先方は、我々を潰そうとしている。

 

マネージャーは僕に、そう訴えかけた。

 

確かに、Toshiさんのコンサートは、MASAYAの団体の資金源になっているのだろう。

 

ToshiさんがMASAYAの曲を歌っている限りは、広告塔になっていると言われるのも当然だ。

 

しかし、今回の件は、MASAYAの団体を潰すこと自体が目的というより、もっと別の意図があるのではないかと僕は思った。

 

その意図とは、Toshiさんを救い出すことではないのか。

 

もちろん、そこにはXJAPANを取り巻く何らかの利権があるのかもしれないが、少なくとも、MASAYAの支配下にToshiさんがいるよりも、XJAPANとしてToshiさんが活躍した方が、遥かに音楽業界にとってもプラスにはるはずだ。

 

ファンにとっても、その方がいいに決まっている。

 

 

ただ、今のToshiさんは、自分が音楽業界の利権の手段にされてきたことに嫌悪感を抱いている。

 

その不信感は、根強いもののように思えた。

 

この問題は、Toshiさん自身が、音楽業界というものをどのように捉えるのかという問題と深く関わっているのかもしれない。

 

しかし僕は、Toshiさんであれば、清濁併せ吞みながら、自分が目指す道を歩むことができるのではないかと思った。

 

もしMASAYAの団体が潰れることによって、Toshiさんの生活に変化が生じ、それをきっかけにしてToshiさんが新しい人生を歩むことができるなら、それは大きなチャンスだ。

 

僕は、この流れを邪魔しないようにしなければならない。

 

そして同時に、今のToshiさんの価値観が良い方向に変化していくように、僕も何らかのサポートをしていきたい。

 

そのためには、いずれにせよToshiさんとの関係を、より深めていく必要がある。

 

 

マネージャーは、岡山コンサートの開催を何度もオファーしてきた。

 

「(観客が)少なくてもいいです。一度聴いてもらえば、わかってもらえます。だから、ぜひやらせて下さい!」

 

僕は、様々な状況を熟考して、コンサート開催に協力してくれた住宅さんに、相談してみることにした。