日光には四十八滝といわれるくらい滝が多いのですが、
最も有名なのが華厳ノ滝です。
高さ97メートルをほぼ一気に落下する豪快さと、
自然が作り出す華麗な造形美の両方をあわせ持ちます。
✨和歌山県の那智ノ滝-なちのたき-、
✨茨城県の袋田ノ滝-ふくろだのたき-
とともに「日本の三大名瀑-めいばく-」とも呼ばれています。
名称は
涅槃ノ滝-ねはんのたき-、
般若ノ滝-はんにゃのたき-
などと一緒に仏典の
「釈迦-しゃか-の五時教-ごじきょう-」から名づけられたらしいのです。
滝を間近で観覧できるようになったのは、明治33(1900)年。
7年もの歳月をかけて
星野五郎平-ほしのごろべい-が
滝壷-たきつぼ-近くに茶屋を開きました。
そして明治36(1903)年5月、18歳の旧制一高生であった
藤村操-ふじむらみさお-
がミズナラの木に
「巌頭之感-がんとうのかん-」
を書き残して投身自殺をして以来、
自殺の名所にもなってしまいました。
堅い岩盤をくり抜いたエレベーターが営業を開始したのは
昭和5(1930)年になってからです。
6月にはたくさんのイワツバメが滝周辺を飛び回ります。
1月から2月にかけては十二滝と呼ばれる細い小滝が凍るため、華厳滝はブルーアイスに彩られます。
悠々たる哉天壊、遼々たる哉古今、五尺の小躯を以て此大をはからむとす。
ホレーショの哲学、竟に何等のオーソリチィーに値するものぞ。
萬有の真相は唯一言にして 悉す。
日く「不可解」。
我この恨を懐いて煩悶終に死を決するに至る。
既に巌頭に立つに及んで胸中何等の不安あるなし。
始めて知る大なる悲観は大なる楽観に一致するを。