今年生まれのカワバタモロコを屋内水槽へ移動しました。
10世代目くらいですかね。
幸い目立った体型の歪みも産卵数の低下もなく代を繋いでいます。
ここから体型と健康状態の良い個体を選んで来年の繁殖に回します。
長年継代繁殖をしているとモチベーションの低下が起きる段階がいくつかあります。
●1度目は野生個体が産卵し生まれた稚魚が成魚まで育った時
自分の力で繁殖させたんだ!という達成感と自信で極めたつもりになりやる気がなくなり失速、そのまま引退というパターンです。
※ちなみに水族館等の施設では野生個体からの繁殖は持ち腹産卵扱いで評価対象外です。
厳しい。
●2度目は完全養殖に成功し3世代目を成魚まで育て上げた後
飼育下とはいえ対象のライフサイクルを見届け一応の区切りが付くためここでモチベーションが下がり止める人が多いですね。
私もよく陥る現象です。
水族館等での繁殖賞の最低ラインが完全養殖であり早くても3年程度は掛かるので、なんというか研究の手仕舞いみたいな感じで止める人が多いですね。
●3度目は10世代、20世代という2桁の継代繁殖に入った段階
ここまで来ると対象が空気のような存在になり気を抜いて全滅していたという事態も起こります。
カワバタモロコの場合飼育下では5~6年生きることもざらなので数を取るより如何に最低限の数で維持し続けるか、自然淘汰されないなら自分で間引くという非情さも必要になってきます。
殖え過ぎた個体は生息地や他の水系に放流しようというのは20世紀までの発想であり現代でやるべきではないでしょう。
ヒナモロコも既に大陸産と交雑し在来種は絶えましたし、タナゴも各地で交雑し本来の形質を失っていると聞きます。
同種であっても地域によって微妙な色形の違いや性質の違いを楽しむのが本来の生き物との関わり方ではないでしょうか。