岐路に立つ日本を考える

岐路に立つ日本を考える

 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。

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新ブログを新たに開設しました。

一発目の記事はもう少し中身の濃いものにしたかったのですが、大した内容になっておらず、ごめんなさい。それでもご覧いただけたらと存じます。

新ブログの記事


 事情により、近々このブログを閉鎖することにしました。

 少しでも日本を良くしたいとの思いで、この「岐路に立つ日本を考える」ブログを書いてきました。自分が書きたいようにこのブログを書いてきたとは思っておりますが、ただいずれの記事においてもしっかりとした根拠を示し、自分の考えが少なくとも一つの論として成り立つものであることは明確にしてきたつもりです。悪意をもたずに公正な立場から私のブログ記事を見て頂ければ、右の立場であろうが左の立場であろうが、私がどのような論拠に基づいて合理的な推論をしてきたかがわかるように努めてきたことはご理解して頂けるものだと考えてきました。

 しかし現実はそれほど甘いものではないようです。

 ある日突然に前触れもなくこのブログが消えてしまう可能性が生じるよりも、このブログが消えることを事前に告知できることの方が、私にとってはより大切なことであると判断しました。

 これまでこのブログをお読みいただき、ありがとうございました。

 なお、新ブログは以下になります。

新ブログ


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 すでに一部で言われているように、ドイツ銀行(ドイツ最大の民間銀行、ドイツの中央銀行ではない)がかなり深刻な状態になっています。2015年度の業績においては日本円に換算して約9000億円の赤字を計上しました。(以下も理解しやすいように、すべて日本円で記述します。)さらに排ガスの不正事件に関連して、フォルクスワーゲンの当面の資金繰りを助けるためにドイツ銀行は1兆3000億円の融資を行わざるをえなくなりました。フォルクスワーゲンは米政府の制裁金が2兆円ほど必要となると見られ、不正エンジンの改修費用でさらに5兆円以上かかると見られています。消費者のフォルクスワーゲン離れが進んでいることによる販売不振が続くことも想定せねばならず、フォルクスワーゲンを救済するための金融負担は10兆円を超えると考えられます。つまり、回収のめどが立たないのに、フォルクスワーゲン絡みの融資を拡大させねばならないところにドイツ銀行は追い込まれているわけです。

 ところで皆さんは、ギリシャと並んで破綻の危機に陥ったスペインの国債の金利がどうなっているか、ご存知でしょうか。なんと、あのスペインの10年もの長期国債の金利が現在では1.6%ほどしかないのです。ユーロ圏の短期国債の金利は現在軒並みマイナス金利に陥っており、長期国債の金利にしても2%割れまで下がっています。これはECB(欧州中央銀行)が日銀に先駆けてマイナス金利を導入するところまで金融緩和を進めたこととも関係しています。

 ではスペインの危機は去ったのかといえば、決してそんなことはありません。スペインにおいては昨年の12月20日の総選挙の結果に基づいた組閣が未だにできないままとなっており、行政が機能していない状態に置かれています。スペインではこのまま5月頃まで組閣ができないまま放置されて再選挙になるのではないかとの観測が有力視されていますが、これは要するに5ヶ月間も行政がまともに機能しない状態のまま放置されることを意味します。スペインの政府純債務残高対GDP比は2015年10月段階での推計値で、リーマン・ショック時の2008年の30.02%から2倍以上の64.79%にまで跳ね上がっています。しかしながら、他に運用先が見当たらないことから、欧州の金融機関はこんな不安定な国の国債でさえ買い進めないとやっていけないところまで追い込まれているわけです。

 このように国債においてもまともな運用ができなくなったこともあって、欧州の銀行はリスクの高い新興国への投資などを積極的に展開してきました。例えば近年ドイツが中国に接近していたことはよく知られているとおりで、要するに中国などの新興国向けの融資残高が膨らんでしまっているわけです。

 全世界的に経済が順調に拡大を見せている段階では問題にならないことが、この歯車が逆転するととてつもない反作用をもたらすことになります。先進国から新興国に向かって流れていた資金の流れが逆転してきていることから、新興国の経済危機がどんどんと高まっています。そしてその経済危機の高まりがなおさら新興国からの資金の引き上げに向かわせることになり、さらに危機が進化することになるわけです。

 ドイツ銀行が抱えるデリバティブの想定元本は8000兆円程度とみなされており、デリバティブがいったん弾けて、ドイツ銀行がその想定元本の1%の毀損を負わなければならなくなったとしても、80兆円という負担が発生することになります。リーマン・ショック時には金融緩和を行うことによってそのショックを和らげることがある程度可能でしたが、今回は通常の金融緩和に加えてマイナス金利を導入するところまで量的緩和も進めきってしまったために、金融政策でこのショックを和らげられる余地がないわけです。

 フォルクスワーゲンが引き金になるのか、中国のハードランディングが引き金になるのか、それ以外のことが引き金になるのかはわかりませんが、一旦どこかで歯車が狂うと、それらが連鎖的につながっていく危機があることを見据えておかないといけないでしょう。

 このように見た時に、ドイツ銀行だけが問題を抱えているわけではなく、欧州の銀行は総じて同じような問題を抱えていると考えるべきだということになります。先進国の経済政策はこれまで金融緩和一辺倒で進めてきましたが、これに対して壮絶な逆バネが作動することになると、経済にとてつもなく大きな負担をかけることになります。そういう危険の一端がドイツ銀行の危機に典型的に現れているように、私には感じられます。


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 国連の女子差別撤廃委員会に外務省の杉山審議官が出席し、慰安婦の強制連行を確認できる資料がなかったことを説明しました。慰安婦の強制連行については吉田清治が捏造話を発表し、これを朝日新聞が事実であるかのように大きく報じたことから大騒ぎになったこと、20万人という数字も女子挺身隊と慰安婦を混同したものであり、これらについては朝日新聞がすでに誤りを認めていることも説明しました。

 従来の外務省の姿勢からは一歩外に出たわけで、その点では評価できますが、このレベルの対応で外務省を評価するのは筋違いではないかと、私は考えます。

 そもそも国連の女子差別撤廃委員会に今回外務省が出席したのは、杉田水脈前衆議院議員(日本の心を大切にする党)が昨年(平成27年)7月に行われた国連の女子差別撤廃委員会のプレセッションに出席して、「慰安婦が強制動員された証拠がない」ことを日本政府が閣議決定している事実を伝えたことがきっかけです。この事実は女子差別撤廃委員会に衝撃を与え、日本政府に事実関係の確認を求めてきたことから、外務省が重い腰を上げたにすぎません。

 今回の女子差別撤廃委員会への出席に先立って、外務省は日本政府の見解を示す答弁書を国連に提出していますが、それはA4版1枚に十分に収まる程度の簡潔なもので、日本政府の立場を説得的に説明するものとは到底いえませんでした。例えば、性奴隷とはいえないとの否定についても、借金の完済があったら自由の身になれたこと、当時の二等兵の年収が72円だった時代に彼女たちの手取額が月額750円程度であったこと、一日の労働時間に制限があったこと、週1回の休日があったこと、週1回の休日に無料で軍医が健康診断をし、体調不良の際には休まされていたこと、好きなものを買って贅沢な生活をすることが認められていたこと、日本兵と一緒に運動会やハイキングなどを行っていたことなどの具体的事実には何一つ言及しないまま、「性奴隷とはいえない」と否定したのみに留まっています。つまり説得力を高めて誤解を積極的に解こうという努力がほとんど見られないわけです。

 この記事を書くにあたって、事実関係の確認のために外務省のウェブサイトを覗いてみましたが、今回の杉山審議官の発言やこれに先立って外務省が国連に提出した答弁書についての記述が見当たりませんでした。皆さんにもぜひご確認いただきたいのですが、外務省のトップページに整理されている「トピックス」の「女性」にも「国連外交」にも「歴史関連」にも記載されていません。「新着情報」にも掲載されておりません。検索の欄に「国連 慰安婦」と打ち込んで検索しても、ヒットしませんでした。私が見つけられなかったのは私の検索能力が低いことにも原因があるのかもしれませんが、仮にそうだとしても、それは普通には見つからないところに外務省は情報を置いているということを意味します。そもそも情報を掲載していない可能性も高いわけです。つまり、眼につくところに掲載して広く見てもらう価値はないこととして外務省が認識しているということを示しています。

 外務省には慰安婦問題について日本が把握している事実関係を丁寧に説明することには極めて消極的なのであり、今回杉田水脈氏が引き起こした余波に対応せざるをえなかった程度の対応に留まっていると言わざるをえません。

 そして私たちが忘れてならないのは、今回のこの杉山審議官の行った説明に関する報道において、大半の国内のマスコミが報道らしい報道を行っていないということです。これだけ国民の関心が高く、また未だに国民が広く誤解をしている可能性が高い事案について大きく取り上げる報道を行わないところに、日本のマスコミの偏向ぶりが如実に表れています。

 さらに我々がさらに気付いておかねばならないことは、今回の杉山審議官の発言は、昨年末の日韓合意の際に世界各国で報道された報道内容と大きく違っているにも関わらず、主要な海外メディアでもほぼ触れられていないという点です。海外のマスコミにも日本のマスコミと同様の偏向があることに、私たちはしっかりと眼を向けておくべきです。

 今回の杉山審議官の発言を了とすることで終わらせてはなりません。これはあくまでも反撃の小さな一歩を踏み出したものにすぎません。我々は官邸や外務省に今回の杉山審議官の発言が不十分なものであり、海外の誤解を解く役割をほとんど果たしていないことについて厳しく責め立てていかないと、動き始めたように見えるこの動きすら止まってしまうことを、私たちは肝に銘じるべきだと考えます。


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 高市総務大臣が、放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、電波停止を命じる可能性があるということについて言及したことが波紋を広げています。政府が強権的にその意に沿わない番組を流した放送局の電波を停止すると脅しに出たものだと批判する方がいる一方、高市大臣に対して「よく言った」と褒める向きもあるようです。ところが実際の国会の論戦を見ていますと、そうした性質のものではないことがわかります。むしろ、火のないところに煙を立てるかのような取り上げ方であると考えるほうが適切でしょう。

 総務大臣である高市氏が「放送法違反などによる電波停止の可能性はあるのか」と国会で質問されたら、「極端な場合にはある」と答えざるをえません。放送法第174条には、「総務大臣は、放送事業者(特定地上基幹放送事業者を除く。)がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したときは、3月以内の期間を定めて、放送の業務の停止を命ずることができる」と記されており、第104条には「第174条の規定による命令に従わないとき」には「認定基幹放送事業者」の「認定を取り消すことができる」ことが記されています。法律に書かれていることが気に入らないなら法律を改廃するしかないわけで、現行の法律を認める立場で総務大臣の役職についている限りは、政治的な立場がどのようなものであれ、このように発言せざるをえないのが実際です。実際、民主党政権下においても当時の平岡総務副大臣も同様の発言をしているわけであり、何も高市氏が突然極端な発言を行ったわけではないのです。

 ここから一つ疑問が湧きおこります。この発言を問題視している人たちは「法律には守らなければならないものと守らなくてもいいものがあり、その線引は大臣の考え一つで変えることができる」と思っているということになります。それが法治国家のあり方なのでしょうか。

 そうであるにも関わらず、マスコミは高市大臣が示した見解を問題あるものかのような印象操作を行っています。例えば、TBSは専修大学の山田健太教授の言を借りながら、「繰り返し政府の首脳が国会の場で正式に答弁をすることで、どんどん(放送の自由に規制をかける)考え方が既成事実化していくことの恐ろしさがある」と報じていますが、民主党議員がこのような質問を繰り返さなければ高市大臣がこの種の答弁を繰り返すことはなかったわけです。同種の質問を繰り返し行い、同種の答弁を繰り返し引き出し、それを不当な言論弾圧を既成事実化している証拠であるかのような印象操作に結びつけるというのは、実に卑劣極まりない話です。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2699627.html

 日本のマスコミは、事実を丁寧に伝えることよりも、国民に信じさせたい結論に結びつけることを優先させるために、その結論に都合よいように事実の断片を切り取ることを平気で行ってきました。こうした態度がたとえば慰安婦問題が国際的に大問題となるきっかけを作っただけでなく、未だに誤解が解けない原因にもなっているわけです。そういう点におけるマスコミの責任を棚上げにしたまま、あたかも安倍政権が不当な言論弾圧を開始しているかのような印象操作を行うのは、甚だアンフェアだと言わざるをえません。今求められているのは、マスコミが印象操作から手を切って事実を丁寧に伝える方向にシフトすることだと考えます。

 安倍政権はこの点について一歩も譲らずに、むしろ正論を突き通していただきたいです。

 高市大臣の答弁が実際にどのようなものであったのかも、よければ御覧ください。




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 SHARPが台湾の鴻海によって買収されそうになっていますが、これは断固として阻止せねばならないと私は考えます。鴻海がなぜ今回これほど多額の買収資金をちらつかせているのかという点も、我々は冷静に見ておかなければなりません。鴻海は確かに世界有数の巨大企業ではありますが、それでも7000億円という買収資金を用意するのは一筋縄ではいかないはずです。買収資金を支援する勢力が背後に控えている可能性について、私たちは見逃すべきでないと考えます。

 鴻海は確かに台湾で勃興した会社ですが、実質的には中国企業だとみなした方がよいでしょう。従業員数はグループ全体で120万人ほどいるわけですが、そのうちの9割が中国人です。つまり、事業の主体は中国において成り立っている企業です。当然ながら、中国共産党と「極めて良好」な関係を築けなければ、大陸に進出した台湾企業が大成功をおさめることは考えられません。

 鴻海の今日を知る上では李登輝総統の支援者で親日家としても知られる許文龍氏率いる奇美実業との関わりを知っておきたいところです。奇美実業はABS樹脂生産で世界一にもなった台湾を代表する企業グループですが、この奇美実業が事業の拡大のために大陸に進出し、事業が軌道に乗ると、中国共産党はそれまでの態度を豹変させるということが起きました。中国工場の工場長を逮捕して人質とし、許文龍氏に「台湾独立運動は誤りだった」との意見広告を台湾の主要新聞に出すように中国共産党は圧力をかけてきたわけです。事業の存続のために許文龍氏はこれに屈するより他なかったわけですが、こうしたトラブルに嫌気が差した許文龍氏は中国ビジネスを鴻海に売却しました。それが今日の鴻海の中国ビジネスの基盤を作ったともいえるわけです。奇美実業が伸ばせなくなった中国ビジネスを鴻海は信じられないスピードで拡大し、一時は150万人の中国人を雇う企業集団へと変貌したわけです。

 中国共産党は2005年にいわゆる「反国家分裂法」(正式には「反分裂国家法」)を制定し、台湾が独立を宣言した場合には軍事介入できることを法律上明記するとともに、「国家の主権および領土保全を守ることは、台湾同胞を含む全中国人民の共同の義務」だとし、台湾人を「中国人民」の一部として扱ってその統制下に置くことまで明言しています。中国本土に進出している台湾人はこの統制下に完全に置かれ、この中共の統制に率先して協力する姿勢を持っていなければ、中国本土で事業を拡大することなどありえないわけです。そしてその条件の下で急成長を遂げたのが鴻海なのだということを、私たちは事実として頭に刻んでおかないといけないでしょう。

 ですから、仮にSHARPが完全に鴻海の傘下となったとしたら、SHARPの技術はすべて中国共産党のものとなりうることは覚悟しなければなりません。SHARPの最先端の技術が鴻海のものとなったとしたら、SHARPと同レベルの技術を中国企業が持つことになることにつながり、それはパナソニック、ソニーをはじめとする日本の家電大手にとって極めて大きなダメージを与えていくことになります。そしてそれは、こうした家電大手を支えている多くの国内の企業群に対しても大きなダメージを与えていくことになり、日本の技術的な優位を大きく崩しかねない点について、私たちは真剣に憂慮すべきではないかと考えます。そしてそうであるからこそ、鴻海とその背後にいる勢力は7000億円という巨額を払ってもペイすると考えているわけでしょう。
 
 産業革新機構がSHARPの支援をすることに対しては「私たちの税金をなぜに何千億も投入しなければならないのか」という反発もあるようですが、話は日本の技術的優位性の存続に関わることでもあります。この点を見失わないことが大切であると私は考えます。


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 甘利氏が政治とカネのスキャンダルに巻き込まれ、大臣を辞任しました。この件については、キレイゴトでは片付けられない現実があるということを、タブー抜きで考えるべきではないかと思います。

 まず大前提ですが、企業であれ個人であれ、政治家に献金をする側に何らのよこしまな狙いもないとみなすこと自体がそもそもナンセンスです。もちろんそうした意図のないクリーンな献金ももちろんあるでしょうが、少なくとも金額の大きな献金の場合には、その裏には何らかの意図があるのが普通だと考えるべきでしょう。

 そもそも何らの口利きのお願いも全く受けたことのない政治家は恐らく存在しないでしょう。仮にその口利きを求めてきた相手が何らの献金も行わなかったとしても、選挙の時には自分の支援のために動いてくれることを政治家は当然期待して受けているはずです。少なくとも自分の選挙の邪魔をしてもらわないためには、「お願い」を無下には断れない立場に政治家というものは立たされていると考えるべきです。

 このような現実を前にして考えてみると、甘利氏の疑惑の徹底追及をしようとしている野党の議員にしても甘利氏をことさら非難できる立場にはないということがよくわかるはずです。

 クリーンなイメージで売っている共産党にしても、例えば彼らの勢力の強い民主商工会(民商)という中小業者の団体の悪辣さは、中小企業の経営者とか税理士であれば皆知っていることです。税務署が税務調査に入ろうとした時に徹底的な妨害を行うのは、民商の側からすれば「不当な税務調査を許さない戦い」ということになるのでしょうが、脱税を幇助しているとみなされても仕方ないところです。こうした団体の力を利用して共産党への支持を集めようとしているのは、政治とカネの見地からしていかがなものなのでしょうか。

 今回の甘利氏の事件で明らかになったのは、秘書まで完全に清廉でなければならないということですが、そんなことは不可能に近いでしょう。そもそも様々な「相談事」という名の無理難題を汲み取って「うまく」対処せねばならない秘書という立場からすれば、完全に清廉な人など務まらないでしょう。そんな秘書を嵌めることなどたやすい話であり、スキャンダルにしてやろうという悪意を持って近づいてくる人間をブロックすることは、現実としては無理でしょう。

 こうした現実を受け入れたうえで、ではどうすればよいのかという議論をしないと、上滑りなキレイゴトにしかならないはずです。そしてそんな上滑りなキレイゴトのためにもっと大切な予算の中身についての真摯な議論が進まないというのが正しいことなのでしょうか。

 国会は政策論議が中心であるべきであり、甘利氏の追及にしても政策論議の邪魔にならない範囲ですすめるだけの良識を野党議員であっても持つべきだと私は思います。


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 日銀がマイナス金利導入に踏み切りました。市中の金融機関が日銀に預ける日銀当座預金を3段階に分けて、ごく一部だけにマイナス金利を適応するということになっています。運用上、マイナス金利が適応される部分はほとんどゼロではないかとは思われますが、それでも金融政策の歪みがここまで来てしまったことには危機感を覚えます。

 これまでの異次元の金融緩和において、本来金利ゼロであるべき日銀当座預金(市中の金融機関が日銀に預ける預金)には0.1%の金利が無条件に適応されてきました。これは日銀が国債を買い進めるためには、市中の金融機関が国債を手放す気になる条件が必要だったからです。国債を日銀に売ってしまった後に金利がゼロとかマイナスになるのであれば、市中の金融機関は日銀に国債を売らなくなってしまいます。これでは日銀が国債を買い進めることができなくなってしまいます。このあたりの事情は日銀もよく理解していて、日銀に国債を売却した結果として増えた日銀当座預金残高には、これまで同様に0.1%の金利を付けるつもりでいるようです。

 ただ、日銀当座預金残高は市中の金融機関の貸出のベースとなるものなので、増えた当座預金をベースに市中の金融機関が企業や個人に対する貸出をなかなか増やしていかないとすれば、金融機関の貸出の積極姿勢が足りないとみなして、当座預金の一部にゼロ金利やマイナス金利を適応するようにするという仕組みに切り替えるというものです。このようなプレッシャーを金融機関に掛ければ、金融機関は何としてでも貸出を増やすだろうというのが、日銀の考えている話です。

 これは市中の金融機関の側から見れば、これまでの金融緩和でも貸し出せなかった怪しい貸出であっても何とか増やせという圧力になるわけです。一般の企業は、需要不足のデフレ経済下では今借り入れを行って設備投資を行っても過剰投資になって意味がないと判断して借り入れを行っていないわけですが、このような現実を無視しているとしか言いようがありません。

 通常の設備投資に対する資金需要がない中でも貸出を増やせと言われたら、株や土地の値上がりを求める投機資金需要への貸出を結果として増やすしかないでしょう。これまでもアベノミクスは投機資金需要への貸出を増やすことで株高を演出してきました。株価が上がれば株を持っている人たちは手持ち資産の価格上昇によって財布のひもが緩むわけで、これによって景気を引き上げるという策を講じてきました。手短かに言えば、バブルを生み出すことで景気回復を図ってきたのがこれまでの金融政策だったわけです。そしてこれをさらに強化しようと言うのが今回のマイナス金利の導入ということになります。つまり、バブル創出的な貸出をさらに強化させようというのが今回の処置の実際です。

 一国の経済力が着実に増加し、それに比例するレベルで株価や地価が上昇するのであるならば、その経済は健全だと言えるでしょう。しかしながら、株価や地価を引き上げて、そのおこぼれで一国の経済力を引き上げられないかというのは、発想の観点で逆転しているわけです。

 国債を積極的に増刷することはいかなる経済環境でも許されないという思い込みから脱却しない中で、より歪みの大きい政策に踏み込んでいることに、非常に危険なものを感じます。中国の経済崩壊ばかりが眼につきますが、欧州(とりわけドイツ)の変調が見過ごされているかと思います。今の日本に求められるのは、中国や欧州が暴発してもそのショックを受けにくい経済を築くことであり、そのショックを受けやすい経済を避けることではないでしょうか。分厚い内需に支えられた日本だからこそ、その強みを活かした経済運営ができるし、そしてその強みを活かした経済運営を行うことが世界経済に最も貢献する道だということに未だに気がついていないことに、ショックを覚えました。


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 大阪市でヘイトスピーチを規制する条例案が可決・成立しました。ヘイトスピーチというのは定義がなかなか難しいですが、直接的に関わっていない人間にも相当の不快感を生じさせ、かつ理性的な議論に適さない罵詈雑言の類を公言することのように、個人的には考えます。これに対する規制はあってもよいとは思っていますので、ヘイトスピーチ規制は内容がどんなものであっても絶対反対という立場には私は立っていません。しかし、今回の大阪市の条例についてはかなり問題があるように感じます。

 「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例案要綱(案)」を見ますと、「特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的な言動がいわゆるヘイトスピーチであるとして社会的関心を集めており」との文言があり、ヘイトスピーチが事実上「特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的な言動」に限定されています。さらに「要綱(案)」には「大阪市では、在日韓国・朝鮮人の方々をはじめ多くの外国人が居住している中、市内において現実にヘイトスピーチが行われているといった状況に鑑み」との文言が記載されていることから、「特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的な言動」というのが「在日韓国・朝鮮人を排斥する差別的な言動」を特に念頭に置いていることになります。

 そもそもこのヘイトスピーチ問題とは、「在日特権を許さない市民の会」が、在日韓国・朝鮮人が持っている「在日特権」をなくそうと主張していく中で、表現が不必要に過激化していったことが問題視されていることが背景となっているのでしょう。彼らの言動には周りにかなり大きな不快感を与え、理性的な議論に適さない罵詈雑言も数多く含まれるのも事実であり、ここに社会的な規制を設けていきたいとの考えにも理解できる部分はあります。

 しかしながら、これに対して「ヘイト・スピーチを許さない市民の会」というものが現れ、同様に周りにかなり大きな不快感を与え、理性的な議論に適さない罵詈雑言を発するようになりました。それどころか、「ヘイト・スピーチを許さない市民の会」の方が「在日特権を許さない市民の会」よりさらに過激で攻撃的にすら感じます。

 「ヘイト・スピーチを許さない市民の会」の側からすれば、自分たちはヘイトに対するカウンターであるからヘイトではないという主張になるのでしょうが、それはご都合主義だと言われても仕方ないでしょう。仮に何らかの規制をするのであれば、どちらの側のヘイトも公平に規制すべきなのは当然だと考えます。

 大阪市は建前としては、日本人に対するヘイトスピーチもその対象に含まれるとしています。しかしながら、「第31回大阪市人権施策推進審議会会議録」を見ますと、実質的にはそうではないことがわかります。該当部分の会議録を転載すると、以下のようになっています。

○森委員 どうもありがとうございます。先ほどの1つ目の質問に関連してなのですけども、前回この会議で議論しました中身とずれがあるなと思っていまして、前回のこの場所での議論では、日本人に対するヘイトスピーチは含まないという進み方だったように記憶しているのですけども、その点はどうですか。
○川崎会長 私もちょっと、そうは思ったのですけど。
○中井会長代理 以前はやはり、マイノリティに対する社会としての受け入れに問題が生じている社会、大阪というところから問題意識がスタートしているので、マイノリティ、外国人の人たちを排斥するということに対応する一連の動きだったと私も理解をして、そのようにお答えした覚えもあるのですけれども、ただ条例案としてできあがったときに、例えば、向こうから日本人に対してヘイトスピーチが行われたということに対して、それを客観的な形で、できあがってみますと、排斥するような読み方はできないかなと。むしろ、一つ一つの要件に当てはめてみると、多数の日本人に向けられて社会から排除することに当たるのかどうかと思いますね。1個1個見ていくと当たらないよねということになりますが、入り口として、この表にはそれこそ前文を付けていませんので、対象がマイノリティであるということは打ち出していないというのは事実かなと思います。


 ややわかりにくい言葉遣いになっていますが、日本人に対するヘイトスピーチも入口においては受理するが、ヘイトが日本人に向けられても日本人を日本社会から排除するものとはなりえないから、最終的には規制対象の要件を構成しないという理論構成でいこうとしているわけです。

 大晦日にドイツのケルンなどで難民たちによる大規模な集団犯罪が発生したのに、警察もマスコミも当初は全く動きを見せなかったというショッキングな事件がありましたが、この大阪市のヘイトスピーチ規制にもこの事件と類似の思想傾向が含まれていることが感じ取れないでしょうか。弱者保護は大切な考え方ではありますが、絶対的なものではなく、事実を否定するような動きになってはいけないでしょう。この点では、慰安婦をめぐる発言で撤回に追い込まれた桜田議員に対するバッシングにも、同様の問題点を見ることができます。

 そもそも「在日特権を許さない市民の会」の主張の過激化の背景には、彼らが正しいと信じることについて、彼らがいくら声を上げても日本の大手マスコミに取り上げられて建設的な議論の対象として国民が知るには至らなかったという現実との関わりも指摘せざるをえません。仮にマスコミが国民各層の多様な意見を拾い上げることに使命感を持ち、事実に基づいて公正な議論が社会的に展開されるように注力していたならば、今日のような展開とは恐らくかなり違っていたのではないかと思います。

 安易な弱者保護思想にのみのっかかったヘイトスピーチ規制を発動させることが、より理想的な民主社会に近づく道になるのでしょうか。そのようにして一方の側の言論を取り締まろうとする発想そのものが、むしろファシズム的で危険であるように感じられます。より理想的な民主社会に近づくためには、多様な見解を公平に取り上げて、事実に基づく言論を公正に実現していけるマスコミ空間を作り上げていくことの方がよほど大切であると、私は思います。



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 慰安婦に関する日韓合意については、これを奇貨として戦後体制の転換を図ることも可能なのではないかと個人的には考えています。この点については広い同意は得られないかもしれませんが、日本が性奴隷制度を認めて謝罪したという全世界的な理解を日本政府が放置することは許されることではないという点では、多くの同意は得られるかと思います。

 幸い、私たちにはインターネットを通じて首相官邸に直接声を届けることもできます。ぜひみなさんも、それぞれのブログなどで記載されているようなことを、意見として首相官邸に届けていただきたいと思っています。

首相官邸 ご意見・ご要望
http://www.kantei.go.jp/jp/iken.html

 ぜひともご協力をお願い致します。


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 なお、今回の件については、私は首相官邸に向けて論点の異なる個人的な提言を4回にわたって行いました。そのうちの4回めの提言内容をここに記しておきます。こんなに長い文章である必要は全くありませんが、ご参考にしていただけたら幸いです。

 今回の慰安婦をめぐる日韓合意について、我が国にとって世界的に最悪の報道がなされていることは、私が具体例を挙げずとも官邸の側では十分に把握されているかと思います。韓国側が日韓合意にしたがって日本大使館前の慰安婦像の撤去を行ったとしても、韓国政府が運動団体を実力で排除するような映像として全世界的に報道されることになる可能性が極めて濃厚で、それは世界各国における慰安婦像拡散の動きを却って加速させることに恐らく繋がるであろうことに、官邸側としても危機意識を持っていただきたいと思います。
 日韓合意について日本側の真意を理解しないまま、日頃中国が国家を挙げて行っている反日宣伝を鵜呑みにした報道が各国でなされ、諸外国の一般国民も首脳も同じような認識に至っているところを放置することは許されることではないと思います。
 この問題への対処は、首相の悲願である戦後レジームからの脱却への転換点となる可能性を大いに秘めているものだという認識を持ったうえで、ピンチをチャンスに変えるためにここは勇気を振り絞って頑張っていただきたいと思っています。
 重要なのは対米交渉であると思います。2007年のアメリカのIWG報告書やミートキーナでの朝鮮人慰安婦の聞き取り調査などの、米側に残る客観資料から、慰安婦問題はでっち上げられたものであることを米側に確認してもらうよう真剣に要請したうえで、この問題に対しては中国が裏で糸を引いており、日本に対する誤解をこのまま放置すると、中国による日米離反工作を成功させてしまう可能性が出てくること、それこそアメリカにとって悪夢であることを、アメリカ側に率直に話していただきたいと思っています。その上で、世界中に広がっている誤解を解くための総理の声明を全世界向けに発表していただきたいのです。
 安保法制や普天間基地移設問題を巡る議論でアメリカ側も認識しているように、日本のマスコミは左寄りのイデオロギーの立場から、事実を捻じ曲げたりして報道することに慣れています。この慰安婦問題の根幹は反権力を標榜できるなら事実をどれだけ捻じ曲げても構わない姿勢を持つ日本のマスコミと、「言論弾圧」との批判からダメージを受けることを恐れた日本政府の無定見な姿勢にこそあるわけですから、韓国民もその被害者であるとの認識を示して、韓国への非難を一切行わないようにするという戦術も採用できるでしょう。これにより、韓国側を悪し様に非難することを避け、日韓合意を誠実に履行する姿勢を示しながら、日本のマスコミの闇に手を付けられる方向性に足を踏み出すことができるかと思います。
 日本の方針転換はもちろん当面は混乱を生み出しますが、おかしな方向に動いている韓国の政策転換を促すことにも繋がることになる点も、アメリカ側と協議していただきたいです。例えば、日本側の追加説明をアメリカ側の有力シンクタンクが検証を行い、慰安婦を巡る報道については戦時のアメリカ側の資料を検証してみた結果として、慰安婦の強制連行の報告は当時において1件もなく、日本政府の主張が妥当であると考えられると発表するという形式をとれば、韓国内の保守団体を間接的に支援することになり、対韓政策的にも有効打になる可能性が高いと考えます。つまりこのような方向に動くことで、朴政権にとっても打撃よりもメリットのほうが大きい結果となるはずです。
 こうした結果が表になってきてから、日本が失ったものの大きさを首相がマスコミ人に真摯に訴える形式を取ることによって、歪んだマスコミ報道に釘を刺すきっかけを作り上げる戦術が取れます。明らかに事実に基づかないマスコミ報道については、今後政府は問題報道を行った報道機関名、報道内容の問題点、事実内容について国の内外に対して広報し、政府広報の妥当性についてその都度世界の監視下に晒していくことを誓っていただきたいと思います。そしてそれは戦後レジームからの脱却を訴える安倍総理にとっても、極めて大きなチャンスになると思いますし、国内向けにも謙虚に誠実にこの内容を訴えかけることによって、政権への支持を大きく引き上げることもできるのではないかと考えます。また間接的ながら、アメリカの覇権に挑戦するために反日宣伝による日米分断工作を画策してきている中国の戦略への強烈なカウンターパンチともなることも、アメリカに対して積極的に働きかけていただきたいところです。
 よろしくお願い致します。



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