見た目からは大きな変化は見られないが、ずいぶんと飛躍的な成長を繰り返している事に気付かされている。
 視覚の成長は、本当に驚くばかりで、見えている様子を以前からの知り合いの方に話すと、その表情にどれ程驚異的な変化なのか思い知らされる。
 
 まあなんとなく見ている感じは、かなり前からあったが、きちんと理解し捉えているかは良くわからなかった。
きっと、もーは 「見えている」し、      
「見たい」、「知りたい」のだろうなと思って接してあげるしかなかった。
そういう点では、もー が、第一子でなかった事が非常に良かった事ではある、
 
 上の子達の子育てを通して、こどもがどんな物に興味を示し、どんな事に喜びを感じるのか、なんとなくではあるが、体感してきたものがあるかないかでは、違いはやはり大きい。
それだけに、できない事に対しての絶望感も、多分きっと凄まじかったのだろう。けれど、だからこそ求める物への理想も限りなく高かったのかもしれない。





 




 これまで私は、もー に市販の児童向けのオモチャは必要ないと思っていた。買った物はいわゆるベビー用品がほとんどで、それも触覚、聴覚に限ったもので、視覚刺激など頭になかった。
 ここ半年は、絵本を選ぶ時には、お話や言葉の流れよりも、もーが興味を持って見る事ができるかどうかを基準に考えている。
 学校の授業に絡んでいるものや、今までの経験に関連しているもの。特に、車でのお出かけは、常に希望を描いているので、興味が強い様子だ。

 男の子だからミニカーだと、健常児に対して自然と想像できていた事が、これまではもーには思えなかった。
ふとしたきっかけで、「乗り物図鑑」を見せてから、もーの車への関心が格別な事に気づいた。
それは理学療法士さんからも聞いた事でもあるが、リハビリでも車の音がする道具には、とても良い反応を示し、自発的な身体の動きが良く出ている。

 もーにトミカを買う日がくるなんてと、私自身も驚いている。
そして今日、ハンバーガーのチラシをみたら、なんと、トミカのおまけがついている。
 チラシに感激し、これは買おうと思った自分に、
またもーの成長の凄さを実感している。 



#新生児重症仮死
#医療的ケア児
#人工呼吸器
#虚血性低酸素脳症
#重症児
#脳損傷
#トミカ
 中学生になってから、一段と体調が落ち着いている もー。
この秋も順調に登校し、学校の文化祭にもほぼ通して参加できた。

「やりたい」という意欲も、「できた」という達成感も、とても もーの身体の成長と安定に大きな役割を果たしている。

そして、一人でもなく、先生や関わる大人の方だけではなく、クラスやグループの「友だち」の存在が良い感じに もーの心の栄養になっている。
今年の学校祭では、そういう事を感じる場面がたくさんあった。




廊下に飾られていた、先生と書いた今学年の目標。

強い意思を感じられた。


  もー が生まれて14年目の夏。
全国的にも猛暑で当然ながら もー の暮らす地域も連日の暑さが続いていた。
以前は夏でも電気毛布が必要な程低体温で、冷房の影響が心配だったが、ここ数年は冷房の室内でも半袖シャツで過ごせるほど体温調節は上手になっていた。
とはいえ、環境の気温に順応して体温も冬場は低めで夏は上がり気味ではある。
今年の暑さは冷房が効いていても、不快な暑さを感じるほどだったので、室内でも脱水は気掛かりな事だった。
 健常に見える大人でも、体調を崩しがちな気候に、もー のような子がはつらつと過ごせる訳がない。案の定点滴治療が必要な容態になり、夏休み中は大部分をベッドで過ごす事になった。ただ、点滴のおかげで、体温も低めになり、脱水の心配もなかった事は、幸いだったと思う。

 


 夏休み明けからは、順調に体調も戻り、校外学習に出かけたり、充実した生活が送れている様子で安心している。


 もー の暮らすリハビリ施設では、年4回のリハビリ評価というものか出される。
学校の先生やお世話してくださる看護師さん達から、日々の活動の様子、表情の変化や反応を教えていただく事がたくさん増えて、生まれた頃の深刻さを忘れてしまうほど、劇的な成長を感じている反面、専門家の医療面からの客観的な評価には、正直にかなり落ち込んでしまうものではある。
 いつも見ている もー の成長に対する感じ方が、健常児基準では新生児にも満たない事は、理解しているつもりでも、それを遥かに下回るマイナスレベルからは到底脱する事ができない現実。
何が何でも何かにこじつけて、鼓舞していなければ、とても向き合えるものではない。
それでも慣れというか、習慣になってしまった今では、まあまあ、そんなものだよねと、冷静にそれはそれと振り分けもできているのではないかと思う。





 夏休み前の二回目のリハビリ面談から、より細かい評価が出されるようになった。
 生まれた時のアプガースコアも全て0の低評価から始まって、反射も脳波もないない尽くしで、点数には期待を持つ事はしていない。
しかし、良く見てみると、「集団適応 得意」「記憶2」「理解2」「社会的交流」には「3点」も付いていて、母親の欲目でも、今の もー そのものの評価が映り、思わず笑みが溢れるほど、嬉しいものとなっている。

 大勢の人との関わりが着実に実を結んでいる。