これは、吉報なのか?

それとも、凶報なのか?

俺は、父さんがユノとユノの両親に説明している診察室の前にただ佇んで話を聞くしかない状況でいた。

『リスクの話をしなければいけません。現在生存率はわかりません。10年か、20年か。もっと生き延びるかもしれません…ですが、3年ももたないかもしれない。ガンの発生リスクもあります。もちろん、心臓の手術ですから手術自体もリスクがあります。術中死ということも覚悟して了承してください。やりますか?やりませんか?』父さんは、ユノの家族にこのように告げた…。

『一か八かのくじ引きみたいですね…。俺、くじ運悪いんですよ。』

『ユノ…。』

『父さん、俺が決めていい?』

『もちろんだ。』

『俺…。』

ユノはすぐに返事をしなかった。
そして、診察室から出てきた。

『ビックリした。ジェジュン来てたんだ…。』

『ユノ、俺…』

『…悪いけど返事はちょっと待って。もしかしたら、またジェジュンを泣かせるかもしれない。』

『え?』

『ジェジュンにとっては、良くないことを頼むかも…。』

『何言って…』俺が、そう言いかけた瞬間ユノの両親も診察室から出てきてユノは『じゃあ。』とだけ言って帰ってしまった。

…やらないんだ。

ユノは、俺が絶対に手術してほしいことはわかってる。わかってるから、迷ってるんだ…。
また、俺がユノを苦しめてしまってる…。

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『父さん、俺が一発殴ったらユノは手術受けてくれると思う?』俺は、家でコーヒーを飲みながら真剣に聞いてみた。

『ぶっ。バカなこと言うな!誰にも強制はできないよ…。』

『…わかってるよ。そんなこと。』

わかってる。わかってるけど、俺だって譲れない。
その時、ピンポーンと家のチャイムがなった。
母さんがインターホンに出る。
『はーい、どちら様?えっ?ユンホくん?』

いきなり、ユノは家にやってきた。

『こんばんは。返事と大切なお話があって来ました。』

『わかった。母さんとジェジュンは席を外してくれ。』

『いいんです。おばさんにもジェジュンにも聞いて欲しいから。』

『医師にワガママを言いにきました。』

『君が?子供の頃からみているけど、君ほど辛抱強い奴はいなかった。もう、俺といて10年になるか…。』

『来月、18になります。』

『そうか…。』

どうしよう?
俺、ユノの話を聞くのが怖い…。

『一生に一度のワガママです。手術の前にジェジュンくんと結婚させて下さい。身の程知らずだとは、わかってます。でも、ジェジュンくんを僕に下さい。』ユノは、俺の両親に土下座した


俺は、流れる涙をとめることが出来なかった。

『ジェジュンくんを、僕にください。お願いします。お願いします。』ユノは、何度も何度も頭を下げた。

『それでもユノくん、あなたはもうすぐ死ぬでしょ?』俺の母は残酷にもそんな言葉を吐いた。

『たとえどんなに愛し合っていても、未来のないあなたとの結婚なんて認められないし、まして同性同士で幸せになれるわけがないじゃない!』

『母さん!!なんてこと言うんだよ。いくら母さんでも許さない!!』

『許さなくて結構。この話はおしまい。さっさと、帰ってくれるかしら?』ユノに吐き捨てるように言った。

『なに言ってるんだよ!母さん、ユノに謝れよ!ちゃんと、謝れ!』俺は、無意識に自分の母親の肩を強く掴んでいた。

『痛っ!』

その時、ユノがまた続けた。
『わかってます。それでも、ジェジュンを幸せにしたいんです!確かに、僕は今度の手術で死ぬかもしれません。死ぬかもしれないからこそジェジュンくんを幸せにしたいんです!』

『勝手なこと言わないで。2人で幸せになったとしても、あなたはジェジュンを残して先に逝くでしょ?あなたは気楽でいいわよね?残される人の苦しみなんてわからないんだから。』

『母さ…』俺が言いかけた瞬間

『死なせない!!』
父さんが怒鳴った。

『10年みてきたんだ。10年みてきたのは、君を死なせるためじゃない。助けるためだ!!なんとしても君を助けたい。』そして、父さんはユノの頬を優しく包んでくれた。

『君には、生きて欲しい。ずっと、お前らをみてきてどれだけお前らがお互いを大切にし合っているかよくわかってる。だから、もういい。認めるよ。君が、ジェジュンと結婚してずっと笑顔でいてくれる。そんな未来をみてみたいんだ。みせてくれ。』
父さんの声は優しかった。


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【おまけ】
素敵なユンジェ。
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