自分の重みを持て余すうちは
江國香織さんの短篇集、「犬とハモニカ」を読んでいます。冒頭の抜き出しは、その中で特に気に入った「おそ夏のゆうぐれ」の一節。久しぶりに純文学を読むと、こんな風に物事を考えたいと思う。一方で少し懐かしいといった感じもする。場合によってはくどいとも思える句読点のリズム。自分自身が何か作文をしろと言われても、こういった打ち方をすると思う。はじめのうちから自分が持っていたテンポ感に寄り添ってくれる作家は、必ず好きになる。懐かしいと感じるのは、子供なりに精一杯、様々な思案を巡らせた時期を思い出すからだ。
「滑らか」を「すべらか」と読ませるような言葉遣いが好き。いつだったか、わたしが口頭で「すべらかだ」と言ったとき、読み方まちがえているんじゃないのと、友人に笑われたことがある。誰だったかは忘れたけれど。本をあまり読まないのだろうなと内心思いながら、そうかな、と笑った記憶がある。わたしにとって、女性の肌について言い表す言葉は「すべらか」で、そのほうがずっと温かくて綺麗で、さらさらしていると思う。「なめらか」なんて言葉は、陶器にもプリンにも使える。
こんな細かいこだわりは、口に出さなくたって絶対に生きていけるけど、忘れたら一度につまらなくなる。だけど場合によっては、言ったほうがつまらなくもなるから、何も考えてないように振る舞うことも必要で、世の中にはきっとそういう人ばかりだ。
MUGENLIFEアルバム完成記念ライブ
日曜に行ってきました、初めてのライブハウス。
MUGENLIFEというバンドの、New Mini Album『夢幻百景』完成記念ライブということで。
じゃりんこサンシャイン、ネルソン・バビンコイ率いるバンド、MUGENLIFEでの対バン。
じゃりんこのVo、たかはしまいこさんと知り合いだったので呼んでいただきました。
(私はたかまいって呼んでます。)
CD音源は聞いたことがあったので、あの素敵な曲が生で聴けるのか~とワクワク。
渋谷LOOP ANEXはこぢんまりとしていて、椅子も並べてあって落ち着いた雰囲気。
東急ハンズ沿いの道をよく見ていると、不意に現れる階段を下ったところ。
最前列に座って、間近で堪能してきました。
ライブについて詳しく書こうと思ったんですが、評論家でもないんで感動すると余計に言葉が出てこないんですよね。
困った。
ライブ終わりに、じゃりんこの前駆であるmarble BeeのCDを購入し、その日の夜から今までずっと聞いています。
たかまいの声は、普段の話し声と歌声と、同じ感じ。そこがすごい。
演奏のあまりの素敵さが衝撃すぎて、もう完全にアーティストとして見てしまいます。
イヤホンでで聞くのもまた良いです。
けれど、たかまいのおしゃれなギター、そこから出る優しい音、歌声に程よく絡んでくるキーボード、カラフルな光、影、注文した柚子ジンジャーの甘さと冷たさ、昼間特有のゆっくりした感じにすっかりあてられてしまいました。
ネルソンのギターロックもパワフルで、白人さんの歌う日本語詞は新鮮でした。
主役のMUGENLIFEも、ウッドベースとトランペットが最高にかっこよくて、バンド全体の雰囲気が出来上がっていて、ついぼうっと見入ってしまう感じでした。
今回はmarble BeeのCDしか買わなかったのですが、他の2バンドも買えばよかった・・・!と帰ってきてからずっと後悔していました。
いやですね。
とにかく、小さなライブハウスの感じ、もう一度味わいたくて仕方がない。
お金の許す限りでまたすぐ行ってしまいそうです。
marbleBeeのCDと、じゃりんこサンシャインのステッカーです。