診療余話３

プラセンタ注射を5年間

ある日私の診察室に、Ｇさんがやって来ました。彼女はもう5年以上前からクリニックに通っている常連さんです。年令は55歳、なのですが、間違いなく10歳は若く見えます。

彼女は月に2回のペースでプラセンタの注射を続けて5年と半年になりました。私は彼女にきいてみました。

「プラセンタの注射を打ち始めて5年以上が経ちましたが、あなたがこの注射を続けたいと思う一番の理由は何ですか」

「そうねえ、プラセンタ注射を打ち出してからすぐに自覚したのは肌の状態がよくなって、お化粧の乗りがよくなったことでした。そして睡眠不足の次の日でもそれは変わらなくて、元気に仕事ができたことでした。普通は8時間眠らないととっても調子が悪かったわたしが、6時間の睡眠でも普通に仕事ができるようになったんです」

「それも一種の体質改善といえるかも知れないですね」

「それよりもっと私が嬉しかったことがあります。それは更年期障害というものを殆ど感じずに終わりそうということなんです。友達の中にはすごく更年期で苦しんでいる人がいるのに私は殆どつらいと思う症状がこないんです。もう去年で生理も終わりましたけど、何だか更年期障害といえることがないままで終わりそうです」

「それってすごいことですね。他にも若い女性できつい生理痛が悩みであったのが、本当に生理痛がなくなったという人もいますよ」

　　〇　　　　　　　　　〇

今から８年くらい前、プラセンタ（つまり人の胎盤から抽出したエキス）の注射を専門にしていたある内科医が、講演の中で、プラセンタが肝臓疾患に効く、免疫力が高まるので花粉症にも効果があるなどなどと話された後「うちの患者の中には、しみまで消えたといって喜んでいる人もいます」といわれたことが発端で、美容外科医が患者に使うことになったのでした。

もともとプラセンタ注射は慢性肝炎に効くということで認可を受けた薬だったのです。肝臓に効く特効薬がない時代に認可されたのですが、、ごく一部の内科医にのみ根強く好まれていました。それが２１世紀に入り、アンチエイジングが叫ばれる時代になると美容と健康に効果がありそうということで、一躍脚光を浴びることになったのでした。

月に１，２回注射をして、もう百回を越える人は５０人以上見えます。不思議なことにこの注射を続けているひとは「老けない」のです。８年くらい前から始めたのですが、５年くらい続けている人で、初診されたときよりもむしろ若々しいという人が多いのですから不思議です。これからも根強いファンが増えていくことでしょう。

実は私自身もこのプラセンタ注射を続けて7年以上になります。現在も月に3，4回自分で注射しています。私の経験からもっとも有難いと思うことはきつい風邪を引かなくなったこと、一日の睡眠時間が4，5時間で充分行けるということです。このことは一日が24時間では足りないと思っている私にとって非常に有難いことです。これからも私はこの注射を続けるつもりでいます。

徒然日記 診療余話２

ほめられるってやっぱり嬉しいものです

最近、診療中に一日に一度は必ず私の顔の肌のことを、患者さんに話題にされるようになりました。「先生はどうしてそんなにきれいな肌をしているんですか」「何か秘密があるんでしょう？それを教えてくださいよ」と、聞かれるんです。

この頃は初診の人は「しみ」「しわ」の相談の患者さんが圧倒的に多くなりましたから、ご自分の顔のしみやしわと比較して、「何やこの医者は！頭の毛の薄さから見たら還暦も過ぎているはずなのに、しみやしわが全然ないやないの。それはどうゆうこと！？」といった思いが膨らむのでしょう。

私の答えは意外に単純で、何もすごく特殊な美容法を実践しているのではないのです。ただし、長年にわたり実行していることがあります。それは、大量のビタミンＣを飲んでいることと、直射日光を極端に避けることのふたつのことを、もう四半世紀つまり25年にわたって実行しているのです。つまり、紫外線から皮膚を守り、皮膚の新陳代謝を助けるビタミンＣの大量摂取を実行しているというわけです。そう「何や、誰でもできそうやんか」といわれそうな、何も特殊なことではないのです。ただし、やるからには徹底的にやらなければなりません。夏でも外出するときは長袖の服装で通します。ビタミンＣも一日に３から４グラムつまり、レモンに換算すると、150から200個分を摂るのです。ビタミンＣを大量に摂取することは、ある時ビタミンＣを大量に摂ることで癌の予防､ぼけ防止、になるという本を読んだことがきっかけです。ビタミンＣは多く摂っても尿に出てしまうだけというのが常識であったのですが、ほどほどの量では､脳や肝臓など、多く必要な臓器が取ってしまうので皮膚のコラーゲン生成に貢献するまでは行き渡らないということが言われ出して、それならというわけで一日に3000から5000mgのビタミンＣを毎日飲むようになりました。それを20年以上続けてきたのです。美容外科を標榜しているのに自分は日焼けして、シミだらけの顔をしていては様にならないでしょう、というのが私の発想の原点でした。そうして開業24年、最近ほとんど毎日のように自分の顔にシミやしわがほとんどないことを和裁にされるようになりました。いい年をしてとは思いますが、それでも自分が考えて実行してきたことの成果がでてきたことで、評価されることは嬉しいものです。

皮膚の老化の要因は加齢1，に対して紫外線４というのが今は常識です。言い換えると､皮膚は紫外線によって４５倍老化が早まるのです。どんなに顔はしわくちゃのおばあさんでも､おしりに注射するときにお尻を見ると､白くてきれいな肌なのはそのことをみごとに証明しているわけです。それほど紫外線は皮膚にダメージを与えるのです。そのことを十分に理解しておいてください。

徒然日記 診療余話 その１

こんな可愛い小学生の目標にされるとは

今年の聖バレンタインデ－に私はYUKAちゃんという小学生からとてもうれしいメッセージつきのチョコレートをもらったのです。「手術をしていただいてありがとうございます。私は先生のようなお医者さんになりたいです。ですから今からがんばって勉強します。」といった内容の手紙でしたが、わたしのような年の離れた人間を目標にしてもらえるということは、本当にありがたいことと、逆に感謝したい気持ちでいっぱいです。Yちゃんにとって私はおじいちゃんのような存在なのでしょうね。私はあと20年は現役で形成外科医をやっているつもりでいますよ。Ｙちゃんは順調にいけば、あと15年で医者になれますから、一緒に仕事ができるのも夢ではないなと、今から楽しみにしています。長生きしないといけませんね。人間長生きすれば、大変なこともいろいろあるでしょうが、感激することも起きてくると思います。一日に一回でも感動できることがあれば、それだけで生きていた甲斐があったと思えます。ただ私は明日あの世に帰るまで、現役で医者をしていないといけないと思っています。それが自分の使命だと信じているからです。生涯現役でいたいのです。老後はのんびりと旅行でもなどということは全然思わないです（要するに貧乏性）。　私は目標とされるような人間でありたい、医者でありたいと、常に思っているので、Yちゃんのような手紙をもらうと嬉しくてしかたがありません。Ｙちゃん心から応援していますよ。医学生になったら早速見学にきてね。