こんにちは。

カエルです。

 

本を読みました。久しぶりの感想文。

 

『恐るべき緑』 ベンハミン・ラバトゥッツ (白水社)

 

 

。。。。。じわる、という読後感ですかねぇ。

4つの実在人物をめぐる物語と

エピローグから構成されるなんとも不思議な小説です。

 

空気から窒素を抽出する方法を生み出した物理学者、ハーバー、

ブラックホールを予測した天体物理学者シュヴァルツシルト、

天才数学者といわれながら、ある時から隠匿生活をしたグロタンディークと

abc 予想を証明したとする望月新一、

素粒子をめぐるシュレーディンガー、ド・ブロイ、ハイゼンベルク、、、、

と、本書は実在の人物を語ってはおりますが、

「現実の出来事に基づくフィクション」と著者が謝辞で記したように、

はて、どこからがフィクションであるか、

文章の迷宮に入り込んだような感覚で、

それが実に面白い‼️(と、湯川先生も言うかなぁ〜)。

 

評伝なのか? と思いながら読み進めておりましたが、

いやいや、どんどんきな臭くなり、

ミステリーを読んでいるような気分になる章や、

こりゃホラーか、オカルトか叫び、と思う章、

グロテスクすぎていやんなると思ったり、

量子力学を調べながら読んだり、

はたまた人類と戦争と科学、そして現在の地球が抱える問題をふかーく思い知らされたいと、

感情の起伏が激しい一冊です。

 

チリの作家であるベンハミン・ラバトゥッツですが、

いわゆるラテンアメリカ文学とは匂いが違うし、

何かに括られることのない作品でございます。

ただ、このところのおかしな世界(戦争や気候変動や劇的に変わる生活システムなど)に対して、

なにかモヤモヤとしていたカエルの気持ちを代弁してくれたような、

問題に目覚めさせてくれた小説です。

この一冊を解くことはabc予想の証明や

フェルマーの最終定理を解くように難問かもしれないですねぇ。

 

「エピローグ 夜の庭師」では作者自身と思われる人物の語りになっていますが、

なんだか「予言の書」のように思われたカエル。

タイトルの「恐るべき緑」もしかりです。。。。ふふふ、この本が気になってきたでしょ!?

 

文学好きの方も、数学を勉強する(していた)方にも面白い作品だと思いますので、

興味を持たれた方はぜひご一読を。

 

ではまた。

カエル