パリ市のフランス語教室にここ数年通っている。
最初は一般的な文法とディベートのコース取っていたのだけれども、全部やり尽くしてしまったので、今学期からは、フォネティック(音声学、まあ要は発音だ)の授業と、創造的作文の授業に出ている。

ここのFormations en françaisをクリックしたらクラスが出てくる。
パリ市フランス語授業

創造的作文ってのは、毎回お題を出されて、30分くらいでだーっと物語を書いて、上手くできたなっと思ったらみんなの前で朗読する。みんなに拍手されて、あれ、俺短編小説家なれんじゃね?っていい気分になれる。それを3時間のうちに、二本くらいやるから、やる気のある人にとってはすごく使える。

それはともかく、発音の授業。ここでは毎回、今更なんだけれども、目から鱗の発見がある。
例えば、日本人って「私Rの発音苦手なんですぅ〜」って思い込んでいる人が多いけど、本当にできていないのはそこじゃない。
 これは僕が出来ていないだけかも知れないが、日本人が一番弱いのは、「う」関連の発音だと思う。

それを痛感したのはスペイン語圏の人の典型的な発音の間違いから。彼らはeをみんな「え」と発音してしまう。C1レベルあるはずの人もいつまでたっても直らないのを見て、なんで直さないのだろうと不思議に思っていた。
例えば Ce をCesと読んだり、Je mange を Je mangeais と読んだりするから、いやいや全然意味ちゃうし、発音も違うんだから、さっさと覚えたらいいやん、と思っていたわけだ。
 でも、スペイン語圏の人向けのレッスンを見て、ようやくわかった、それはむしろ日本語の「え」と「う」の切り分け方によって、僕にとって過剰なまでに違うように聞こえていただけなのだと。
そのドリルでは、「三つのe」を聞き分けを訓練する。その三つのeとは、(発音記号打てないからあれだけど)
Te thé taie
Je jet j'ai
Me mes mais

の三つなのだ。日本人だったら、後者二つがそっくりなのはいいとして、一つ目が全く違うやんとなる。どう聞いても、う、え、え、じゃんと。
でも、母音の体系(あのルービックキューブみたいなやつ)を見直してみると、確かにその三つは近接していている(もちろんthé taieの方が近いけど)。

それが何を意味するかというと、逆に日本人はあまりに多くの母音を「う」に取り込んでいるということ。それによって何が起こるか、[u]を正しく発音出来ないのだ。
[u]は、vous, bout, loupと、非常にありふれた発音だし、そんなものに引っかかるわけがないと思っていた。
よく[y](une jupe)の発音は難しいから、しっかりと[u]と区別しましょうねと習う。しかし僕が先生に指摘されたのは、[u]の方だった・・・

[œ](peur, œuf, sœur)の発音も難しいから、みんな一生懸命「う」にならないように練習する。

でもその結果、一番普通そうな[u]が、実は全く日本語の「う」とは違うってことに気がつかないでここまで育ってしまったのだ。

というわけでeの仲間である[逆立ちのe] le, petit, vendredi ; [Øこんなの]peu, vœu, des œufsと、
真正なる[u]であるloup, goûter, oùは、全然違うんだぞ!と日々心がけて過ごしていきたい。