１９８８年５月３日に京都向日町競輪場でデビューしてから約２４年間
２０１２年４月１１日の千葉競輪場の決勝レースまで走り抜きましたm(__)m
この間、落車で肋骨や手足の指の骨折、靭帯の断裂、頭を強打しての頭痛吐き気めまい、打撲や擦過傷は常に毎年数回経験し本当に数えきれず・・・
しかし今思えば、大きな怪我もなく五体満足で現役を引退し、充実した、本当に楽しい、幸せな競輪選手生活だったと思います♪
現役時代２０年以上S級選手として走り、激しく厳しいトレーニングと、それ以上に壮絶なプロの男達の戦場を経験してきました。
ファンの方々が、大切なお金を自分達の走りに投票し、勝者を当て配当を得るという公営ギャンブルは馴染みのない方も多いと思いますが、戦後の復興支援の資金調達の為に発足され、自転車競技法と言う法律のもと経済産業省管轄で運営されている事業です。
現在は東日本大震災復興支援を始め道路や学校、医療、福祉事業等に資金が活用され人々の暮らしにお役にたっています。
僕も震災以降も走り続け、少しは被災地支援のお役に立てたならば選手冥利につきます。
ギャンブルというと毛嫌いする方も居らっしゃいますが、競輪は鍛え抜いた男達が命をかけて、すり鉢状の自転車競技専用競技場を、時速７０ｋｍ近いスピードで駆け抜けるエキサイティングでスリリングなスポーツです♪
僕は、たまたま縁があり高校生の時に群馬県立前橋工業高校の自転車競技部に所属し、インターハイや国体でスプリント競技の選手として青春時代を熱く過ごし、そのまま競輪選手の道に進みました。
１９才からプロの競輪選手としては未熟ながらも走り出し、１着を取ったり優勝したりでファンの方々からも温かい応援をいただき、また逆に不甲斐無いレースをした時には、本当に殺されてしまうのでは
と感じる怒号と罵声を浴びせられ・・・プロとしての心構えを先輩選手から教えてもらいながら、少しずつ成長してこれたと思います。
いまだに未熟者ですが・・・(^^ゞ
幸運なことに一度だけですが、記念競輪も捲って優勝し、一流選手気分を味わうことも出来ました♪以降、後方に置かれても「最後まで諦めず！」を信条に、ゴール前の切れ味を磨き、ファンの方々や同じ選手仲間にも歓声が上がるようなレースを目指し、競輪選手としても一つのキャラクターを築けたかと思います(^^ゞ
戦法としては、ギリギリまで脚力を温存し、最後方からトップスピードに乗り大集団に突っ込んでいくので、成功して突き抜けた時にはシビレルようなスリルと快感が同居しながら１着が取れ楽しかったですが、失敗した時は、沢山の選手を巻添えに落車させ怪我や失格で酷い目にあったことも多々ありました(^^ゞ
今思うと、僕の無茶な走りの犠牲者になった方々に深くお詫び申し上げますm(__)m
選手仲間の中にはレース中の事故で亡くなったり、大怪我で半身不随や車椅子生活になってしまった知り合いも沢山居ます。お互いプロとして信頼関係や暗黙の了解で、怪我した場合もお互い様と言う感じで走って来ました。明日は我が身と思いながらも、レースになれば９人が真剣勝負なので勝つために、それぞれの思惑やプライド、意地がぶつかり合います！
それが競輪の醍醐味でもあるのですが・・・
引退した今、僕自身が大きな事故の加害者や被害者にならずに良かったですm(__)m
ちょっとずつ大人になりながら、多くの選手仲間とも信頼関係や友情も芽生え、敵として闘いながらも、お互いの存在を認め合い、地域や年齢が違えど、親しくお付き合いさせていただく機会も増え、レース場ではプロとしての緊張感を保ちながらも、充実した素晴らしい選手生活だったと思います。
２０１０年には２０年ぶりにＡ級に下がり走りましたが、その時は心身共に研ぎ澄まして、低いレベルながらも１着をたくさん取り、ファンの方々にも喜んでもらえるようなレースが出来ていたと思います。その後すぐＳ級に復帰しましたが４０才を過ぎた頃から、思うようなトレーニングやレースができない状態が続き、練習方法やレースのギアや自転車のセッティング等、試行錯誤を繰り返しながらも自分なりに頑張って来ました。
今年から再びＡ級に落ち、それでもそのクラスでファンの方々に楽しんでもらえればと思い一生懸命走って来ましたが、地元の前橋では決勝戦に乗ることも出来ず(T_T) 以降も不甲斐無いレースを繰り返すばかりでした。
トレーニングを増やしたり内容を濃くしたり、マッサージや休養なども積極的に取り入れて考えうる限りの心身の向上を目指し、やっと最近になって成果が出てきたようにも感じましたが、その状態が長く続かない事も経験上感じていました。
競輪選手として自分のイメージする走りと、現実がかけ離れてしまうのは残念な気持ちです。走る以上は少なくも僕に賭けてくれ、応援してくれるファンに対し、情けない走りは見せられないので引退を決心しました。
実は最後のレースと決め走ったのが大宮競輪場？？？
湿っぽいラストは嫌なので、事前には妻と親にだけ引退すると伝えてありました。
以降解説を交えながらお送りします(^^ゞ
２０１２年３月２２日
大宮競輪 初日特選 黄色５番車
引退を考えていた開催初日に競り！
後輩の後ろで競り負けるくらいならば・・・
失格か落車で終わるのも競輪人生かと思い、勝負！
何とか無事にゴール！
２０１２年３月２３日
大宮競輪 ２日目準決勝
黄色５番車 （連チャン黄色？）
僕の最も得意とするパターン♪
強烈な捲り追い込みに乗り、さらに大外強襲！
４コーナーを回った時点で１着確信♪
２０１２年３月２３日
大宮競輪 ３日目決勝 黒２番車
これを最後に引退すると決めて走ったレース！
地元ライン３番手 チャンスはある。
最後はおもいっきり走ろうと考え万感の思いを込めて出走♪
結果・・・
インに詰まり不完全燃焼のまま７着ゴール(T_T)/~~~
ゴールした瞬間、終わった・・・
と思い、心身共に脱力し、数日間は放心状態でした。
しかし・・・
皆様ご存知のとおり（笑
最後に不完全燃焼だったのが悔しくて(・_・;)
辞めるの止めた＼(^o^)／
家族にしか言ってないし（笑
と言う事で再度トレーニング開始！
ついでに久しぶりに妻と二人で温泉旅行もしちゃいました♪
間が２週間あったので良いトレーニングと休養が出来ました(*^^)v
気を取り直して、まさかの泣きのもう一回！
前日は、いつものリラックスモードで現地に前泊♪
久しぶりに競輪学校の同期生と語り合い、楽しいひとときを過ごせました(*^^)v
今度は、どんな成績でも引退の覚悟！！！
気負わず平常心で挑めました♪
２０１２年０４月０９日
千葉競輪F2 A級初日特選 紫９番車
地元優勝候補の蒔田選手の２番手の選択肢もあったが、埼玉 武藤選手のライン３番手を選択。
兄（武藤嘉伸）は高校生時代からの付き合い(^^ゞ
弟もガッツがあり頼もしい選手です♪
バック９番手から武藤選手の捲りのスピードをもらい大外踏むも届かず３着m(__)m
２０１２年０４月１０日
千葉競輪F2 A級準決勝 黄色５番車
若手優勝候補、白一番車 小田倉選手のスーパーダッシュに千切れながらも必死の追走！
なんとか決勝戦に乗ることが出来ました＼(^o^)／
２０１２年０４月１１日
千葉競輪F2 A級決勝 オレンジ７番車
僕の競輪選手ラストランです。
地元ライン３番手を追走。
ライン先頭のピンク８番車は先行選手としてはプロフェッショナルな平原選手
２番手の白1番車はマーク選手として信頼感のある地元の富田選手
地区は違えど、本当のプロ同士なのでとても落ち着いた精神状態で走れました。
レースは雨と強風、さらに桜の花びらで滑る危険なコンディションの中、ゴール前の混戦に巻き込まれるも・・・
一瞬の判断で斜め内に鋭く切り込む！
結果は３着でしたが、最後まで勝負を諦めること無く走れました(*^^)v
４コーナーから大外に持ちだしていれば別の結果も・・・
とも思いましたが、タラレバは２４年間走ったレース全てに付きもの（笑
心技体共に４３才の今現在、最高の走りが出来た３日間だったと思います♪
全てを出し尽くして自分自身の今現在の走りに納得がいき、
それでも１着が取れない現実も痛感・・・
心身共に限界を悟り、完全に引退を決意しました。
そんな感じで涙も無く、笑顔で選手生活を終える事が出来ましたm(__)m
心残りなのは内緒で引退したかったので一緒に参加した選手達に、今までお世話になったお礼が言えなかった事と、せっかくなので最後に優勝してカッコ良く引退が出来なかった事（笑
ご縁があった皆様、本当にありがとうございましたm(__)m
とても幸せな選手生活を終えられた事を感謝します♪
今後は一休みして、お世話になった方々や、日本中、世界中の人々が笑顔になれるような、幸せ配達人のような仕事が出来たら良いなと密かに考えています(*^^)v
２０１３年４月１３日 松島伸安