ジェジュンside

俺が病院に向かって歩いていると『ジェジュンくん!』って呼び止められた。
振り返ると、そこにはユノの両親。

『ジェジュンくん、もう聞いた?ユノの心臓移植が決まったの。さっき、ふたりで神社に行ってお守り買ってきたの。ドナーの方に感謝しないと。でも、誰が助けてくれたか教えていただけないのよね。お礼が言いたいのに。』って、信じられなくて『そうみたいですね。』って、答えるのがいっぱいいっぱいだった。

なんでって。俺、聞いちゃったんだよ。アラから。
聞いてない振りをしてるけど知ってるんだ。
もしかしたら、その心臓はチャンミン先輩のかもしれないって…。

俺は、知らないふりをしてユノのとこに行ってもしばらくユノの髪をなにも言わずに撫でてた…。

『ジェジュン、悪い。俺、ちょっとトイレ。』

『看護婦さんが手術前だから安静にしてろ!って言われたじゃん!』こちらに、どうぞ!って尿瓶を差し出したら絶対にやだ!って拒否された。

『待って、じゃあ俺車椅子とってくる。』って行って、無理矢理車椅子に座らせた。

『出発進行!トイレ、トイレ!』って言ったのに、着いてくるな!って怒られた。
こっそり、着いて行ったらほら!やっぱりトイレなんか通り過ぎる。
向かう先は、チャンミン先輩のとこ。
生きているのかどうなのか…

ユノが病室に入るのを、躊躇しているとバタバタバタって足音が聞こえて、その人がチャンミン先輩の病室に入っていく。
あぁ、この人がチャンミン先輩の恋人…。
しばらく、入れないでいると病室から泣き声が聞こえてきて。
気づいたら、ユノは振り返って俺のことをみてた。
『…ごめん。迷子になっちゃって。こんなとこまでくるなんておかしいよな。』って笑っていう。
一緒にトイレに行くけど、個室からはユノが吐いてる音が何回も聞こえてきて、俺の涙は止まらなかった。

『ジェジュン聞こえる?チャンミン先輩のこと知ってたんだな…。俺さ、どんなことがあっても、生き抜くっていっただろ?でも…、チャミ様には生きていてほしくて…目を覚まして欲しいって思ってる…。死なないでって!』
そこまで、聞くのがやっとだった。

俺は、病院の屋上に来て大声で泣いた。いつも、俺を一番に思って大切に
してくれたチャミ様。どんな時でも、俺の味方だった。

ごめんね、先輩。
でも、俺ユノには生きていてほしいんだよ。

しばらくして、病室に戻ったらユノはもう戻ってきてた。

『いやー、悪かったな。実は、今までにないくらいのウ○コが出ちゃってトイレから出てこれなくて…って、こんな冗談つまらないか…』

『…俺、嬉しい。ユノの心臓移植が決まって。誰の心臓が知らないし、教えてもらえないことになってる…。先輩が、倒れたのは偶然同じ時期だっただけ。それが、チャンミン先輩のだなんて限らないんだよ。そして、俺らに先輩が生きているか確認するなんてこと出来ないだろ…。』俺は、泣きながらユノに訴えた。

『でも、医師は言ったんだよ。俺が選ばれる可能性が高いって。実際、わからないよ。別のドナーが現れたかもしれない…』

『でも、違うかも知れない!違うと思えば違うんだよ!ユノ、いい加減にしろよ!!』俺が怒ったらユノはビックリしてた。

『…先輩の心臓でも俺嬉しいんだよ…最低なやつだろ。それでも、ユノには生きてほしい!俺、子供の時からずっとユノだけ見てきてて、ユノが大人になっていくのが怖くて怖くて仕方なかった。ユノが死んじゃったら。って怖くて怖くて…!だから、俺すごく嬉しい…心臓移植が決まって!』俺が叫んだらユノは優しい声で『…うん。』って言った。

あぁ、この人は移植なんか望んでないんだ…

『…だけど、ユノが辛いなら断っていいよ。俺のために、心臓移植なんてしなくていい…。』窓に向かって言ったはずなのに、ユノの方を振り向いたら涙が止まらなくなった。
そんな、俺をユノはずっと力強く抱きしめてたんだ…。

そして、手紙を置いて俺らは病室を後にした。

-キム先生へ-
申し訳ありません。
俺には、心臓移植が出来ません。
色々と力を尽くしてくれたのにすみませんでした。



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