DORADA(ドラダ) | 大塚角満オフィシャルブログ「大塚角満のブログ」Powered by Ameba

DORADA(ドラダ)

 久しぶりにボードゲームの話をします。興味のない方は軽くスルーしちゃってください^^;

 日本人にとってもっとも馴染み深いボードゲームは、間違いなく"すごろく"であろう。ガキのころにさんざん遊んだ『人生ゲーム』もすごろくの発展型なので、この業界におけるすごろくの地位はまさに磐石。出発地点から全員がスタートし、止まったマスに書かれた文言にさまざまな影響を受けながらイチ早くゴールに到達した人が勝ち……というルールも、基本的にどのすごろくも変わりがない。ゴールしたうえでの財産勝負などさまざまなバリエーションはあるが、"先にゴールした人がエライ"というのはすごろくにおける"不文律"と言っていい。基本中の基本、というわけだ。

 ところが……。

 今回紹介する『DORADA』(ドラダ)というすごろくゲームは、"先にゴールした人が勝ち"という絶対的な約束事を覆した、じつにコロンブスの卵的なシステムを搭載している。それは、

"なるべく遅くゴールしたほうが勝ち点が高くなる"

 というものだ。でもこれだけだとわけがわからないと思うので、詳しく説明しましょう。

 DORADAは、ヘビのようにくねった1本道のボードで遊ぶ(下の写真参照)。これを見て「すごろくにしちゃ短かすぎね!? しかも1本道じゃつまらなくね!!?」と思った人も多いかと思うが、この設定こそが『DORADA』を革命的におもしろいすごろくに仕立てる土台になっているのである。


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 この写真だとちょっとわかりにくいかもしれないが、下端のスタート地点にカラフルな4色のチップが積まれている。これが、各プレイヤーの"駒"だ。最初はそれぞれ4個ずつ、駒を持っている。これで、ゲームの準備はオーケー。ではDORADAのルールをざっと、箇条書きで列挙しよう。すごくシンプルです。

・プレイヤーはサイコロを振って、出た目の数だけ駒を進める
自分の駒は、どれを進めてもいい
・サイコロの目を、ふたつの駒に分散させることはNG
駒は、他の駒の上に重なることができる
・駒が重なったら、いちばん上の駒しか動かせない
・動かせる駒がなくなったら"パス"ができる
・マスには"落とし穴"、"+効果"、"-効果"、"即ゴール"がある
最初に落とし穴に落ちた駒は、穴の蓋となって復活できなくなる
・蓋ができた落とし穴は、通常のマスと同じ扱いに
・+マスに止まったら、書かれた数字分だけ前に進まなければならない
・-マスに止まったら、書かれた数字分だけ後ろに進まなければならない
即ゴールに止まった駒は、文字通りすぐにゴールしなければならない
・+-で進んだ先に駒があった場合、"スルー"が適用されて駒のないマスまで進まなければいけない。そこが落とし穴であっても……
ゴールした駒は、下から順番に積み上げてゆく
・動かせる駒がなくなったらゲーム終了
・ゴールに積み上がった駒には、上から順番に100点→80点→60点→50点→40点→30点→20点→10点と点数が与えられる。20点以下の駒にはすべて10点が加点

 ざっとこんなところかな? 4つの駒のどれを動かすかを考え、相手の上に乗ったり、乗られたりをくり返しながら、いかに遅くゴールするかを競うというわけだ。やってることはすごくシンプルなんだけど意外なほど戦略性が高く、アレコレと考えさせられる。たとえば相手の駒3つに自分の駒を乗せて動きを封じ、動かせる駒を1個に限定させたり。こうすると相手は、サイコロの出た目の数だけ唯一動ける駒を進めなければいけなくなる。たとえそこに、落とし穴や即ゴールのマスが待っていても、ね……。またなかなか狙ってできることじゃないけど、自分の駒すべての上に相手に乗ってもらい、パスを続けてプレイ回数を減らす……とかとか。

 ……書いてみて思ったけど、コレ、文章での説明じゃまったくおもしろさが伝わらねえな!!w シンプルで直感的なおもしろさゆえに、やってみるのがいちばん手っ取り早いんだよな……。

 さてこの『DORADA』。年齢を問わず、誰でも簡単に遊べる非常にすぐれたゲームなんだけど、唯一の弱点が。それは、すでに絶版になってしまっていて手に入れるのが非常に困難なこと……。俺はアメリカのオークションサイトに安く(2000円くらいだったかな)出ていたのを発見し、ファミ通のアメリカ特派員の方に落札してもらって手に入れることができた。そうまでしないと、現在は手に入らないのである。

 でもぶっちゃけ、ボードは手描きで十分なくらいシンプルだし、駒なんてコインでまかなえる。やろうと思えば、手作りでもぜんぜんオッケーなのだ。興味のある方は、チャレンジしてみてはどうでしょう。そうするだけの価値はある、とてもよくできたゲームですヨ。