骨損傷の分類の一つである「外力の働き方による分類」.
その中の一つに
「屈曲骨折」
があります.
柔道整復学・理論編改訂第5版(南江堂)では,
このように3型に分類されています.
私の場合,臨床の現場では,
「これは屈曲骨折の第1型ですねぇ」
などという会話を聞いたことはありません.
そして,長らく「屈曲骨折の分類」は,
柔道整復学・理論編(南江堂)
以外で見たことがありませんでした.
近年の整形外科学の本においても,おおよその本を見てみましたが,見当たりませんでした.
過去に遡ってみると,
いわゆる「じんなかせいけい」
神中整形外科学第20版(南山堂,1972)では,
このように,3型のうち,2型が載っていますが,「屈曲骨折の分類」ではありません.
一方,いわゆる「かたやませいけい」
小整形外科学改訂第7版(中外医学社,1973)では,
3型記載されています.
ちなみに,こちら↓
国家試験徹底分析 柔道整復学/伊藤 譲
¥5,040
Amazon.co.jp
では,この図を引用しています.
柔道整復学・理論編(南江堂)が参考にしたのは,おそらくこの「小整形外科学」やその他の片山先生の図書あるいは論文等ではないかと推測されます.
いずれにしても,近年の整形外科学の本にはない,かなり古い整形外科の図書に載っている分類であるといえるでしょう.
近年の整形外科の図書にはこの分類がないのはなぜでしょうか?
骨折型の分類の臨床的意義の一つとして,
「治療法の選択(決定)」
があげられます.
その他,
「予後の推定」
などもあろうかと思います.
では,屈曲骨折をこういった3型に分類することで,上記のような意義に結びつくのでしょうか?
臨床ではまず聞くことのない「屈曲骨折の3型」.
いずれ近年の整形外科学の本のように「柔道整復学・理論編」からも消えて無くなるのでしょうか?
こちら↓は,ラウゲ-ハンセンの論文です.
回内・外転損傷です.
このstage IIIでは,腓骨の斜骨折が生じます.
(上図の図説の7.oblique fracture)
この腓骨の斜骨折は,足部が回内位で固定されているとして,斜骨折であることから屈曲骨折の第2型と解釈できます.
また,脛骨骨幹部では,確かに第1型のような第3骨片が存在する骨折がみられます.
このように考えると,
「受傷時の外力の作用と生じる骨折型」
という観点からは大変意義があると思います.
すなわち,外傷を理解するには,受傷機転を理解することが大変重要であるということです.
「古き良き整形(?)」を柔道整復が残していくのか?
今後の改訂を待ってみましょう.
柔道整復学・理論編に載っていれば,国家試験に出題される可能性はあります.
ですので,この分類はこちら↓にも載せています.
柔道整復外傷学ハンドブック(総論)
¥2,520
楽天