ジオエコノミックな権力 | ロゼッタへの道

ジオエコノミックな権力

 今日は少し離れた場所で夕方からDavid Herveyの講演会があるので、原稿執筆を途中で切り上げて会場に向かいました。するとDenfert-Rochereau駅の入口をぐるっと大勢の警官が取り囲んで、改札に入れません。なんとか人混みをかきわけて入ると、高校生たちが警官に囲まれています。


ロゼッタへの道-Lyceens3  警官に取り囲まれる高校生


ロゼッタへの道-Lyceens2  取り囲まれながら座って談笑

ロゼッタへの道-Lyceens  警官をからかう高校生たち

 どうも駅前で高校生たちのデモがあったようですが、細かい事情はわかりませんでした。あとで聞いたところによると、ジュシュからダンフェールまで小規模な高校生デモがあったということです。高校生たちの反年金改革の運動がますます拡大しているので、政権側もピリピリしているのでしょうか。駅を囲む20台ほどの警察車両と100人近い警官の数にびっくり。高校生たちの陽気な様子が対照的でした。

 講演会は国立建築学校でおこなわれました。ダンフェール駅のごたごたと、ストのため北駅が混乱していたので、会場に着いたときには15分過ぎてしまい、満員のなか立ち見せざるをえませんでした。

 ロゼッタへの道-Hervey  建築学校

 ロゼッタへの道-Hervey2  講演会の光景

 講演内容としてはこれまで知っていることがほとんどでしたが、自分の考えをコンパクトにまとめながら、黒板に図を書きながらシステマティックに説明する様子は、なんともアングロサクソン的だなあという印象を受けました。それより、途中多くのジョークを交えつつ、緊迫感をもって世界の現状と課題を静かに訴えるハーヴェイの語り方に感心しました。日本ではいったいどれくらいの人文社会系の学者が、世界の未来にこれほどの危機感をもって研究に取り組んでいるのか、と考えされられます。いや、とても格好いいおじいさんでした。
 物理的地理空間を超えてマーケットの空間のうちに世界を再編するGeo-Economic-Powerは、その力と速度をますます増大させ、もはや1968年とはまったく違う状況に私たちはいるのだ、という話が基調でした。中国やアメリカの最近の政策についても触れながら、地政学的にみると次の経済危機は上海で起こるだろう、という予言をして締めくくっていました。