父は今、特養で暮らしています。

我が家から自転車で25分ほど。同じ町の特養です。

認知症は進みましたし、左手、左足は麻痺があり、手は拘縮しています。

ですが、特養内でのイベントで、月に一度は大好きな日本酒を飲み、

私が会いに行くと、小さな声ですが会話ができます。

 

父は、寝たきりのような状態に見えますが

生きる希望を捨てているわけではありません。

食事の時間になると喜んで食べますし、自助具を使って自分でおかゆを口に運ぶこともしています。

楽しい話をすれば笑いますし、自分の身内のことは覚えています。

 

これから先も、ゆるやかに父の身体は変化していくでしょうが、1日でも長く父が幸せに生きていけるよう、家族でみまもります。

 

また書きます。

 

1週間ぶりくらいで父に会いに行きました。
19時半を回った頃
居室へ行くと、カーテンが閉められていました。
父の部屋は4人部屋です。

静かにカーテンをくぐると、ベッドの上で目を開けて天井を見ていました。
いつも、黙って天井を見ているのですが、何が見えているのでしょう。

声をかけると「おお」と言って右手を差し出します。
握手をするように手を握り、話しかけると
はっきりしない言葉ですが、話してくれました。

今日は、診察までに2時間もかかった。おかしい。
と言っていました。
病院に行ったと思っているようです。

左手はほとんど動かず、拘縮が始まっているので包帯が巻かれています。
今日は少し手が緩んでいたので握手をして揺らしてみましたが、
腕が固く動きが悪いのです。
右手は自然なのですが、左手は不自然です。

時間があまりなかったので、少しおしゃべりをして、
また来るよと別れました。


昨年の誕生日は、介護タクシーを利用して、病院から一時帰宅をした。
父を、苦労して古い団地の2階まで兄がおぶり弟が支え、部屋へ連れて行った。
そして、病院では食べられないようなごちそうを沢山用意して、
お寿司、コロッケ、ビール、などなど、父は喜んで食べました。

あの頃も、すでにパーキンソンの症状が重く、認知症も発症していたけど
いまよりは身体の自由は利いていた気がします。

今は、嚥下の状態がよくないので、
さらに総入れ歯を入れない、つまり歯がないので食べ物を選びます。
ですが、人間、食べたいものや美味しい物はスッと入るのも事実。

父は、記憶も曖昧ですが、先日面会に行ったときに、誕生日はお店で外食がいいか、家に帰ってごちそうを食べるのがいいか聞いてみたところ、家の方が気兼ねがないと言っていました。
なんとか今年も帰宅させてあげたいけど、兄弟の協力がないと厳しいなあ。
昨年はみんなで頑張ったんだけど、今年は声をかけても兄弟の反応がいまいちで。

本当に、家族が団結しないと、何をするのも腹が立ったり、悲しかったりするのが介護かもしれません。

11月23日、午後、入所半年のカンファレンスがありました。
私も兄も祝日だというのに出席出来ず、弟に頼みました。
いつも弟任せで申し訳無い感じです。

最近、仕事が忙しく、また私自身風邪など引いて2週間は父の所へ行っていません
最後に逢った時には、沢山差し入れをして話もして別れたのですが…

夜、弟からカンファレンスの内容を共有してもらいました

・最近、車イスに座っていると腰の痛みを訴えるため、イベントなど参加してもすぐに居室に戻ることになる。基本は寝たきりの状態となっている。

・自助具を使って自分で食事をとってもらっているが、最近は口まで運べず悔し涙を流していることがある

・嚥下の状態がよくないので、差し入れの飴などは危険。持ち帰って下さい。

その他、家族としては心配な内容でした。
しかし、弟が父と会った時には元気に話をしてくれたそうです。
家族が会うと違います。
私と居ると嚥下も問題なく思えます。
家族の力は大切ですね。

しかし、年老いた、難病の父は、毎日様子が変わります。
父の望む時間を過ごさせてあげたいと思います。

初めて倒れて入院したとき
この頃はまだギリギリ認知症ではないという診断でした


父のところに来たのは2週間ぶり
今日は不穏です

表情がありません

大変なことが起きた
1350万円を取られた

とのこと。
元からありませんからね。

父と話して、安心させたかったけど納得はしていなかった。

でも、トマトジュースを渡したら、ゴクリゴクリと音を立てて飲んでいたので少し安心です。
{B7F8B2BC-B3AA-42D9-B09E-136C20A89B1B:01}


土曜日の夜、父に会いに行きました。
時間は19時10分前。
食事をとうに終えて、ベッドに横になっていました。
まだ就寝時間には早いのですが、施設の中は静かです。

父は、天井を見ていました。
そっと近づいても気付かないので、もっと顔を近づけると、やっと気づき
いつものように右手を伸ばしてきました。

「何を見ていたの?」
「考え事してたの」
「なんの考え事?」
「いろいろなこと」

そんなやりとりのあと、いつものように差し入れを。
本当は口腔ケアの後に食べさせると良くないかも。
だから、食べた後には口をゆすいで貰います。

本場広島のもみじまんじゅうを持っていきました。
「チーズ味とこしあんと抹茶、どれがいい?}
「チーズ」
おまんじゅうを父と半分こ。
父は不自由な手ではありますが、一生懸命口に運びます。
あごのあたりまでしか手が上がらないのですが、そこから少しずつ口まで持って行きます。
歯がないので固形の物は気をつけなければならないです。
よく噛んで、ゴックンと飲み込むまで様子を見ます。
少しむせたけど、美味しそうに食べました。

それから、父に
「相談があるんだけど」
と話しかけました。父は一瞬、不安そうな顔をしましたが、
「お父さん、ここで寝てばかりしても暇だろうから、仕事したら?」
と言うと、少し表情が変わりました。そして、
今度、みんなを集めて話をしたい、と。仕事を打合せをしたいそうです。

私も、口から出任せを言ったわけではなく、私は父と一緒に作りたいものがあって、
それを父の仕事として一緒にやっていけたら、と思っているのです。
妄想レベルの私の夢に、父を付き合わせている感じですが。
父の所へ通う回数が増えそうですし、楽しみが増えました。

仕事終わりで父の所へ行きました。
19時ちょっと前に父のいる4人部屋へ行くと、それぞれカーテンが閉められていました。
父も寝ていましたが、そっと近寄ると薄目を開けていました。
そして、私に気付いて目を覚ましました。

「お父さん、お久しぶりです(笑)」
声をかけると、ああ、と言って右手を動かしました。
周りが静かなので、声を落として話しかけます。
「プリン買ってきたよ、食べる?」
目を光らせる父。声はあまり出ないし、どもるのだけど
「食べる」

ベッドを起こして、話をしました。
「コーヒーも買ってきたよ、飲む?プリンとコーヒーどっち先にする?」
「コーヒー」

缶コーヒーを開けて父に手渡しました。
指が曲がりづらいので、旨く持てませんから介助をするのですが
なるべく自分のタイミングで飲めるように支えます。
父は美味しそうに何口も飲みました。ゴクリという音がすると、嚥下がしっかりしているとホッとします。
そして、他愛のない話をだらだらと。父はあまり上手に喋ることができません。
それでも調子が良いと声も出て、言葉もハッキリします。

「バイクを買ったんだよ」
「へえ、お前が?」
「うん、いや、お金を出したのはお兄ちゃん(笑)」

それからプリンを開けました。父が器をもち、私が介助をしました。
プリンを食べながら、ふと、父がいいました。

「北海道に旅行に行こうと計画してるの」
「へえ、どれくらい?」
「二週間ぐらい」
「それは長いねえ」
「・・・まあ、休みが□△○??・・・(聞き取り不明)」
「誰と行くの?」
父、あきれた顔をして
「お前と」
「お兄ちゃんは?」
「H(兄)も仕事が休めれば」
「T(弟)は?」
「Tも仕事の都合がつけば」

さらに、父に聞いてみました。

「北海道はどこをまわる予定?」
「島巡りをしようと思ってるの」(ここも不明瞭だったので何度も聞き返しました)
「島巡り?択捉とか?」
「そう」
「へえ~。私は北海道に行ったことがないから、札幌と小樽に行きたいよ」
父は、天井を見ながら色々考えているようでした。

その後、近所に100円の回転寿司があるから今度食べに行こうと誘いました。
父は寿司が好きですから。
「ウニも100円なんだよ」
「そうか」

プリンを食べ終えたので、口を拭いて貰おうと父にウェットティッシュを渡すと、
いつもは口元まで手が届かないのですが、今日はちゃんと届きました。
でも、動きが悪い左手を見ると、やはり拘縮しています。
少しずつ手を入れて握手をしました。しばらくするとほぐれてくるのです。
足を動かして貰うと、両足の先をぱたぱたと動かしました。
身体が少しずつ動かなくなっているのを感じます。

さて、帰ろうかと立ち上がり父に声をかけました。
じゃあね、と声をかけ荷物をまとめていると、父に呼び止められました。

「お前の休みはいつなの?」
「今のところ、土曜日と日曜日だよ。なんで?」
「100円寿司にいつ行くかなと思って」

特に変わったことはない。痛い所もない。という父。
今のところ、食べることだけが楽しみのようです。




父に会いに行くとき、最近は遠慮せず差し入れを持って行く。
昨夜は少し遅めの時間だったけど、ベッドに仰臥して天井を見つめていた。

声をかけると、おお、と言いながら、いつものように右手を伸ばす父。
「プリンたべる?」
「食べる」

痰が絡んでいたので、ベッドを起こしパックのジュースを手渡した。
一人で持ち続けるのは難しいが、なるべく自分で飲んで欲しいので。

それからプリン。
面会時間の終了が迫っていたので、今日は容器を父に持ってもらい
私が介助した。

「これ、おいしいな」 
と、父。
「美味しいでしょう?このプリン、いいでしょう。きんつばよりこっちの方がいいでしょう」
「いや、きんつばが食べたい。最近売ってないんだよなぁ」
父は何故か、入院しだした頃からずっときんつばが食べたいと言い続けている。
「そうそう、売ってなかったんだよー」と相づちを打つ私。

そういいながらも、プリンをたいそう気に入り
「味がしっかりしてるよ」
などと言いながら、ぺろりと食べた。嚥下の状態も良い。

短い時間だったけれど、父と色々話が出来て良かった。
途中から、私ではなくて天井をみながら話していたけれど。


おかずが無いから、今晩は玉子丼に紀州梅

父の施設では、土曜日曜だけ、ボランティアさんが喫茶コーナーを開いてくれています。
メニューはほとんど150円という良心価格で、窓からは緑も望めるいい空間です。

ここ2回ほど利用しましたが、ビールとあんみつが父の定番になりました。

喫茶コーナー、なかなか外に連れていけない家族にとってはありがたいです。
お店で食事できるって、父にも嬉しいことと思います。
昨日、父のところに行きました。
ちょうど夕食どきでした。

なんと、父は自助具を使って一人でおかゆを食べていました!
沢山落としていたから、食べ終わった後で、もう少しご飯が食べたいって言っていたけど…。

たまに食事介助に行くのだけど、まさか一人で食べられるなんて思わなかった!

食事はやっぱり自分で食べる方が美味しいもの。
片手はほとんど麻痺しているので、滑り止めシートの上に、専用のお皿を置いて、持ち手が太いスブーンで、一生懸命食べていました。

家族としては、嬉しいです。