瀬戸内 寂聴
生きることば あなたへ

さっと開いて読める名文集。

名文集の類が好きだったりします。

1ページに2、3行の
その人が言ったり、書いた言葉が載っているだけの本で、

たいがいは
短い時間で読めてしまうような
文章量の本です。

だけど、その人が今まで生きてきたなかで
話したであろう無数の言葉たちが

ふるいにかけられて、
選りすぐりの言葉だけが残った

その残った言葉だけを集めた、
名文集というのは、
やっぱり短いなかにも、それだけ凝縮されたものがあると思います。

下手に長い言葉よりも、
ずしっと胸に響きます。

この本は、寂聴さんご自身が、著作から選んだ珠玉の文集。

わかれさびしさくるしみいのりしあわせ
5つの章に分かれています。

私が特に好きなのは、「いのり」の章でしょうか。

苦しいとき、泣きたいとき、ふと手を伸ばせるように
また、ハンドバッグやリュックに忍ばせられるようにと、

本が小さめに作られているのも
寂聴さんのやさしさが感じられます。

ふとしたときに、
開きたいと思う一冊です。