先日、大阪地方裁判所で、競馬の的中馬券の配当金(競馬の馬券の払戻金)への課税について、この所得を「一時所得」ではなく「雑所得」とした上で、外れ馬券の購入費の必要経費への算入を認める判決がありました。
個人的にも思うことがあるので税務に関わる者として法律的な側面からコメントさせて頂きます。
あくまで、個人的な意見です。
一時所得とは、所得税法34条では「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。」と定義されています。
そして、一時所得は、臨時的な所得であり担税力(税金を負担する能力)が低いことから、経費を「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。」と制限した上で、所得(収入マイナス経費)から50万円を控除しさらに2分の1を課税するという特例扱いとなっています。
一方、雑所得とは、同じく所得税法35条において、「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。」とされています。
そして、所得税基本通達4-1(2)では、「競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等」に係る所得は、一時所得に該当すると明文化してあります。
つまり、法律を単純に解釈すると、競馬の馬券の払戻金は一時所得に該当すると明文化されている以上、雑所得は、あくまで一時所得を含む全ての所得に該当しない所得とされている以上、競馬の馬券の払戻金を雑所得と認定する余地はないことになるのです。
今回の裁判は、ある意味で法律を超えた画期的な判決であったと理解しています。
今回の判決について、たぶん多くの競馬ファンの方々は、朗報(勝訴)だと解釈していると思いますが、私はとても心配しています。
というのは、当局サイドが、法律を誤解されたと認識して、その誤解を二度と生じさせないように法律を改正した上で、本来課税すべきであった競馬の馬券の払戻金に課税漏れがあったということで課税強化に乗り出してしまう引き金になってしまうのではないかという心配です。
取り越し苦労であることを切に祈っています。