッテイルノデ大丈夫デス」
「それに、ロボットさん1人でこの広い共同寮を補修するのは大変ですから」
「・・・確かに」
「ソレカラ、時々パックマンサンガ手伝ッテクレマス」
「そうなのか?」
そんな話をしていると、パックマンがやってきた。
「壁の補修、終わったよ。あ、クラウド、部品、ありがとう」
「今日中に終わるのか?」
「3人でやってるからなんとか終わると思う」
そしてクラウドは3人が共同寮内を補修する様子を見ていた。
しばらくして共同寮内の補修が終わり、クラウドは補修に使った道具の片づけを手伝った。
「アリガトウゴザイマス」
「クラウドさんが手伝ってくれたおかげで片づけが早く終わりました」
「またなにか必要になったら言ってくれ。対戦のない日ならすぐに買いに行けるし」
「分カリマシタ」
そして明日の対戦について話し合いをするというロボットたちと別れたクラウドは夕食までの間、部屋に戻って休むことにした。
「(・・・あいつらも大変だな)」
部屋に戻るまでの間、クラウドはそんなことを思った。
「この世界には慣れたか?」
夕食の時間、クラウドの隣に座っていたリンクが聞いた。
「ああ」
「それならよかった」
「リンクに聞いておきたいんだが、元の世界に帰ることはできるのか?」
「マスターハンドの許可が出れば一時的に帰れるはずだけど」
「・・・そうか」
「どうしたんだ?まさか、もう帰りたいとかって言うんじゃないだろうな?」
「そうじゃないさ、元の世界にいる仲間のことが心配なだけだ」
「仲間のこと、すごく大事にしてるんだな」
「ずっと一緒に戦ってきたからな」
「その仲間たちもきっとクラウドのこと、心配してるだろうな」
「・・・そうだな」
「2人とも、なんの話してるの?僕も入れてよ」
「仲間の話だよ」
「仲間かあ・・・」
その後リンクとシュルクとクラウドの3人で元の世界にいる仲間についての話をし、夕食の後はさらにマルスとロイが加わってそれぞれの仲間のことや元の世界のことについて話をした。
後日クラウドは元の世界にいる仲間への電話でこう言った。
「・・・友達?ああ、できたよ。だから、心配しなくても大丈夫だ」
しばらくして電話を切ったクラウドはこうつぶやいた。
「マスターハンドに元の世界に帰ってもいいかどうか聞いてみるか・・・」
そしてクラウドはマスターハンドと話をするため、部屋を後にした。
The End
あとがき
クラウド参戦記念小説として書いていたもの。
実は「クラウドのスマブラワールド滞在記」より先に考えていたのですが、文章が進まなくてできるのが遅れてしまいました。
クラウドが「バイクに乗りながら剣を使って攻撃ができる」というのは実際に見ることができるのですが、参戦ムービーでワリオのバイクを持っていくシーンには爆笑しました。
ワリオがバイクに乗ってるのを見て自分も乗りたくなったんですかね・・・
それと、クラウドが電話している相手についてですが、FF7を知らない方のためにここでは表記していません。
文章の最後が中途半端な感じになってますが、クラウドが元の世界に帰る話を書くとスマブラ小説ではなくなるのでこんな感じになってます・・・
*過去のスマブラ小説において(初代とDXに参戦した)リンクはクラウドから「超究武神覇斬」を教わっています。
(小説内で実際に使ってます)