ソリストが3人登場する豪華なコンチェルトです。
Concerto for Violin, Cello, and Piano in C Major, Op. 56
というのが、正式な名前。
ピアノ、ヴァイオリン、チェロの3人がソリストということですが、
ピアノ三重奏がそのままソリストになった、という言い方をする人もいますね。
この曲については、ベートーヴェンの「駄作」だ、と断じる向きもあるようです。
いわく、
精神的な深みがない・・・
ピアノが簡単すぎて馬鹿みたい・・・
ハ長調という調性がいけない・・・
などなど。
ピアノ・パートが優しく単純なのは、プロの音楽家ではなかったルドルフ大公による
演奏を想定してのことであると言われていますね。
一方で、チェロのパートは高音を駆使していてめちゃくちゃ難しいです。
そんなアンバランスというか、「不公平コンチェルト」である点も
完成度という意味で批判の対象なのかもしれません。
しかし・・・
筆者は、この曲はベートーヴェン有数の傑作だと思うので、
「駄作」というのは、どうもしっくり来ません。
よくあることですが、平凡で退屈な演奏で、この曲を初めて聴いてしまった場合に、
その落とし穴にはまるんじゃないでしょうか?
筆者がこの曲を初めて聴いたのは、
カラヤン指揮のベルリンフィル、リヒテル、オイストラフ、ロストロポーヴィチ、
という組み合わせによるものです。
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1970年の録音で、豪華な布陣が大変な話題になったものだったと思います。
この録音では、4人の大家が、まさに一枚岩となって取り組んでいます。
カラヤンも彼の悪いクセ(?)である「耽溺」に陥っておらず、
比較的引き締まった音楽を作り、ロシア勢の3人に溶け込んでいます。
この録音は、相当に綿密な打ち合わせとリハが行われたように思います。
♪♪♪
筆者は、ライブでも2回この曲を聴きました。
一回はブリジット・アンゲラー(ピアノ)、クニャーゼフ(チェロ)、
マフチン(ヴァイオリン)、カスプシク指揮のシンフォニア・ヴァルソヴィアを
ラ・フォル・ジュルネ音楽祭で。
もう一度は、アルゲリッチ、カプソン兄弟、指揮はドゥダメルで聴きました。
どちらも、ソリストがお互いに呼応し合う部分が、とても意欲的でした。
この曲は、まさにライブ向きの曲なんだと実感したものです。
では、また。
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