『冷静と情熱のあいだ』この映画を観たことがありますか?



竹野内豊と香港のケリー・チャンの共演の映画



フィレンツェのドゥオモで10年後の30歳の誕生日に再会する約束



当時、一緒にいた彼はケリー・チャンが演じる『あおい』を、あたしに似ていると



いつも言っていた。

(全然似てませんが(・・;)



でも日本でモテナイあたしも香港ではモテルのよ(〃∇〃)



はい。すいません関係ないです。



あおいのように暇さえあれば本を読んでいて、あまり笑わないあたし



そんなとこが似てたのかもしれない。



昔、あたし達は何度もその映画を観た



『10年後なんてアホくさい・・・』



そんなあたしに彼は『俺の40歳の誕生日にいつものこの場所で逢おう』



真剣な顔でそう言った



もうすぐ約束の日がくる。



どうする。。。



あたし。。。



彼とは何年も逢っていない



今のあたしは逢う勇気がない



あのころより歳もとったし・・・



良い想い出は綺麗なままにしておきたい



もし彼が来なかったら・・・



もし彼が来たら・・・



行くべきか、行かないべきか



こんな約束するやついないよね!?



どうする?あたし。。。







一週間ほど前、妊娠している友達から連絡があった。

『お腹が変、赤ちゃんが動かない』と

彼女は妊娠7ヶ月いや、7ヶ月になる前に小さな心臓は止まってしまった。

彼女は、あたしと同じシングルマザー

誰も祝ってくれない出産

誰にも言わず、仕事と子育てを両立していた。

数ヶ月後に出産をひかえた彼女は、さぞかし無理をしたんだろう

仕事も出来なくなるうえに、出産費用やお金がかかる。

ただでさえ子供がいるのに独りで何もかもやっていくつもりでいたのだろう

病院で安静だと言われたのにも関わらず終電に乗り彼に会いに行ってしまった。

彼と彼女の間に何の絆もない

彼に何か優しい言葉でも期待していたのだろう

母子手帳に父親の名前は無い

そんな彼に何を期待していたのか

お産の日がきた

帝王切開での手術を彼女は拒んだ

人工的にお腹を膨らませ陣痛を促進し苦しみ、転げまわっている姿は見ていられなかった。

普通の出産より苦しいはず

誰にも内緒でと言うわけにはいかなくなり

彼女のお母さんに連絡した。

お母さんは病院に無理を言い、あたしと二人で赤ちゃんを見にいった

初めて見る小さな赤ちゃんだった

手足は、あたしの指よりも細い1500gにも満たない赤ちゃん

気力も体力も失った彼女に病院側は火葬の手続きだの死亡診断書など

血も涙もないことを言ってくる。

彼女は『生まれてくるべき子じゃなかったんだよ』と赤ちゃんの名前を書き出した

『一美』小さな赤ちゃんの名前

さようなら一美ちゃん・・・


強気なあたしも



人恋しくなるときがある



誰かに抱きしめてもらいたいのに



そんな相手すらいない



気軽に誰かと会う気にすらならない



こんな時『プラトン』の言葉を想いだす



「人間の原型はこのように二つに切り離されてしまった。


それ以来ずっと、ばらばらになってしまったそれぞれの半身は


他の半身にあこがれて、ふたたび一緒になろうとしたのである。」



あたしの半身は、どこにいるんだろう・・・