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母のゆるゆる食道がんライフ

食道がん・ステージⅣを克服する気のあまりない母の様子と、
娘(私)の思い。
がんと真摯に向き合う方の参考にはならないかも。。。

治療がすべて終わったため、最初に入院した病院に戻った。

昨日も家に帰りたい!と大騒ぎした母だったけれど、
鎮痛剤も使わないくらいになったので、少し落ち着いた様子。

朝早く、弟と病院に行き、荷物をまとめて転院先へ。
40日振りにまたお世話になる。

母が簡単な検査を受けている間に、ナースさんから質問を受ける。
今までの病院では、病院食ではなくて好きなものを食べていたけれど、
この病院にはコンビニや売店がない。
でも、こちらで用意すればそれを食べてもいいとのこと。
食べると言っても数口だけれど…。
まあ、どうにかなりそう。

母と病室でおちあい、いつ外出できるかねー?と弟が言ったら、
「今日」
と即答される…。
ちょうどナースさんが来たので話したら、
「はっ???」
と絶句された。
そりゃそうだ。

「一応主治医に聞いてみますけど…」と部屋を出て行き、
数分後に主治医を連れて戻ってきた。
したら、
「いいですよ、泊まるのはさすがに無理だけど!」と。
私と弟とナースさん、目点。

そこからいきなり母の動きが機敏になり、
さっさと身支度を整える。
やればできるんじゃん!

車椅子をお借りして、逃げるように外へ出る。
ベッド滞在時間は30分ほど。

母の執念で、50日振りに自宅へ。
留守番していた息子と2匹の犬もびっくりしていた。

天ざるが食べたいと言うので、
蕎麦屋に出前を頼んで昼食。
久しぶりに母のいる食卓。
やっぱり数口しか食べられないけれど、
入院前のように苦しがったりはしなかった。
初めて治療の効果を見た気がした。

帰宅したからといって、何をするでもなかった。
でもやっぱり、自分のベッドにいる顔は嬉しそうだったし、
会話もまともにできる。
たわいもない話をしたり、犬を撫でたり、テレビを見たり。

今日は息子の習い事へ行く予定だったので夕食の準備もしていなかったけれど、
餃子とチャーハンが食べたいと言うので、
冷凍してあったものを出した。
「餃子食べたかったんだー」
と、少しだけれど満足そうに食べていた。
そして、弟と病院へ戻っていった。

疲れた。
朝早かったし、気も張っていた。
だけど、嫌な疲れではなかった。
ここ数日LINEで揉めていたより全然心地よい疲れ。
母はもちろん、私にも弟にも達成感があった。

在宅介護とまではいかなくても、
やはりたまには帰宅させてあげたほうが、
おそらく家族みんなにとって良いような気がした。
部屋に新鮮な空気を入れるように、
みんなの気持ちもたまに気持ちの良い風を送らなくては。

病気は病人だけの問題ではない。
重篤であるほど、周りの人たちにも影響が大きい。
母の病気は治ることはないし、
この状態をどれだけ保てるかが主題。
だからこそ、下らない諍いを起こすことなく、
みんなが笑顔でいられる時間を少しでも作らなければいけないのだ。

病気の発覚、治療、と来て、
これからまた新しいステージに入る。
みんなでどうしたら苦痛と笑顔をシェアできるか。

私もまた、前を向いて頑張っていこう。
そんなスタートが切れた。