去年の10月にやっとの思いでソムリエ試験に合格したくせに

もう「ほうほうのてい」で逃げ出そうとしながら、

やっとの思いで合格したくせに、


ワインエキスパートと言う輝かしい名称を頂き、

おまけにソムリエと同じぶどう模様のバッジまで頂いた途端

すっかり気をよくして、な~んもせずに飲んだくれていた。


だって、あれだけ考えながら飲んだ期間が苦しかったのだから

もうぞんぶんに楽しんでやれって感じで

イエ~イなんて言いながら、飲んでました。ハイ・・・・。


そんな折、久々にやられました。

私のワインの師であり、なのに師とは呼べないほどのドS性格の

ソムリエサムライに・・・。

(詳細は、テーマ:ソムリエ試験のブログをご覧ください)


彼はワインの知識は一流だが、何せまだ若い。

若いが故の未熟さで、徹底的に相手を追い詰める。

いつも正論なのではあるが、釈然としない何かを時々私に残すのである。


今回もちょっとしたボルドーの簡単な質問に答えられなかったところから始まった。


はぁ~~~~>


と、大げさなため息。

「うつつさん、エキスパートでしたよね?」


そこで、怖いものでも見たような目をして首をふって、

信じられない・・・と茫然とつぶやく。


「ったく、資格が泣きますよ」


お前はどこの役者だっ!と言いたいのはやまやまだが、


ここまで言われるともう頭がパニックになる。

それから第二問、第三問、第四問と、もう思考能力が低下する。

全部、答えがなぜか「カベルネ」しか浮かばない(苦笑)


自慢ではないが小さい頃から私はよく兄貴にこうしていじめられた。

なので、こういうパターンにははまりやすく、

自分で自分から、部屋の隅っこに追いつめられていく。

小さい頃は、それでしくしく泣き出すと、

「泣いたっておんなじっ!」などと駄目だしをさらにされたものだ。

だから、絶対に泣きたくないのである。


話をもとに戻すと・・・・


「そんなことを言ってると、笑われますよ」

「人前でそんな答え言わないほうがいいですよ。資格が笑われますから」

と、サムライは執拗に続ける。


泣いたり、笑われたりする資格っていったいなんなんだっ!


そして、また腕組みしたまま


はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~。


ぁ、さっきよりため息が長くなってる。


だって、私はソムリエじゃないし・・・と喉まで出かかったが、

それは決して言わない。

私だって、そこは意地がある。

それを言ってしまえば、舞台から降りることで、「完敗」を意味するからだ。


ただ、何故だか、この時は真面目に涙が出そうになった。

情けなくなってしまったのだ。


それに気が付いたサムライが、今度はちょっと慌てて・・・・るくせに

知らんぷりして、どっかに行きやがった。


気まず~い雰囲気・・・・。


とりあえず、目の前にあるサラダをむしゃむしゃむしゃむしゃ食べてやった。

まるで、草食動物のやけ食いである。


食べながら思った。


あいつ、いつかぎゃふんと言わせてやりたい。

私はなんでこんな思いをしなきゃいけないのかっ!


しかし・・・である。

野菜を食む口の動きを止めて、はっと気が付く。


ま、確かに・・・・ネ。


私の性格は、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」の典型である。

とにかく、試験も全部一夜漬け。

それで運よく受かれば、あとはさらーっと忘れてしまう。

いい意味で、とてもあっさりとした楽観的な根っこをしつこく残さないとてもいい性格である。

その証明で、いろいろあっても人を恨むことなく、なんとなく楽しく生きてきている。

(時々意地悪をされたことも気が付かないことがあるらしい。それくらい、素晴らしい性格だ)


それに比べて・・・


ちろっと、サムライの後姿を見て思う。


サムライのような性格だと生きていくのは難儀だろうな・・・

たぶん、何かあったらじっとりと恨みに思うに違う無い・・・

なんてかわいそうなやつだろうか・・・・

しつこいってことは、いろんなことから自由になれないもんだからな・・・


などと考えていたら、自分が優位な気がして、少しだけ気が晴れてきた。

そして、思った。


もう一度ちゃんと勉強しよう!


継続は力なり、って言う言葉があるではないか。

あまり焦らず、少しずつ、もう一回復習して行こう。


ここだけの話であるが・・・

初心に戻るのは、自慢ではないが大得意なのだ。

いつも初心に戻っている。

と言うか、戻らざるを得ない状況になる。

なぜなら、知識まで初心に戻ってしまうからだ(苦笑)


めげるもんかーっ!


心に誓って、グラスワインを一気飲みした。

くぅ~、やっぱりうまいっ!


でも、見方を変えれば、ありがたいことである。

私のこのだらだらした流される性格をいさめてくれる人間が

私の人生には、時々こんな風にポツリポツリと現れる。

(その人間の人間性が良いか悪いかは、この際横に置いておく)


そのことには感謝をしなくてはならないと思う。


そう思い直して、顔を上げたら目が合って

サムライが何か苦しまぎれの冗談を言ったが、相変わらず面白くなかった。

しかし、「ちょっと言い過ぎたかな」と思っているであろう思いは、十分伝わったのでよしとする。

人は万能ではないのです。


と言うことで、今日は久しぶりにワイン教本を持ち歩いている。

なぜか、ちょっとウキウキ。


私の得意の初心である。



桜水現実のサクラサク-yukinno